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第9話 魔王、下界を見下ろす。

 我輩は魔王である。名はトラ吉。


 優越感。


 それは、己が他者より優れていることを誇ること。


 確かに快感であることは認めよう。


 だが、己が優れているかどうかは己が決めることではない。


 他者が決めることなのだ。


 だが、魔界でも人間界でも愚民は存在するのだ。


 己の未熟さを知らんくせに、他者と比べて己が優れていると胸を張っているやつらが多いことよ。


 その点、我輩は違うのだ。


 なぜなら、魔王である我輩はどの世界においても最も優れた存在であるからだ。


 そんな我輩であるからこそ、優越感に浸ることを許されるのだ。


 なに?


 それでは、愚民と同じであると?


 小賢しい。


 我輩の右に出る者などおるわけがなかろうに。


 仮に、そんな者が現れたとしてもこの魔王の矜持にかけて全力で葬ってやろうぞ。


 優越感とは全ての頂点に立つ魔王だからこそ許される行いなのだ。


 さぁ、今日も我輩はその優越感に浸るとしようぞ。


 愚民である主人①②を高いところから見下ろしてやるのだ。


 これが何とも気持ちがいいのだ。


「うわ! ちゃーちゃん! また走り回って、ぐほっ!」


 お、何か踏んだな。


 まぁ、我輩の歩む道に寝ておるのが悪い。


「なんだ!? またこんな朝早く。 まだ朝の4時過ぎだよ ……」


 ふん、既に日が登っておるというのにまだ寝ておるお主らが怠惰なのだ。


 平民たる者、王のために日の出とともに働かねばならんだろうに。


 毎朝、起こしてやってるのだから感謝ぐらいしてほしいものだ。


「こら! 待て!」


 我輩が貴様などに捕まるわけがなかろう。


『ドタ!』


「あ! またエアコンの上に逃げたな!」


 逃げるとは人聞きが悪いの。


 我輩はここでで貴様ら下界の愚民を見下ろすのだ。


 これよこれ。


 愉快であるぞ。


「こら〜! ちゃーちゃんおりてきなさ〜い!」


 そうだ、そうやってぴーぴー鳴く良いひよっこどもよ。


 見下ろしがいがあるというものよ。


 さぁ、この魔王にのみ許された特権。


 優越感とやらに存分に浸るとしようぞ。


 そう、その時が来るまでは。


写真:エアコンの上から主人を見下ろすトラ吉

挿絵(By みてみん)

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