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『辺境伯様』との出会い

私は義母と義妹と一緒の馬車に乗りました。


二人は別に私を見送りたかったわけではありません。途中で逃げ出さないように監視したかっただけなのです。


そして丸一日馬車を走らせてついには『辺境伯様』のところへとたどり着くのでした。


「ここで降ろしなさい」


「は、はい!」


 使用人に義母は命じます。


「いい事、決して逃げ出さない事よ! あなたはあの醜い化け物のような『辺境伯様』のところに嫁入りするの! いいわね!」


「いい事ですわね! シャーロット! 決して逃げ帰ってはこないでくださいね! あなたとは二度と顔を会わせたくないですもの! 獣臭い女には野獣のような『辺境伯様』がお似合いですわ!」


 二人は散々言いたい事を言って馬車で走っていきました。私は一人ぽつんと取り残されます。


『辺境伯様』のところはその名の通り、田舎の方ですので周りには特に何もありません。他の住居もなく、『辺境伯様』の大きな屋敷が存在するのみであります。


 他に選択肢などありません。私は『辺境伯様』の屋敷を訪れます。


 私は門から屋敷に入っていきます。


 物音がしました。


「ひいっ!」


 私は驚きました。


 にゃー! という声がします。どうやら猫のようでした。


「なんだ、猫ですか」


 私は胸を撫でおろします。どうやら屋敷には無数の動物が住み着いているようです。住み着いているというよりは飼っているのでしょうか。


 犬や馬などほかの動物も飼っているようでした。私が以前住んでいたカーディガン家で飼っている動物よりも種類も数も多いです。


 そこはさながら動物の楽園のようでした。


 私は歩き続けます。大きな庭ですので屋敷にたどり着くまでは時間がかかりました。


 玄関の近くにベルがありました。このベルを鳴らして訪問を知らせるという事なのでしょうか。私はベルを鳴らします。


「誰だ!?」


 声が聞こえてきます。


「花嫁探しの手紙を頂きましたカーディガン家のシャーロットです。その……『辺境伯様』のところに嫁入りに参りました」


「久しぶりの来客だな。もはや誰も訪れなくなって久しい」


 玄関から『辺境伯様』が姿を現します。


 私は思わず驚いてしまいます。確かに噂通り、彼は毛むくじゃらで野獣のような見た目をしていたのです。


 人間離れしたその容姿には誰もが驚くに違いありませんでした。


「ようこそ。私の名はウィリアム。ウィリアム・ローズベリーだ」


 そう言って『辺境伯様』は私に名乗るのでした。


「初めまして……シャーロット・カーディガンと申します」


 私も恐る恐る名乗ります。これが私と『辺境伯様』ウィリアム・ローズベリーとの最初の出会いでした。


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