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ハジマリのハジマリ

プロローグ

なにも見えない暗い闇のなか、何かを引きずる音がする。そして、よく耳を澄ませば、荒く浅い呼吸が聞こえる。


『ドンッ』 というなにかを叩きつける音が聞こえると共にその呼吸が止まった。




「うわー、こっわーこれRPGじゃなかったっけーこの始まり方ホラゲぽいんだけど、安くて買ったのミスったかな~」


平日の昼間、窓も閉まりきった暗い部屋の中1つ明るく光るテレビの画面の前に毛布を体に巻き付けながらゲームのコントローラーを手に持ち、そばには、スマホ、ポテチ、チョコ、コーラを置いた完璧で快適なフォーメーションで、テレビ画面に集中している一見中学生にも見える童顔の暗めの茶髪の少年は、今年高校1年生になった白上 瑠璃(しらかみ  る り)だ。


なぜ、平日の昼間に今時のキラキラネームの高校生が1人部屋にこもりゲームをしているかというと彼は今インフルエンザで学校を休みになっているからだ。

彼の学校は、校則は基本的に緩く髪の色や長さに関して厳しくない。だから、彼は髪を染めることやピアスをつけていることが許されている。顔は、整っていてよく似合っている。

彼は、日々の辛い学校生活から解放され親も仕事で家にいない。今、彼は、とても幸せな気分で昨日の夜にダウンロードしたゲームに文句を吐き出している。


いつも学校に行けば、趣味の合わない友達に合わせ本来の自分とはかけ離れた趣味について話す。

そんな、毎日の繰り返しの中、やっと自分のところに1週間休みという名の神が舞い降りたのだ。つい笑顔になってしまっても仕方がないだろう。しかも体は、とても元気なのだ最高でしかない。

心配して、連絡をしてくる友達には悪いと思っているが今自分は世界で一番リアルを充実させていると思っている彼は、彼らの連絡を無視してゲームをしていた。しばらくしてプロローグから、3時間ほどたったころ、彼のもとに親から連絡が来た。


「もしもしー、瑠璃、きつくない大丈夫?」


「ゴホゴホ、母さん心配しなくても大丈夫だよ少し咳がでるだけで大丈夫だよ」


「本当?それなら、やっぱり学校に行くのは無理かな、学校から電話があって診断書を提出しなくちゃダメなんだけどお母さん仕事を、抜け出せそうになくて学校近いから瑠璃に行ってもらおうと思ってたんだけど...」


「あー、それって今日絶対?」


「今日までに出すように言われたから今日までだと思う。少し職員室に行くだけだからお願い」


「分かったよ..じゃあ、行ってくるね」


「うん、本当にごめんねきついのに..気をつけて戸締まりしっかりしてから家でてね診断書は、私の机の上だから」


「うん、分かったバイバイー」


プツン 


まじかーだるすぎでしょー、診断書とか明日でも同じだしなら父さんか母さんが朝出しにいったらよかったじゃん。きつー急に体調悪くなった気がする。まあ、心のなかでいくら文句言ったってしかたないしセーブしてから家でるかー制服着るのめんどくさー。



マスクをつけて長い前髪のしたに冷えピタを付けて制服を着てピアスを外してから診断書をリュックサックのなかに入れる。

準備が終わり家をでると彼が真っ先に向かった場所はコンビニだ。

どうせ、休みで今日までに行けばいいんだったらちょうどみんなが帰るような時間に行きたいしコンビニでジュースとお菓子のスタックを確保しとかないとダメだからと彼は、自分に言い訳してコンビニに入った。

もちろん、こんな平日の普通に授業が行われている頃に近くの高校の制服を来た男の子が入ってくれば注目をあびてしまうのは、仕方がないだろう。

店内からの多くの視線を感じ自分の置かれている状況を考えた彼は必要なお菓子とジュースを買って直ぐにコンビニを出た。

それから10分ぐらいして、ちょうど最後の授業が始まった頃に彼は学校についた。

それから他の生徒とすれ違うことがないことを祈りながら早歩きで職員室に向かった。

無事に何事もなく職員室に着き診断書を先生に渡して先生に心配されながら職員室を出ると。金髪のイケメンが先生と話していて不味いと思ったら少しして目があった。すれ違わなかったが、考えうるなかでもっともめんどくさい人物に出会ってしまった。


「あれ?瑠璃じゃね?」


「げっ、おおー草山今日は、飯一緒に食べれなくてごめんなー」


「あ、やっぱ瑠璃かー全然気にしなくていいぞーインフルって聞いたけど大丈夫ー?」


「大丈夫大丈夫、心配してくれてありがとな、先生に診断書渡しに来ただけだから」


「せっかくだし、あと帰りのホームルームだけだから一緒に帰ろうよ」


「あーでも俺インフルだから教室に居たらうつるかもしんないから」


「いやいや、大丈夫でしょそんな5分くらい一緒にいたぐらいでうつらないから」


そのまま断ることもできずに結局ホームルームだけ一緒にすることになった。

教室のドアを開けるとやはり注目を集めてしまう俺。

そりゃそうだ本来インフルで休みのはずなのに平然と教室に入ってきたのだ色々な生徒から声をかけられそれらすべてに草山が、俺が教室に来た経緯を話した。

クラスの面々から心配されるなか俺は、少しきついぐらいだから心配しなくても大丈夫だよーと言いながら自分の席に座り草山や他の友達と喋っていた。


ガタン

少し強い勢いで教室のドアが開くと、美少女二人とめんどくさそうな顔をしている冴えない男子が入ってきた。

片方の黒髪の美少女から決まり文句のような同じ質問が飛んできた

「あれ?白上君、学校休んでたんじゃないの?」

先ほどとは、違い草山ではなく友達の女子が彼女の質問に答えてくれた。そして、彼女は質問したくせにふーんとどうでもよさそうに納得してまた、冴えない男子ともう片方の薄い金髪の美少女と共に席で彼ら三人の会話に戻った。それから、トイレや掃除をしていたクラスメート達が帰ってきた。彼らは、俺に関して目を合わせようともしない。



これがこのクラスの普通だ。


このクラスは、二つのグループに別れている。1つは、いわゆる陽キャグループこと俺、草山を中心としたグループ。もう1つは、冴えない黒髪の男子こと、鈴木 良鬼(すずき りょうき) と黒髪の美少女、黒岩 楓(くろいわ かえで)と薄い金髪の美少女佐東 灯理(さとう あかり)この2人の美少女を中心とした女子グループ、このグループはこの2人が鈴木に喋りかけたときは邪魔をしないようにしている。他のクラスのメンバーは、少人数かぼっちで教室にいる。

俺も高校デビューが失敗していれば少人数のグループになっていたかもしれない。

彼らは、協調性がなく個人で、あるいは少人数グループで動いている。40人ほどいるクラスのなかで30人くらいが皆と仲良くしようとするメンバーだ。

残りの10人ほどが仲のいい人としか話そうとしない。クラスで協力して授業をする場合に自然とその10人がのけものにされても仕方がないだろう。

多数のメンバーがこういう風にしようと言い協力して動こうとすると拒否し案を出さずに文句を影で言う。

どんどん、距離が開いていっているのが今のクラスの現状だ。

最初に張られたレッテルはなかなか、剥がせない。

これから、1年間はこうなるのも仕方がないだろう。

だが、その10人の中で嫌われていないものもいる。それが2人の美少女 黒岩と佐東だ。

見た目もよく、性格もよく受け答えをしてこちら側に歩み寄ってくれる2人は、男女ともに好かれている。草山も、黒岩に恋心を持ちよく話しかけにいったり先生にされた頼み事なども手伝ってあげたりしている。しかし、クラスには大きな問題があるそれは、いつも彼女たちと一緒にいる男子鈴木が問題なのだ。

遅刻ギリギリ当たり前、話しかけても受け答えをしっかりしない、いつも宿題を忘れるなど問題がある生徒だ。

だが、一番の問題は彼女たち2人といつもいるということだ。

もちろん、美少女2人と一緒にいるから妬みや嫉みがある。そしてクラスのほとんどが2人が鈴木に好意をもっているということがわかっている。それは、彼女たちの自由で外野がどうこう言うことじゃない。

しかし、彼の態度が問題なのだ。彼女たちが、話しかけるなかめんどくさそうに話し名前を呼ばれてもあまり返事をしない。

ただ、帰るときは他の生徒と彼女たちが話していると「もう、帰ろう」と言い。

話を中断させる。

すると、男子女子ともに彼女たちと仲良くしたいのに邪魔者となる彼は、嫌われる。


クラスについて考えていると帰りのホームルームが終わり、あとは帰りの挨拶だけとなった。


「起立、礼」


学級委員の言葉と共に、教室の教壇を中心に白く明るい、明るすぎる光が広がった...

明るすぎる光と大人数の叫び声が収まる頃教室内では、誰もいない静かな教室だけが残された。


これは、後に今世紀最大の神隠しと報道される...

わけではなかった。そもそも彼らは、存在しないことになり誰にも気づかれず誰にも知られず地球から消えた。


「やばいやばいやばいやばい出血を止めないとこれ絶対に死ぬ、なんで、俺なんだよ俺じゃなくていいだろ、父さん母さんごめん死ぬかも...」


1人暗い洞窟のなか腹から血をだす少年は、一筋の涙を流しながらそう呟いた。





間違いやアドバイスがあればください。

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