15話.父上からのお説教
モンハンが楽しいのよね
「なるほど、それで明日討伐クエストを受けることになるかもしれないと。」
無事家に帰りつき、ロバートと一緒に夕食を取り終えると、一日王都を見て回った話をした。
その話を聞くと、ロバートは何か考え込むようにして冒険者ギルドでフォルクス達と話した時のことを詳しく聞いてきた。
「はい、約束したわけではないですけど。」
何となく責められているような、印象を受けて言葉少なに返す。
余計なことは言わないようにするためだ。
「…色々と思うところがあるけど、それは一旦措いておこう。確かに君は剣もある程度振れるようになってきたし、何より魔法が使える。かなり強力な物とそれなりに便利な物がいくつか使えると聞いているし、それを活かせば、採取クエストだけでなく、簡単な討伐クエストなら失敗はそうそうないだろう。」
一息置いてロバートは続ける。
「だけど、みんなそうだ。みんな自分の実力で問題ない範囲のものを受ける。それでも、冒険者の仕事は命の危険が伴うものなのはイレギュラーが発生するからだ。」
ロバートはいつもとは違う雰囲気で、俺は黙って話を聞く。
「馬車で話したように僕の父、君の祖父に当たる人は、僕が当主になってしばらくするとどこかに消えたりする人だったんだよ。そのせいで苦労することはあったけど、誰かに文句を言われることもなかった。誰かが危険な目にあったりはしなかった。僕の父親はしっかりと根回しをしていたんだ。」
ロバートは後ろ髪を掻いてから、しっかりとこちらを見つめる。
「少し話がずれたけど、何かをするときはそれなりの準備をしないといけない。冒険者に必要とされるものはなにより強さだと言われがちだけど、想定しない数の魔物に襲われた時、本来そこにいないような強い魔物が何故か現れた時。そんな時、目印になるようなものがない場所で、方角もわからない場所でちゃんと逃げ切れる能力はあるのかい?」
「…」
威圧感すら感じるロバートの問いかけに、すぐに答えるできなかった。
魔物という存在を見たことがない俺には、その強さも、個体数も、想像することしかできない。
魔物を倒せると色々な人から言われて、自信だけがついてしまっていたことに気が付いたのだ。
人に言われただけで、簡単に想像できることを考えていなかった、「考えが甘い」、ロバートはそう言いたいのだろう。
「あー、まぁ。僕が言いたいことは伝わったと思うから、こんなところで終わろうか。」
考えている俺を見て、ロバートは普段通りの雰囲気に戻り笑顔で言った。
そのまま、微妙な雰囲気になりロバートは自室に帰って行った。
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<ロバート視点>
フランクが王都を一日見てきた話を聞いた。
話し方や、物事の考え方、行動の節々から子供らしくない印象があったフランクだったけど。
髪の毛の色や、肌の色、服装など様々な人達がそれぞれの目的で好きに街の中を歩く、あるいは働く様子は、王都に来るまであまり外に出たことのないフランクにはかなりの刺激になったようだ。
大通りの屋台で何かわからない肉の串焼きが美味しかったと話しているときや、城壁が魔法で加工されていることなんかを笑顔で話している姿は、まだ五歳という子供らしさを感じさせる内容だった。
ただ、串焼きや魔法の話だけでなく、討伐クエストという命のやり取りの話を同じように笑顔で話す姿は異常な様に思えた。
次期当主になるであろう、オーランドには何度か、仕事の手伝いをしているときに説教のようなものをしたけど。
フランクにはこれが初めてだった。
どう伝えたものか迷ったし、途中僕自身も何が言いたいのかわからなくなってしまっていたけど、最終的にはフランク自身が答えを出してくれたようだ。
その後、説教をすることに慣れていない僕ではどう空気を戻すべきか分からず、逃げるよう私室に戻ってしまった。
私室に戻ってから、本当にあんな相手を圧するような、強い言い方をしないといけなかったのだろうかと一人で反省会を始めてしまう。
フランクの話に出てきた、フォルクスという少年は家名を名乗らなかったようだけど、黒髪に黒い肌の貴族という特徴はおそらく公爵のブラック家の御子息だろう。
フランクもそうだったが、かなり頭のいい子供だという噂が流れていた。
それに加え、フランクとは違い人を率いる能力もあるという風に聞く。
魔法が使えるという話は聞かないが、様々な武器を扱うことができるという話もある。
フランクと話した時も採取クエストを受けようとしていたそうだし、フランクと約束した討伐クエストも探しておくという言葉に留めていた。
もし、明日フランクが討伐のための知識や、装備を持たずに冒険者ギルドに現れたなら、即座に採取クエストを受けるように勧めるだろう。
フォルクス君も、貴族が五歳になった際参加する王都でのパーティーに参加する子供だ。
ただ。その推測通りの行動をとってくれるか、その場の勢いのみで危険なことをしてしまう懸念が僕の中に残ってしまった。
だからこそ、フランクの方から採取クエストを受けようと提案してくれるように話をした。
本人がどう思っているかは分からないが、フランクには冒険者と言えば討伐クエストという、思い込みにも似たものが見える。
冒険者は村と村を行き来する商人たちの護衛として、危険な魔物がいる場所へ向かうこともあることからそう呼ばれ始めたのだ。
村単位での生存を左右し兼ねない、商人の護衛クエストに憧れる者は多い。
そのためには、採取クエストで冒険者ギルドへの信頼と少数の魔物との戦闘経験を得て、討伐クエストで力を示す必要がある。
フランクはその順序を飛ばそうとしているように感じた。
そういう順序を飛ばすことは出来なくはないだろうし、実際にそうした人は少なくないはずではある。
フランクにも言ったが、そうする実力は彼にはあるだろう。
ただ、フランクが彼自身の命を軽く考えている見えてしまったことは不思議でもあった。
今回の説教は必要だったと自分でも思っているが、普段から子供には自由に育ってほしいと思っている僕は、説教というものも過度に子供にかかわることも避けて来た。
それが正しい事かもわからない。
オーランドには貴族の長男に産まれてしまったことで、自由とは言い難い生活送らせてしまっていることは申し訳なく感じているからこそ、僕がいなくても仕事が出来るようにしっかりと教育は行っているつもりではある。
だが、次男であるフランクには貴族的には正しくないと言われるだろうが、自分のやりたいことをやって生きて欲しいと行動に制限を掛けないようにしていた。
その結果、自身の命を軽く考えてしまっているのなら、間違っていたのだろう。
今度からは、もう少しこちらから話題を振るようにしようと決め、反省会を終えて今日は寝ることにした。
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何卒、何卒ぉ




