4.俺には剣の才が無いようです(勿論、知ってたよ?)
『最初の頃は沢山の人種、魔族が来てそいつ等を片っ端から屠ってアイテムから還元してSPに変え、そこから我々のエネルギー補給の食料を交換していたのですが、途中からめっきり来なくなりそれが不可能になって、そして食べる物が無くなった我ら⋯⋯』
「そこは言わなくても察せる」
『⋯⋯徐々に迷宮内の同胞達は居なくなって行きました。今残っているのはここにいる連携を得意として肉があれば良いというもの達になりました。淫魔族は精力エネルギーが必要なのですが、我々のエネルギーが枯渇し精力が付けられなくて、エネルギー補給源が無くなって1番早くに核になりました。その次にオーガの上位種、鬼人が居ましたが「自分達よりもオーガの方が長持ちするだろう」と、オーガの糧に自ら⋯⋯50階層のフロアボスの鬼人が居ましたが昔に魔王がかなりの勢いで来て危険と察知してその強い鬼人は30階層で魔王と戦いました。魔王を追い返す事は出来ましたがその後力尽きて核になりました。竜種達は「肉が多いからな!」と糧になり、スライムは魔力さえあれば生きていけましたが迷宮のゴミやホコリを食べ過ぎて生命エネルギーに使う物が魔力では無くゴミやホコリになった事により、前からゴミやホコリが出なくなってスライムも皆、核になりました。今、魔王に来られても、大群で来られても終わります』
「まて、今日までの間これだけどうやって生きて来た?」
『この迷宮から漏れ出る魔力によって変異した魔物達がこの迷宮に攻めて来て、我が出向き撃退して食料にしました。攻めて来た魔物は多種多様の群れでした』
「⋯⋯なるほど。これは相当やばいな」
「これでここまで来る時に魔物が少なかった事が理に叶いましたね」
「ああ」
『もう、我々は徐々に力を落とし始めています。危機的状況、このままでは神からの命を果たせなくなります』
「ダンジョンの外には行かなかったのか?」
『⋯⋯それは誤解です。我々はいかなかった、では無く、行けなかった、です。管理者居る迷宮の魔物は外に出れますが我々は出来ません』
「ダンジョンマスターが居なくても出てくる所もあるが?」
『ここは最終迷宮、故に神が世界の調和がやばくなるので我々はここを出る事が出来ませんでした。今回らは管理者様がいますが』
「なるほど。SPは君達でも使えるの?」
『今は無理ですが、迷宮の魔物はそのSPを使用してエネルギー補給の食料に交換していました』
「ダンジョンの魔物は魔力さえあれば生きて行けると聞いてるが?」
『それは、人族が導き出した答えでしょう。真実は違います。我々も食が必要です。魔族がどのように解釈しているかは分かりません』
「なるほど、ラストダンジョンと普通のダンジョンとではSPの入手方法が違うからSPが枯渇⋯⋯無くなったのか」
『はい』
「⋯⋯」
『我々を、お救いください』
俺は辺りを見渡して今居る魔物を確認する。
オーガとトロール、オークと100階層ボスのドラゴンしか居ない。
「それは既に決めている。だから俺はここの管理者になったんだ」
きっと神はラストダンジョンを救えと俺に言っているのだろう。
俺の勝手の解釈かもしれないが、まずは色々と確認しないとな。
「1つ聞こう、もしかして魔王か魔物の群れが来てから他には誰も何も来てないのか?」
『⋯⋯はい』
「スーー、これがラストダンジョンの強さ故か。はは、だが、面白い」
「モレク様、どうしましょうか?」
「ふむ、とりあえず魔物のみんなは持ち場に付いてくれ。追って命を出す」
『わかりました』
ドラゴン以外喋れないが意思疎通は出来そうだな。
「いや、やっぱり節約を考えて1度ドラゴン以外は核納する⋯⋯が、良いか?」
『おお!それはありがたい。よろしくお願いします』
ありがたいのね。皆も喜んでるよ。
「皆さん飢えているのでしょうね」
「そうだな」
ドラゴン以外を核納して、ドラゴンにはとりあえず入口の門番、あとはダンジョン近くの魔物を倒して持ってくる事を命じた。
ここら辺の魔物がこのドラゴンに勝てるとは思わない。
なんたってラストダンジョンのラストボスなのだから。力弱ってるらしいけど。
俺はゾーラと共にまずは報酬があるラストダンジョンの屋上にワープする。
「お、あれが報酬かな?」
「そのようですね」
ま、色々あった。
眼球が付いたよく分からん奴にエクスカリバーみたいに刺さった白銀に光を放つ豪奢な剣(触ると電気を放って触れなかった。ゾーラも同じ)後はトロフィーみたいな壺が2つ(色違い)があった。
「そこはロンギヌスの槍、とかはないのね。グングニルでもええよ」
「?」
「はは、まずはこのキモイ眼球だな」
触れたくなくて触って無かったが、覚悟を決めて眼球は埋め込まれている感じなのでその縁を触る。
サポートパネルが出現する。
・契約完了
・所有者:モレク
・設定完了
・使用方法:物に向かって鑑定が可能
「なんとも便利な」
「鑑定が使える魔道具なんてレア中のレアですね」
「そうだな。んじゃ、剣神のゾーラでも触れる事の出来なかった剣を鑑定っと」
・白銀の騎士剣
・使用条件『銀剣帝を所持』『一定レベルの強さ』『男性』
「「⋯⋯無理だろ」」
どうやって抜き出すかも分からないので放置して黄金に輝くトロフィー型の壺に鑑定を使用。
・聖水の水源
・使用方法『適当な置き場を決めて置く』『魔力を通す』
・概要:聖水を無限に出し続ける。魔力を流した物が止まれと命じたら止まる。魔なる物には悪影響を、それ以外は恩恵を得る。アンデット系に有効。聖者が飲むとバフを得る。回復役の材料にもなる。
「「これは使えそう」」
反対の黒銀に輝く同じくトロフィー型の壺を鑑定する。
・魔水の水源
・使用条件『適当な置き場を決めて置く』『魔力を通す』
・概要:さっきの逆
「面倒くさがってんな」
「ですね」
ちなみにこれは鑑定したら鑑定結果が眼球の後ろに映るようになっている。
飛行能力もあるのか、俺の思うがままに留まったり動いたりするので使い易いが、眼球で見つめられるのでとても居心地が悪い。
「こいつも魔物の1種として核納出来ないかな」
⋯⋯出来ました。
青白いクリスタルの中にさっきの鑑定眼球が収納されている感じだ。
なんとも奇妙な感覚。
ポッケに閉まっておく。
「次は本命」
「行きましょう」
101階層、まずは俺達の寝室にあたる管理者フロアに転移する。
そこには一通り出来るような設備があり、5つの部屋があった。
が、内装は無いそうです。
「簡易ベットは作って、それ以外は後回しだな。すまん」
「いえ、節約の為にベットは1つにして2人で寝ましょう」
「え、それだったら俺は床でも」
「マスターにそれはダメです。2人で寝ましょう!一緒に寝ましょう!添い寝しましょう!」
「えっでも⋯⋯」
「しましょう」
「⋯⋯」
「しましょう」
「⋯⋯はい」
「フッ」
押し切られました!ゾーラには敵わない気がします!はい!
次に宝物庫に向かう。
「金ピカやな」
「そうですね」
一言、宝物庫は宝物庫でした。
「これはスクロールか?鑑定⋯⋯名前分かんないやとりま召喚」
眼球を召喚して鑑定を使用。
・剣聖のスクロール
・使用条件『才能がある物が開く』
・概要:恩恵として剣聖を得る事が可能
おお!凄い。
早速、開く⋯⋯開く⋯⋯ひら、⋯⋯開けゴマ!
「俺には剣の才能無いんねんね」
「私が使用しても意味がありませんし、放置ですね」
「せやな」
色々あるが、面倒なので目星物だけを鑑定していくつもりでいる。
早めにダンジョンを再構築したいので時間を掛ける訳には行かないのだ。
「お、鏡がある」
「何かいい物が?」
「違う、これで鑑定の眼球を鑑定出来んじゃないかと思ってね」
「なるほど」
鑑定を鏡で反射させながら使用する。
狙いどうりに眼球が鑑定出来た。
・鑑定の魔眼球
・使用条件『鑑定の魔眼に使用可能と認めらる事』『対象に目を向けて鑑定する』
・概要:物を鑑定出来る
これは管理者の権能『迷宮内道具完全使用(一部を除く)』の影響かもしれない。
嬉しい。
「モレク様、あの袋はもしかしてアイテム袋ではないですか?」
「アイテム袋は普通にあるが、どうして宝物庫に?」
鑑定を使用。
・理論無視アイテム袋
・使用条件『対象に向けて意識を向け、収納と心で願うか言葉で出す』
・概要:サイズ関係無く収納可能。100種類なら収納可能
種類ね。
それからもゾーラと俺は何か凄そうな物を奥に進みながら、具体的には今の状況を覆せそうな物。
「これはなんだ?」
黒とも言い難いが黒のよく分からん物質がケースの中にあった。
ガラスが使用されているが普通に王国でもあったので驚かない。
・ダークマター
・概要:素材。様々な物質の性質を持つが扱いが困難
「様々な物質⋯⋯か」
「どうかなさいましたか?」
「いや、⋯⋯とりあえずまずの目標はダンジョン復興の為にラストダンジョンにいた魔物を復活させるぞ」
復活させるにはSPを使う。
俺が管理者になった以降に死んだ魔物は核納されて一定時間が経つと再召喚可能。
「核石って何処にあんだ?」
サポートパネルを開いたら分かるかもしれしれない。
「サポートパネル」
・モレク:管理者
・階級:王
・権能: 『迷宮階層転移』『内装改造』『住人設定』『核納』『召喚』『魔物創作』『道具創作』『融合創作』『迷宮道具完全使用可能(一部を除く)』『迷宮内把握』
そう乗っていた。
「分かんね」