12話.やって来たぜ王都によお。
これから時折短編も書いていきたいなあと考えてる今日この頃。
ギルドに行った日から数日が経ち、いよいよ俺が王都に向かう日になった。
あれから、ギルドには何度か行って簡単な討伐クエストや、村近辺で採れる薬草の採取クエストを見せてもらったが受けることはなかった。
討伐クエストについては俺にはわからないが、子供でも出来そうな薬草の採取クエストでもかなり高額の報酬が用意されていた。
異世界のギルドに登録に行くといかつい男に絡まれる、なんて思っていたがギルド内に併設された食堂と酒場を合わせたようなところにいた冒険者たちは、入ってきた人を確認するために入ってきた人をちらっと見た後は知り合いでもなければじろじろと見てくるようなことはなかった。
発行してもらったギルド証は長方形のカードのような形をしていた。
表には俺の名前と、魔法が使えることや剣を教えて貰った経験がある、料理ができないなど冒険者同士で仕事上必要になるであろう技術が書かれていた。
裏面には縦軸にギルドに来る依頼で多い討伐、採取、護衛の三種類とその他の四つでクエストを大まかに分け、横軸にその中でギルド側が依頼内容で決めた達成難度S~Fのランクで区切られており、達成したことのあるクエストとランクの回数を記録されていた。
俺は一度もクエストを受けたことがないため、すべて達成回数0回となっている。
王都に行くときは、父親がその子供について行くことが一般的で母親や家族は王都に用がなければ代行として領地を治めるらしい。
今回はアンバーの時と同じくロバートと御者をしていた、ローガンという恰幅のいい男性との旅になるそうだ。
馬車に乗る前に軽く挨拶をして、ヴァーミリオン家の馬車に乗り込んだ。
ロバートは年が近いこともありローガンと仲が良いらしく、なかなか乗り込んでこなかった。
しばらくした、ケイトも含めた家族全員が見送りを受けて王都へ向かう馬車は出発した。
王都ではいくつかのパーティーに参加することになるらしく、荷物はそこに参加するための衣装が大半を占めており娯楽用のものは本を数冊持っていける程度だった。
当然、車内では会話がメインになっていく。
「そういえば、フランクは結局、冒険者ギルドに登録したのかい?」
休日が欲しいと言ったときに、登録をするために冒険者ギルドに行くことを伝えていた。
ロバートはとりあえずそれを掘り下げることにしたみたいだ。
「うん、登録はしたけど、まだ何もクエストを受けてない。」
移動中の馬車の中にいる場合基本的に誰かに見られることがない密室となるため、私室以外は誰かに見られているとする貴族も私室と同じくリラックスした状態で話すことを許されていた。
それでも御者には話を聞かれるが、どの貴族もかなり信用できる平民の者のみを使い、馬車の中での話は聞かなかったことにする代わりかなりの高給を与えるようだ。
「へー、僕は15、6歳くらいの時に登録したけど、登録がすんだら仲間とすぐに討伐に行ったよ。」
ロバートはその頃のことを思い出しているのか、微笑みながらその頃のことを話した。
俺はその話の中で、ずっと気になっていたことを聞く。
「結構危なそうなことをしているけど、父さんは長男として産まれたのに大丈夫なの。」
大丈夫とは、死んだときに家はどうするんだと言う意味だ。
「あぁ、フランクは会ったことないけど、一応僕にも弟がいるんだよね、そっちが継ぐことになったんじゃないかな。」
弟…触れていいのかわからなかったから今まで聞いたことがないが、俺はこの世界で祖父母にも会ったことがない。
「おじいちゃんというか、祖父とかにも会ったことがないけど親戚の人とかいないの?」
ロバートも今年で30歳になるから、親がいなくてもおかしくはないが、こういう機会でもなければ聞くタイミングがなかっただろう。
俺の質問を聞いたロバートは、苦い顔というかよくわからないと言いたげな顔をした。
「あー、親戚といえば貴族としての親みたいなのがいるけど滅多に会うことないね、僕の実の親は僕が家継いで3年くらいしてある程度仕事をに慣れてきたなってときに、後は任せた、どこかで隠居生活してくるとか言ってどっか行っちゃたんだよね。」
なんだそれ、大丈夫か。
貴族ってそんな感じなのか。
「それ、どうやって生活する気なの。」
「さぁ、それこそ冒険者として生活するんじゃないかな。」
「そうなんだ、貴族で冒険者してる人って多いの?」
俺が登録すると言った時も特に反対されることもなかったし、ロバート自身もどれくらいの期間冒険者として活動していたのかはわからないが一時期はやっていたようだし、当然の疑問だったかもしれない。
「少なくはないと思うけどどうだろうね、平民の人が貴族になるためには何らかの方法で国に大きな利益をもたらさないといけない。この国は何かの研究の結果として貴族になった家はかなり少なくて、街や都に大きな影響を与えうると判断された魔物を討伐したリーダーなんかを騎士や男爵として任命した方が、脅威となるモンスターや国を知っている民の理解を得やすいんだよね。」
「貴族が冒険者になるんじゃなくて、冒険者が貴族になることが多いってことなんだ。」
「一代かぎりの騎士はそうだろうね、ただ男爵以上の貴族は子供への継承権があるから貴族が冒険者になることはあるよ。ヴァーミリオン家もそうだけど、その家の功績を認められて貴族となった初代当主は冒険者や騎士が多くて、剣や槍なんかを得意とする貴族の家はかなりあるんだよね。それを活かそうとするとやっぱり冒険者になることが多いんじゃないかな。ただ貴族同士の話で冒険者やってるなんて話はあまり出ないからわからないけどね。」
なるほど、だから少なくはないと思うか。
一人納得する俺を置いて、ロバートは続けた。
「他にも強い者を領主とすることで、強いモンスターなんかが発生した時に領地を自分で守ってくれる方が国としては楽だからって言うのもあると思うけどね。」
予備日も含めて一か月の予定だった、馬車での旅はそんな話をしながら、複数の町や村で宿を取りながら15日程度で王都へ着いた。
「うん、今回はかなりスムーズに着いたね。ありがとう、ローガン。」
「ありがとうございました。」
王都内のヴァーミリオン家所有の家の前で止めた馬車から降りてから礼を言うロバートに俺も続く。
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。また、何かありましたいつもの宿にいますので予定に変更があれば使いの方を出してください。」
そう言って、馬車の預り所に向かって行くローガンを見送り、俺たちは家の中に入った。
一足早く王都に向かった使用人達とロバートが雇っている管理人が家の中を掃除しているため、家の中は綺麗になっている。
荷物を使用人に預け、部屋を案内してもらった後、リビングでロバートと座って話す。
「こんなに早く着くなら出発ももう少し遅くても良かったのではないですか。」
俺は予定の半分くらいは残しての到着となったことを聞く。
「貴族が王都に来る用事なんてものは遅れるわけにはいかないから、かなり余裕を持たせるんだよ。今回は道がふさがっているみたいな問題は起きなかったから、予定通り進めただけだしね。王都に着いたら当主は他の貴族達に挨拶に行かなきゃならないし、なんだかんだやることがあるよ。」
「挨拶ですか、私は行かなくてもいいのですか。」
家という身内しかいない空間ではあるが、私室ではない場所では念のため、一人称は私にすることを忘れずに聞く。
「そうだね、ついて来てもいいし、この家で休んいてもでもいい。ただ、僕について来るなら途中で今日は止めておくなんてことは出来なくなるから止めておいた方が良いだろうね。」
「わかりました、やめておきます。何もしないのも、もったいないので明日から王都を見て回っても良いですか。」
おそらくついて行くとロバートもやりにくいのだろうと思って別のこと聞く。
せっかくの王都の景色は、馬車の中からはあまり見えなかったのだ。
ロバートは少しの間考えて答える。
「そうだなぁ、使用人をつけようかと思ったけど多分嫌だろう、夕方までに帰ってくるならいいよ。」
「ありがとうございます。明日から見て回ります。今日はもう休みます。」
矢継ぎ早に告げて、一礼してから部屋に行く。
一瞬見えた、ロバートの顔はこれが本命だったことに気が付いて苦笑いしていた。
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何卒、何卒ぉ




