その攻撃には曇り無き
敵と接触までの歩幅と
攻撃までの時間を直ぐに予測する。
聖イースト王国が全員乗馬の騎士に対し、
こちらの
オーグ・ストライク帝国の兵は
皆走りで軽装の遊撃隊だ。
ならせめてもの時間稼ぎのために
僕らは前衛を少しずつ
蹴散らしていかなければならない。
ガイは後ろから双斧を
下げて走って付いてくる形だ。
接触まで少しのところで、
トップギア全開にして、
一気に間合いを詰めた僕は思い切り
屈んで身体を敵の足元へ滑り込ませた。
驚いた前衛の敵は
迎撃までの時間に僅かなラグを発生させた。
────今だ!!
敵の足元から全力の喉突き。
僕がなりふり構わず敵へ
突きまくるのを、背後からガイの援護。
僕目掛けて剣を振りかざすも、
次の瞬間には顔面へ斧がクリーンヒット。
僕が攻撃に徹するだけでも
ガイの援護のお陰で僕は傷一つない。
続いてこちらに走ってくる
敵の剣を反らして難なく腹へ
刀をスライドさせると、
呆気なく血を噴き出して倒れた。
勝利を確信した僕は、
何故かあの台詞を唱えていた。
「隻手の音声を訊け!」
前の敵兵達が
何事かと驚いて足を止めた。
ここで刀を地面に落とさない。
刀を握ったそのままで
左手首に刃を当てつつ、
「───隻手の音声響きたり!!」
刃を当てて下ろしかけた
右手が乾いた音を一つ上げた。
左手首から滴る血は、
手を伝って右手の刀身を
包み込むように集まってゆく。
腕引きは二人居なければ成立しなかった。
だが今は結構死体が転がっている。
これらを吸い取るイメージで────
僕の左手から溢れ出る
血液を極限まで少なくして、
刀を死体へと向けて突きの構えを取った。
すると────
転がっていた死体が散り散りに砕けて
血だけになったかと思うと、
刀に結集し始めた。
得体の知れぬ物の発動を止めようと、
隙だらけの僕目掛けて
オーグ・ストライク帝国の
敵兵が走ってきた。
この量なら─────!
突きの構えをといて
横凪ぎできる体勢に切り替えるべく、
腰に構えて血を細長く鋭く固めた
のと同時に、ガイが後方へ跳んだ。
僕はいつの間にここまで
血を操るようになったのか。
それはともかく、
敵が僕の頭上へ剣を
持ってきた瞬間に
これを振り抜かねばならんな。
身体を巡る血が少なくなったからか、
意識が少し遠くて動きが覚束ない感覚。
それでも
血の刀を限界まで細くした。
その間に自然と、僕から
一番近い敵の攻撃を予測していた。
敵が僕を捉えた、その瞬間。
ほぼ全員の腹が
がら空きになったのが見えた。
刀で敵の喉を突く要領で、
瞬間的に血の刀を大群目掛けて振り抜いた。
その瞬間、
数百の兵が一斉に血を噴き出しながら
胴体を切り離してその場に倒れた。
残り数十名の兵は、
何が起きたのか一瞬ポカンとした後、
「てっ........撤退!!」
ガイはこちらに走ってきて、
「追って全滅させないのか?」
「今は自軍だ.....それと、
戦争なら難なく止め刺すのな」
「あ、ああ。これは殺し合いだからな」
そう言うと思った。
だがしかし、オーグ・ストライクの援軍を、
一刻も経たない内に蹴散らしてしまった。
そろそろ自軍へ戻ろう。




