29.大量の住人追加
魔族達に余裕が出来た事によって子供だと思われる小さな魔族は走り回ったりしている。
なかなかに微笑ましい。
⋯⋯ゾーラが俺と子供をチラチラと見ているのは気にしないでおこう。
「さて、魔王さんよ」
「私の名前はルシファーだ。これからはそう言ってくれ」
「分かったじゃあルシファー。そろそろ」
「ああ」
ルシファーにお爺さんはサタン⋯⋯父が気になる。
「我が同胞達よ!聞いて欲しい!」
ルシファーが叫ぶ。子供も遊ぶ事を辞めてルシファーに集中する。
「皆があの地に未練があるかも知れない。だが、今後の事も考えて皆にはここで住んで欲しいと思っている!これは我々を助けてくれたこのモレクと言う人間と約束した。ここに住むと。私の我儘だとは思っている。だが、皆には生きて欲しい。お願いだ!ここに住む事を快諾して欲しい!」
魔族の皆が地に顔を向ける。そしてばっと顔を上げる。
『魔王様に付いて行きます!』
「⋯⋯皆⋯⋯⋯⋯ありがと、ありがと。本当に⋯⋯モレク、よろしく頼む」
「ああ」
これによりラストダンジョンの住人は56万人を越えた。
魔族領から色々と墓なども運んで来ている。
流石に墓参り出来ないのは辛いようだ。
そして数ヶ月。1ヶ月に手に入るSPは685624となっている。
「6、じゅう、はは」
思考停止した。
これには魔族達の『恩義』が大きかった。
恩義を返す為に我武者羅に働いたりと、まあ色々としてくれた訳だ。
そして、ついに、ついにこの日を持って完成した。
俺の思い描いた『国』が。SPはかなり少ないがまた回復する。
回復したらダンジョンの魔物達の復活を促進させようと思う。
国の活用法の効率向上の為にもダンジョン内の復興や今後の魔物創作も必要になって来る。
「さて、まずはここを国として認知して貰う必要がある」
この会議室には俺にゾーラ、そしてドワーフ代表と魔王率いる魔族代表。
「そうだな。我々は敵役として出るのは良いとして、面白そうだし⋯⋯その前に国民は必要出しな。どうやって引っ張る?」
「そうだな。まずはここら一帯の魔物の殲滅或いは勧誘。そして森を残しつつも開拓して道を開きたい。そこが前提条件だ。その次に人をここに連れて来る方法なんだが⋯⋯決まって無い」
「さて、どうするべきか⋯⋯」
『あ、あのー』
「ん?どうした」
『俺⋯⋯私達が連れて来られた理由ってなんですか?』
「ああ、長年生きたっぽいからなにか意見が聞けないかと思ってね」
前回攻めて来た魔族達だ。魔物共々復活させている。
この魔族は『復活』させた扱いなので『住人』としてでは無く『魔物』として判定されているので住人では無くラストダンジョンの魔物だ。魔族だけど。
『まあ、生き返ったんだ。色々と手伝いたいのは山々だが⋯⋯我々入ります?』
『だよな〜』
『まぁまぁ気にすんなって!』
『鬼人さん』
さて、どうしようかな?
花火的な物をぶっぱなして来た人を1度『仮住まい』として誘うか。
それとも森にも村的な物を作ってこのラストダンジョンの国の良さを分かって貰うか。
沢山人は必要だ。いずれ世界に認められる国になる必要がある。
いっそ戦力さらけ出して⋯⋯いかんいかん。それはドワーフさん達や魔族達が望まない。
『支配』では無く『共存』だ。
「まじでどうしよう」
ここが1番難しい。
「⋯⋯人間だけなら連れて来れると思いますが⋯⋯自然的に来てもらうのは難しいかもですしね。冒険者を呼ぶ為には⋯⋯」
「ああ、分かっている。アイテム等をさらけ出して置けば良いしな。だが、変な奴に目を付けられるのは嫌なのよね」
あーあー1人でも『商業』出来る人が居たら商人としてここを広めて貰う事が出来るんだが、それが出来ないんだよな。
それに外で使える金も少ないし。ドワーフさん達の作っている武器って簡単には売れないし。性能良すぎて。
今も森を開拓しいる段階出し変更するなら今のうちだが。
「?人間だけなら持ってこれってどゆこと?」
「ああ、それは奴隷とかスラム街に居る人間だよ。それなら来るだろ?」
「確かに⋯⋯奴隷は買えないけど」
日本人的には奴隷なんて反対意見が普通なんだろうが俺はこの世界の常識を俺の常識にしている為、或いは転生したせいか、奴隷に対する嫌悪感等は無い。
家には居なかったが。
「難民がこんな物騒な所には来ないし、1度でも住んで貰ったらここに住みたいと思うと思うんだがな」
ルシファーが言うなら確かなのだろう。
魔族達はここの生活に慣れたようで良い事なんだが外に住むとなるともう無理だろう。
外と比べてここは清潔だからな。
『1度魔物を出して討伐しに来た冒険者を勧誘するのは如何な?』
「ん〜それがまた難しいんだよ。まず、弱い魔物ならここの魔物だとは思われない。かと言ってドラゴンを出すと強い存在が来る可能せいがあるからな」
『なーあの車って奴で1度国に向かって、それで問題が起こるだろうしそこで科学だっけ?それの力を示して国に警戒させて偵察に来た騎士を持て成して帰還させて噂を広げてもらう⋯⋯なんてのはダメか?』
⋯⋯目立つ。理にかなっている。
「決まりだな」
魔族、復活させて良かった。本当は実験がてらやったなんてのはゾーラと俺しか知らない。
傍から見たら攻めて来た存在を復活させた認識になるだろうか?
「うっし、そうと決まれば準備だ!色々な車⋯⋯だけじゃ無い!飛行機系統は不便だから自動車のみにしよう。トラックやスポーツカーなんでも良い。ドワーフさん達は森の開拓も並行して行って欲しい」
「あいよ。と、言っても今ある車を目立つように改造すれば良いだけなんだかな」
「よろしく頼む。魔族達は予定通りに進めば来るであろう偵察隊ようにこの国の仮住まい用のマニュアル作成を頼む。SPで創った偽装の腕輪を装備した魔族を数人案内係の練習をさせておいてくれ」
「分かった」
「執行予定は10日後だ。それだに出来る事はしておこう。俺達が目指すのは平等で平和の共存だ!」
『おう!』
「さて、偵察隊を持て成すシナリオは俺が作成しておく。階層は適当に4階層で良いか。特にこの国の性能は大まかにだが色々と見せるつもりでいる」
俺は立ち上がる。
「さて、偵察隊がどの程度俺達の行う事を広めてくれるかに期待して過ごそうでは無いか!目指すは1つの国だと世界に認知させる事だ!」
『おう!』
「以上!これを持って解散する!5以内にはしおりを配布しておく」
参加している殆どの者が転移で帰る。復活した魔族達は出て行く。鬼人はゾーラとともに訓練場に向かった。俺は部屋に戻り作成作業に入る。
今では部屋も快適になった。ゾーラとは一緒に寝ている。ゾーラが自分の部屋に行こうとしないのだ。
慣れたから良いが俺も男である。精神年齢はこんなんだが、前世と合わせれば30歳位はあるのだ。中身高校生のままな気がしなくも無いが。
ま、だからと言ってゾーラを襲うような真似はしないけどね。
ゾーラに負けるから?違うな。多分だがゾーラは抵抗しないだろう。それはそれでどうかと思うが、ゾーラの気持ちは分かっているつもりだ。
もしもゾーラに新しい大切な人が出来たら俺は手を引くし、普通に寂しいかも知れない。
ゾーラに愛想付かれないように気をつけないとな。
30部に到達しました!
面白いと思って頂けましたら幸いです。
気が向きましたら『評価』や『ブックマーク』の程お忘れ無いようにお願いします。




