吸血鬼の始祖は堕落の日々に飽き飽きする。
吸血鬼は日光に弱い。
ニンニクに苦しめられ、
銀に弱り、
杭で殺され、十字架で手出しができなくなる。
そんなこと、誰が決めた。
確かに、大抵の吸血鬼は“そう”かもしれない。
だけれど、それは大抵の、下等な吸血鬼の話だ。
そう、いるのだ。
日の光の下を悠然と闊歩し、
どんなものでも平然と喰らい、
銀の装飾品を身につけ、
心臓を杭で穿たれようとも死なず、
十字架を踏みつける。
不老不死を唄い、暗き魔界より悪魔を連れて現れるという彼らを、
人々は始まりの吸血鬼ーーー
“始祖”と呼んだ。
堕落の始祖
2017/06/01 00:00