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第20話 魔王、妖怪になる。

 我輩は魔王である。名はトラ吉。


 ここ最近、我輩は屋敷に持ち込まれる「だんぼーる」の動向を探っておる。


 それは「だんぼーる」の安定的な供給を実現するための調査なのだ。


 だが、調査を進めるうちに、なにやら主人たちが怪しい動きをしていることに気づいた。


 どうやら、主人たちが「だんぼーる」を溜め込んでいるようなのだ。


 「だんぼーる」は優秀な素材である。※第14話を参照


 主人たちはそれに気づき、何か良からぬ事を企んでいるに違いない。


 さらに怪しいのが、ある程度の「だんぼーる」を溜め込むとどこかへ運んでいくのだ。


 我輩の目の届かぬところへ運び何をしているのやら。


 まさか、別の場所に運び大規模な城を建築しているのではあるまいな。


 そうだとしたらなおさら放ってはおけぬ。


 そもそも、「だんぼーる」は我輩が先に目をつけた素材であるぞ。


 「だんぼーる」の安定的な供給を実現するためにも阻止せねばなるまい。


「ちゃーちゃん。どいてくれないかな?」


挿絵(By みてみん)


 主人①よ、貴様の腹づもりなど、この魔王たる我輩には手に取るようにわかるぞ。


「どうしたの?」


 主人②も加勢するか。


 だが、我輩の野望のためにもここは引くわけには行かぬ。


「今日、ダンボールを捨てる日なんだけど潰そうとしたらちゃーちゃんがどいてくれなくて。」


 主人①よ、このような優秀な素材を捨てるなど見え透いた嘘を言うか。


 どうせ別の施設に持ち込んでいるのであろう。


「あー、また『妖怪まだあそーぶ』になっちゃったか。」


「なにそれ?」


「ちゃーちゃんは、おもちゃだろうが何だろうが、もう飽きてるはずなのに捨てる時になったら飛びついてくるんだよね。」


 主人②よ、なんだそのくだらないネーミングは。


 我輩は妖怪ではなく偉大な魔王であるぞ。


 魔道具にせよ建材にせよ、魔王である我輩の所有物を貴様が勝手に持ち去るのが悪いのではないか。


「ちゃーちゃん、かわいそうだけどこのままだと家がダンボールハウスになっちゃうから捨てさせてもらうよ。」


 ふん。 屋敷がダンボールハウスになるとは素晴らしいではないか。


 ぬん? 何をする!? 持ち上げるな! 強行手段とは汚いぞ!


「うわ! ちゃーちゃん暴れないで! 早くそのダンボール片付けて!」


「え!? わかった!」


 何と言う卑劣な。


 このままで終わる魔王ではないぞ!


「もうだめだ! ちゃーちゃんが逃げた! って、あれ?」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 この城だけは死守せねばなるまい。※これも第14話を参照


「もうボロボロだから捨てようと思ってたんだけど……」


 ボロボロとは失礼な。


 我輩が改築した快適な空間であるぞ。


「あら。 居座っちゃったね。」


「しょうがない。今日はこのダンボールは勘弁しておこう。」


 ふん。主人①②よ、手塩にかけて改築したこの城だけは好きにはさせぬぞ。


 そう、その時が来るまでは。


挿絵(By みてみん)

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