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異世界彼女は純和風  作者: 凪沙一人
守れるのは自分
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拾漆葉 ‡ 遠山裁き

一難去って、また一難

「あぁ~、まぁ、なんだ。嬢ちゃんの事は色葉の件があったんで、根回し出来たんだが、そっちの二人は、想定外なんだ。この件についちゃ、上様御声掛預りって事にしちゃくんねぇか? 」

「なんだ、ていのいい丸投げじゃないか。」

 なんか将軍御声掛をいいように使われている気がしてきた。

「まぁ、そう言いなさんな。俺らたちは悪人を捕らえられる。お前ぇさんは色葉ちゃんをを守れる。何て言ったっけ(なんつったっけ)、そう、お前ぇさんたちの言うウィンウィンとかって奴だ。だから、少しくれぇは、こっちの我が儘を聞いてやっちゃ、くれねぇかな? 」

「なら、悪党一味を捕らえるに辺り格段の働き。また罪に問うような事も無く御咎め無し。また、O.E.D.O.について固く口止めの上、放免とする。って事でいいか? 」

「よっ、名判官っ! でもいいのかい? 知らなくてもいい事を知ってると大変な事もあるんだぜ? 」

「その心配なら無用よ。どうせ話しても厨二病くらいに思われるだけで誰も信じやしないわ。」

 確かに北条さんの言うとおりだ。これで色葉の事を色々とお願いしやすくなる。普通なら迷惑かもしれないが、北条さんにとっては願ったりだろう。

「時に竜紋。」

「はっ。」

「本日、只今を以て筆頭与力の任を解く。」

 一瞬、ミッチーの顔色が変わったが反論はしない。これも武家社会なのかもしれないが、こっちの世界ならパワハラの不当解雇だ。

「奉行。ミッチー… 竜紋はよくやってくれた。何故、解任されなきゃいけないんだ? 」

 ミッチーが直接言えないのなら、僕が代わりに聞いてやる。

「だから慌てなさんな。竜紋には別のお役目を与える事にした。竜紋 光之介、本日より異界見回り役を命ずる。」

「異界… 見回り役… でございますか? 」

「先の益田四郎の件、今回の件と立て続けに異界転移事件が起きた事を受け、見回り役を置くこととあいなった。ついては現状、転移の確認されている、この世界へ駐在を命ずる。」

「は、はぁ…。」

「気の無ぇ返事だなぁ。難しく考える事ぁ無ぇ。暫くこの世界に居て鍋島氏とこの世界を守れって事だ。」

「おい、奉行っ! ミッチーが居るなら僕はお役ゴメンじゃないのか!? 」

「悪ぃが、上様御声掛ってのは存在事態が異例中の異例なんだ。もし、竜紋より魔力が強ぇ奴が来た時、お前ぇさんしか頼れる存在が無いんだよ。そこん処、分かってくんねぇか? 」

 そう言われてしまうと、僕としても無下に断る訳にもいかない。それほど正義感に熱い訳ではないが、色葉の事もある。O.E.D.O.とは仲良くしておきたい。

「仕方ないな。引き受けるよ。」

「そいつぁ、有り難ぇ。んじゃ、嬢ちゃん。O.E.D.O.にけぇるぜ。」

「それじゃ、お姉ちゃん、またね。美雲お姉さま、常世さん、お姉ちゃんを宜しく。竜紋さん、お務め頑張ってください。あと、お姉ちゃんを泣かせたら承知しないからね、お義兄ちゃん! 」

「お義兄ちゃん!? 」

 筝葉は笑顔で奉行と共にO.E.D.O.に帰っていった。

「良かったわね、筝葉ちゃんに認めて貰えて。でも、大丈夫? 」

「え? 北条さん、何がですか? 」

「私や佐野さんの記憶とか、色葉ちゃんのご両親に鍋島さんの事とか。」

「あぁ、大友あいつが居たら、二人の記憶も消してたと思うけど、北条さんと北条さんの信頼する佐野さんなら大丈夫かなと。色葉の両親には… 口止めしても、多分バレます。」

「鍋島さんって、そういうとこ、結構、冷静よね? 」

「え? そうですか? 」

 社交辞令なのか、大友を基準に僕を見ているのか分からない。もしかすると深く考えている訳ではないかもしれない。色葉と違って北条さんの考えている事は僕には読めなかった。

「そうだ、ミッチー。これからどうする? 」

「どうすると申されますと? 」

「こっちの世界に駐在するって事は生活しなきゃいけないだろ? 色葉を見てたから、お金は要らないだろうし食べるには困らないと思うけど、住むとこくらいは必要だろ? 」

「生活… そ、そうかぁ~っ! お、お奉行ぉ~ 」

 何を慌てているんだ?

「落ち着けミッチー。魔法で、ある程度は何とかなるんだろ? 」

「いや、それがそれがし、ものつくり系の魔法はからっきしでして。」

 色葉に袖をひかれた。

「直、御武家さんは、物作ったりしないの。それは農家や鍛治屋さんなんかが得意なの。」

 職業によって得意な魔法が違うって事か。まぁ、皆が何でも出来たら商売なんて成り立たないか。っていうか、労働自体に意味が無くなるか。それは、それで怠惰な人間が増えそうで嫌だな。とはいえ、こっちの世界でミッチーの仕事を探すと云うのも大変そうだ。常識も違うし話しが急過ぎる。着替えさえ無い。ちょっと、僕の服は入りそうにない。かといってO.E.D.O.に取りに行こうにも勝手に転移するのは拙いだろう。奉行の配下が犯罪を犯す訳にもいくまい。

「あの、よろしいでしょうか? 」

 声を掛けてきたのは佐野さんだ。

「差し支えなければ、うちに住み込みで働いて頂く、というのは、如何でしょう? 」

 ちょっと頭の中が整理しきれなくなってきた。

どうなるミッチー?

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