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28.魔族達

 

「うぅん〜、⋯⋯こ、ここは?」


 目覚めた魔王が居た所は病室であった。


 ◆


「お、起きたか?」

「⋯⋯ッ!お前は!」

「そう警戒するな」

「失礼な人ですね」

「人を攫っておいて失礼も何もあるか!」

「先に攻めて来たのはそっちだろ?」

「⋯⋯だ、だが」

「まあ、良いから話をしよう」


 俺はゾーラと共に魔王と話をしようと持ちかける。

 魔王が持っていた大剣はドワーフ達に預けてある。


「分かった」

「さて、まず君は魔王で合ってるんだよね?」

「ああ、そうだ。他の魔王の手によって事実が曲げられた最弱の魔王だ」

「それは本当なんだな」

「ああ、こんな嘘を付いても意味が無いしな」

「で、君の目的はなんだ?」

「⋯⋯魔水の水源だ」

「なぜ?」

「それは⋯⋯聞いてくれるか?」

「まあね」


 魔王は話してくれた。

 他の魔王達に逆らえない立場になり、自分の領地から色々と物や人が盗まれ、そして徐々に作物が育ち難くなり、病気になる者が増えて医療班の手が足りなくなり、病気は増していく一方で治る者は居ないとの事。

 そこで魔王は逸話にある『魔水の水源』の力を得ようとした。

 で、今に至ると。


「条件付きならあげるよ」

「ほんとか!条件とはなんだ!私に出来る事なら何でもするぞ!」

「ああ、その条件ってのは⋯⋯」

「私の身一つで済むなら安いモノだ!」

「⋯⋯え?」

「は?」

「私の体付きはこんなんだからな。私の体で良いなら私はそれを受け入れよう。大丈夫だ。嫌がらないさ。⋯⋯ま、初めてなんだけどね⋯⋯」

「ちょ、凄い勘違いが⋯⋯」

「ま、まあ。でも、助けて⋯⋯なんか凄く寒い」


 俺は1度深呼吸する。


「魔王さんや、ゾーラ、落ち着こう。一つ一つ言うな。条件ってのはこのダンジョンに住んでくれないか?聞いた感じ相当な人数だろ?こっちには住人が必要なんだ。勿論衣食住の保証はする」

「⋯⋯良いのか?」


 実は魔王にパンを与えて居たのだが⋯⋯口に合ったようである。

 だから安心しているのだろう。


「ああ、勿論。ギブアンドテイクだ」

「「?」」

「こっちは衣食住を与える。そっちは住人と仕事をしてくれたら良いよ。お互いに利益が会っての話だ。どうだ?」

「願ったり叶ったりだ!最近住処もボロくなっている。そっちで補ってくれるなら嬉しい!⋯⋯だが、運んで来る事が⋯⋯」

「安心しろ!家には最高の研究者達が居る」


 ほんと、凄い人達がね。



 場所は変わってドワーフ達の階層であり、そして大きな物を作る用に用意された場所に移動する。


「こ、これはなんだ」

「これは管理者様」

「これは一体なんなのだ!」

「こちらは?」

「魔王だよ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯?」

「思考が停止した。魔王、これは飛行船だよ。空飛ぶ船とでも思ってくれ。これを数台使う。問題ないだろう?」

「管理者様お話が分かりませぬ」

「そちらに関しては私がお話しておきます」

「助かるよゾーラ」


 それから飛行船を数台使い、運転手のドワーフに護衛のドラゴンを連れて魔王は魔族領に戻った。


「よし、溜まりに溜まった食料を使うぞ。ドワーフさん達で料理の出来る者を集めてください。階層は91階層で」

「分かりました」


 91階層には色々と家などが建っている。

 そこを魔族用にしておき、大食堂を建てて置く事にする。

 ちなみに作ったのはドワーフさん達だ。窓用のガラスは純粋なダイヤモンドが使われている。


 転移して目の前に見えるのは綺麗な地面にタワマンだ。

 きちんと日光が当たる様にして、等間隔に配置してあり、日本ではありえない程の高さがある。

 その階数は地下合わせて100階である。

 地下には基本的にサービス的な物があり、1つ1つの部屋には洋式トイレに、温泉と同じ原理のお風呂があり、洗濯機や冷蔵庫等など設置してあり全てダンジョン内の魔力で動く用になっている。

 使っても問題ないのかと疑問に思ったが問題ないようだ。

 これも全てドワーフさん達が俺の知識を元に作った。

 SP要らずで前世の便利アイテムを作成したドワーフさん達に賞賛を送っておく。

 かなり高いマンションなんだが、これを建てる時にどうやって上まで行くかと言うと、ドラゴンさんの協力や壁に貼り付けたりする魔道具等を使っている。

 このマンションの外観も正直豪華だ。

 窓はダイヤモンド、他にはアメジストやオリハルコンを使っている。

 強度も十分だ。


 ◆


「ま、魔王様これは?」

「⋯⋯一つだけ言う」

「はい」

「我々は助かるぞ!」

「⋯⋯それは誠ですか!」


 魔王の側近の1人がそう言う。

 魔王が居ない間、魔族領の管理を任されていた人である。


「ああ、病気持ち問わず全ての住人を集めろ!そして、この飛行船とやらに乗せるんだ!」

「飛行船?」

「今は気にするな!私を信じてくれ」

「分かりました。眷属召喚!」


 魔族は眷属を召喚する。


「領地の住人を全て、1人残らず集めろ!」

『ぐがああああ!』


 そして数日後に傲慢の魔王が管理する領地から魔族が一切合切消え去った。


 ◆


「お、おお」

「思っていた以上に多いですね」


 数えるのも億劫だ。

 飛行船事91階層に転移⋯⋯なんて出来ない状況になったので92階層に一時的に転移させる。

 そして、魔物達とドワーフさん達と協力して1人1人分けていく。

 中には病気な者も居る。沢山居る。

 新しくバフ『病回復』を創作し、回復や順応のバフをこの階層に入れていく。

 1人1人にスープを配り、樹人族達の回復魔法を使って貰い回復を促して行く。


「回復が速い」


 魔王のそばに居る角の生えた男が驚いて居た。


「まずは食事だ!毒など入っては無い!遠慮せず食べて欲しい!」


 俺はそう叫んだ。

 皆が皆空腹なのか1度の警戒も見せず食べる。


「お代わりもありますからねー」


 ゾーラがそう言ってくれる。


『これりゃ圧巻』


 サネル、これって何人居るの?


 《56万4237人です》


 今の住人と合わせて?


 《56万4550です》


 凄いな。


 《全て住人になりますとC級管理者となります》


 お、まじか。⋯⋯なんかいい事ある?


 《新たな能力が得られます》


 それは誠か?


 《肯定》


 それは是が非でも欲しいモノだな。さらに、この人数が働いてSP還元をすれば、どれくらい手に入るのか気になると言うもの。

 上手く行けば自分の理想に近づく事が出来る。

 ま、まずは魔族達の食事が終わるのを待つ事にしよう。


 食事に使っている水は『魔水の水源』の魔水を利用している。

 その方が回復が速いからだ。

 魔王も食べて居る。

 机、椅子等はダンジョンの壁等を使ったり、食器に関してはドワーフさん達の作品だ。

 そろそろ本題を話そうか。

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