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更生ダンジョンプログラム 課金……してください……お願いします……――  作者: 西山東村山
第一章 課金……してください……お願いします……――
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四節 館内探検隊

 終盤投げやり気味に話を打ち切ったスーツ幼女。

 残された32――いや、一人減って31人か。

 誰ともなしに視線を交えて、曖昧な顔で笑いあう。


 これからどうしよう。


 見る顔全てにそんな表情が浮かんでいる。俺だってそうだ。何するでもなく、ただ突っ立っている。誰かが、あるいは何かが動いてくれるのを待っている。

 だからきっと。


「え……っと。ちょっと集まりませんか? 自己紹介とか、しませんか?」


 そう切り出した彼は、きっと凄い人間なのだろう。




 自己紹介は、まあ恙なく終わった。終わったさ。けど、考えてみてほしい。

 30人だぜ? 30人の顔と名前と特徴を一度に覚えろって、そりゃあ無理があるだろ。

 結局、印象深い相手しか覚えていない。たとえば、


「平賀です。皆さん集まってもらえてほっとしています。えっと……24歳で、埼玉でサラリーマンやってます。

彼女はいません、よろしくお願いします」


 平賀さんは自己紹介の呼びかけ人で、そのままなし崩しにリーダーになった。正直なところちょっと頼りない印象ではあるが、なにしろあの場で最初に声を上げた人だ。それだけで十分にリーダーの器だと思う。


「石原だ。今年で52になる。この中では年長者のようだが、なに、あれこれと諸君に指図するつもりはない。

ともに苦難を乗り越えよう」


 平賀さんが頼りない分、どっしりと自信満々な出で立ちの石原さんが副リーダーに就任した。どこぞの偉い人のようで、頼られるのに慣れているのだろう。本人も副リーダーの要請に快諾してくれた。

 解放条件を質問した人でもある。


「次俺っすか? あ、翔琉っす。18っすね。よろしゃっす」


 ウィンクを決めて自己紹介をした翔琉クン。いやあっちが年上なんだけどね。本人がそう呼ぶように主張したのだ。


「恩田」


 暗い。暗い人間は何人かいたが、この人は輪をかけて暗い。三十代か?


「アンリよ。こんな見た目でも日本人だから、あまり警戒しないでちょうだい」


 銀髪のショートカットが珍しい。凄い美形ではある。が、目が無機質で怖い。高校二年生。同い年には見えないっす。


「桃木坂です。じゅ14歳です。ふへ、えへへ……」


 何人かいた暗い人間の一人。常に薄っすらと笑っている。

 愛想があるからいいって? そりゃ愛嬌がある場合はそうだろうさ。この女、目は虚ろ、顔色悪く、高身長で声小さいと、そんな女が薄っすら笑ってるわけだ。不気味だろ。


「富谷美紀21歳です! 皆さん、頑張っていきましょう!」


 快活、巨乳、可愛い。百点です。女性陣一番人気っぽい。アイドル顔っていうのか?


「房野よ。教職に就いていたわ。よろしくね」


 エロい女教師、巨乳、美人。百二十点ですねこれは。



 他にも最年長の堺さん、最年少の誠くん、合法ロリのフリーター、医者のおっさん、ソッチ系の不良少年、不良中年等々。

 覚えきれるか! こちとらクラスメートの名前だってうろ覚えだっつーの!


 ということで一通り挨拶した後、さてどうしよう、とりあえず館を見て回りましょうか、ってな流れになった。

 各人思うところがあったようで、もう休みたいだとか、一人で見てくるだとか、ひと悶着あったのだが、最後には、危険があるかもしれないから全員で見て回ってそれから自由行動ということで決着した。




 一階東フロアには扉が四つ。

 奥の北側にあるのが『チュートリアル』の行われた会場。大広間と呼ぶことになった。

 その対面には食堂があった。一通りの調理器具が揃った厨房と、全員が座れるだけの長机。

 学校の食堂を2ランクばかしアップグレードした感じだ。


 エントランスホール側の北側扉の先は遊戯室とでもいえばいいのか。

 ビリヤード台にダーツ、丸テーブルがいくつかに、棚にはトランプやオセロなんかの玩具、それと壁にはでかいテレビ。

 テレビですよ。いや、これには皆食いついたね。この異常な状況の中、唯一外と繋がる文明の利器なわけで。ちゃんと電源が入って番組が見れると分かった時には歓声があがったほどだ。

 移動する段になっても何人かは動こうとしないくらいの魔力がテレビにはあった。

平賀さん+石原さんも彼らの説得は難しかったようで、


「ニュースで僕たちのことが取り上げられるかもしれないから、しばらくチェックしています」


 と言われてしまえば中々ね。難しいよね。

 という事でテレビの前に一人残して(彼のことは今後テレビ君と呼ぼう)南側の部屋へ。


 中はバーラウンジだった。シックな内装にこじゃれたジャズがかかっていて――いやそれはどうでもいい。

 問題は。カウンターに、あのスーツ幼女が立っていることだ。


「あらいらっしゃい」


 何食わぬ顔でグラスを磨く姿に面食らったのは言うまでもない。先ほどの件もあるので、若干ビビりながら不良少年と不良中年の二人はスーツ幼女に詰め寄った。

 彼らは色々な質問をしたが、「担当が違います」の一点張り。ならお前は何なのかというと、どうもこの部屋は『ショップ』と呼ばれる所持金と道具の交換所で、自分はその仲介人である旨を主張してきた。

 あくまで大広間のスーツ幼女とは別人の設定で通す気らしい。

 それと、この『ショップ』とやらは開店準備中らしく、後日訪ねるように言われて追い出されてしまった。


 それから学校の一クラス分くらいはある集団は、ぞろぞろと廊下を歩いてエントランスホールを突っ切り西フロアへ。

 途中、エントランスホールの南、本来なら玄関にあたるであろう所にトイレがあるのを確認する。

 西フロアも似たような造りで、両開きの扉が四つ。東フロアとの違いは、突き当りに扉があることくらいか。


 手前の二部屋は空室だった。ガランとした空間が広がるだけで、物らしいものは一つもない。

物置だろうか? とりあえず放置。

 奥の扉は風呂場というか……ロッカーが並んでいて、だだっ広い浴槽にケロリンの桶が積まれていて……銭湯だね、うん。

 ここだけ妙に日本風だ。安心感が凄い。みんながホッとした表情を浮かべているように見えたのは見間違いじゃあないだろう。


 そして、これが問題なのだが、突き当りの扉には札が下がっていた。

 実に事務的な筆跡で、


『この先別館 ダンジョン入口あり 危険』

会話がないと味気ないですね。もうしません。

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