9話.意外な一面
魔法の教科書を初級とかじゃなくて一巻とかにすればよかったですね。
魔導教本みたいなものは何となく初級上級のイメージなのと、三巻で終わりの構成ですよと分かって欲しいなと思ってそうしたんですけど、三巻で終わりの物らしい的な一文入れればいいだけなのに思いつきませんでしたね。
タイトル全部を書くのもなぁ、けど、初級とか中級とかだけかくのものなぁと、書くときに違和感がすごかったですしね。
キャラクターの表情が少ないから、情景が想像しにくいのかなと思ったので、この話から出来るだけ主人公が考えるような地の分を減らして表情とか動きみたいな主人公が見ている風景の描写を練習したいなと思います。
アンバーから本を読んでもらってから、しばらくして魔力の製造と貯蔵は習得できたと思う。
現状、時間あたりに製造できる量や、貯蔵の最大量は練習すればするほど増えていっているため、練習をやめるわけではないが、正直いって飽きが来た。
マナの感知を練習しているときからそうだったが、何かをするときは基本的に自分の部屋に籠っている。
以前オーランドが言っていたように、この世界の貴族というのは、私室というものを重要視している。
貴族の私室に勝手に物を置くことは、乳幼児であっても育児にどうしても必要な物以外認められるべきでないとされている。
そして、俺はこの世界で自分の部屋に置きたい物があまりなかった。
寝具以外のものがほとんどない、俺の部屋は長時間いると人によっては頭がおかしくなるかもしれないほど、変化やその人の色といえるがなかった。
アンバーやオーランドの部屋にあった本や備品の多くは、三歳から始まる教育に必要なもので三歳になる前に与えられるようで、そこから足りないものを探して私室を作っていくそうだ。
それでも、オーランドやアンバーは三歳になる前に、その辺で見つけた虫の抜け殻や綺麗な石なんかを部屋に置いていたそうだ。
このほとんど何もない、ただ広いだけの部屋というものは、前世で消えてしまいたいと思っていた俺には心地が良かった。
ただそれと同時に、この部屋で何かしようとすると、ふとした時に気を紛らわせる物がなさ過ぎて早々に飽きが来る。
その何もない部屋のベッドの上で胡坐をかきながら、次にすることを考える。
(アンバーに、次の本を読んでもらおうと思ったけど、その本の内容を練習するときに親に見てもらわないといけないのがなぁ)
最近クリスの妊娠が発覚したのだ。
流石に妊婦に危険な魔法の練習を手伝わせる訳にもいかず、ロバートはいつでも声を掛けてと言ってくれているが、領主としての仕事はかなり忙しそうだし声は掛けられない。
「んむむむむ」
眉間にしわが寄せながら、考えていると誰かが部屋の扉をノックしてきた。
「はい、誰ですか。」
オーランドに世間話程度に教えてもらった、この世界の貴族の礼節に乗っ取って、扉を開けずに誰何する。
「私、アンバーよ。」
簡素な名乗りが扉越しに返ってくる。
(確かこの後はこのまま要件を聞くか、歓迎する人か階級が上の貴族なら扉を開けて要件を聞くだったな。)
要件は大体の想像がつくし、何より訪ねてくれたことを嬉しく感じられるのだから、扉を開けて話を聞くことにした。
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<アンバー視点>
最近は貴族として様々な授業や、時々参加させられるパーティーなんかで忙しかったせいで不満も溜まっていた。
フランクがマナを魔力に変換出来るようになってから、半年は経ったはずなのに何も言ってこないこともその一端だった。
あの時、本当は魔力なんて生み出せていないのかとも考えたが、あの子の魔法へ対する姿勢は真面目そのもので考え難かった。
私が心を落ち着けることが出来る時間なんてものは、村やパーティーで話す、ごく一部の友人と呼べる者達かフランクと一緒にいる時ぐらいの物だった。
村の子たちは親の仕事を手伝っていたりしていて忙しいようだし、パーティーで話す子たちは今すぐに会うことは難しい。
だから、私があの子の部屋を訪ねることは必然だった。
本当に部屋の中にいるのか心配になるほど静かな部屋だが、聞き耳を立てると少しおやじ臭いうなり声が聞こえてきた。
ちゃんと部屋にいるみたいだ。
扉をノックすると、まだ三歳の教育も始まっていないのに、誰かから教えてもらったのか、扉を開けずに返事をしてくる。
思わず口角が上がってしまうが、声には出さないように気を付けながら名乗る。
どこまで、教えてもらっているのかわからないけど、扉が開けてくれなかったら多分傷ついてしまっていただろうけど、幸いフランクは扉を開けてくれた。
「どうしたんですか。」
こっちを見上げながら、最近たまに使うようになった敬語で聞いてくる。
赤ちゃんの頃の記憶なんてないけど、こんなに成長が早いものなのだろうか。
このまま、頭とお腹を撫でまわしたくなる気持ちを抑えて、こっちもしっかりと対応してあげないと。
「最近忙しかったから、遊びに来ただけよ。」
ダメだ、姿勢とかはしっかりできたのに、内容のせいで全然しっかりしてる感がない。
「そう、なんですか。何もない部屋です、けど、入りますか。」
微妙な顔をして。なんだか言葉も変に区切って話している、気を使わせてしまったかもしれない。
多分部屋に何もないのは本当のことだろう、そこでずっと後ろ手に隠していた2冊の本を見えるように出す。
「これ読んであげようと思って。」
「え、片方は中級の本ですよね。もう片方は上級ですか?」
片方の本は見覚えがあったから、もう一冊の方も推測できたんだろう。
「そう、あの時途中で終わっちゃったから、残りの部分を読みたいなら読んであげようと思って。いらないなら、そのまま上級のほうを読んであげようかなって。」
これは、本当に魔力が作れるようになったのかを確認するための質問だった。
魔法は使ってみたいようだし、ここで上級を読むようなら嘘はついてと判断できると思った。
「なるほど、中級の方には何か魔力を作る以外のことが書いてあるんですか。そうじゃないなら上級でいいと思います。」
質問に対して、質問を含んだ返答だ。
ただ、内容はまだ習得していないものがあるのかという、もう終わったものにまだ自分の知らないものがあるのかと聞いていた。
「そうね、特にはないわ。」
少し、考えたがそう答えた。
初級もそうだったが、あの本は構成は理論が二割くらいで、残りは一人一人から聞いたコツのようなものが書かれている。
習得できてしまったのなら残りの八割は必要のないものだ。
「そうなんですか、なら上級を読んでいただけますか。」
フランクは、なんで聞いたんだと言いたそうな顔をしている。
この子本当に二歳なんだろうか、もうすぐ三歳といってもパーティーで話す同年代の内の礼儀知らずより全然ましな話し方をする。
もしかしたら、私の弟は天才かもしれない。
「わかったわ、と言ってもこの時間からだとさわりだけしか読めないだろうけど。」
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<フランク視点>
急に、アンバーが来たあと何故か中級の方を読もうとしてきた。
その後、上級のほう読んでと言うとすんなり読み始めてくれたし、何だったんだと思いつつ感謝もする。
アンバーの方から訪ねてきたのは初めてだったから、驚いた。
本を読みながらずっと頭を撫でてきたり、王都から帰ってきたときと似たようなことをしているから、ストレスが溜まっているんだろうと、俺の方から本を読むのは途中で止めて話をしようと言った。
すると、今日来たのはもうすぐ、俺が三歳になるため、家庭教師がつき貴族用の授業が始まること。
当然魔法を使える可能性のある俺にはそれ用の授業も追加されてしまって、たぶん魔法が使えるようになってしまう。
出来れば私が魔法を教えたと言いたくて、何とかそれまでに俺に魔法を使ってほしかったがこれから、アンバー自身も忙しくなってしまうようで今日空いた時間で教えに来てくれたみたいだ。
「僕はまだ魔法を使えないけど、初めて魔法を見たのも教えてもらったのもお姉様だよ。」
最初とは違うそういうと、アンバーはんふふふふふと変な笑いを上げて、頭を撫でるのを加速させた。




