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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第二章 ─排斥─
51/59

逆襲

刀を握る。

ゆっくりと抜いてから、

それを地面すれすれまで下ろす。

そして静かに息を吸う。


「こうして二人並ぶのも久し振りか?」


ガイは背中に吊った二本の

斧を抜いて右腕を大きく振り回した。


「そうだな───おい、僕に当てるなよ?」


ガイはおどけて笑った。


「当てるかよ、俺はドワーフだぞ。

そんじょそこいらの巨人とは筋力の

差と筋肉の質が圧倒的に格違いなんだよ」


「そうだったな」


そういえば、そうだった。

ドワーフの筋肉は小さいのに

よく伸びてしかも大きくなる。

そのお陰で質が良く、

力の伝導が効率的なんだったな。



ちなみに今僕らの居るところは山頂。

敵国である聖イースト王国へ

奇襲をかけるために山の上に

布陣を構えているのだが、

どうも陽動隊が国へ突撃しているらしい。

作戦は単純で、

敵国へ攻めた兵が少ないと思わせたところを

僕らが一斉に降りて油断した敵をぶっ叩く。


山の下に国を構えているのは少ない。

普通は山の上に建てるのがセオリー。

そうすると奇襲をいち早く確認できるし、

こちらに向かって来る兵を未然に確認できる。


「見ろよワイズ、開戦だ」


「ああ........!」


そんな僕らに

軍の兵士が声をかけてきた。


「黒犬、ガイ 準備しろ。そろそろだぞ」


「「おう!!」」



手首だけで刀を二、三度振り回す。

それを見たガイは牙を覗かせながら、


「それ......格好いいな」


僕は敵陣を見ながら、


「そうか?いつも

やってるからそうは思わないな」


するとすぐ近くから怒号に似た雄叫び。


「っけええええ!走れ野郎ども!!」


続いて兵士達の掛け声。


「うおぉぉぉぉおやああああ!」


「これ終わったら俺は

アイツと結婚するんだ!」


「オイ、それ死亡フラグ!?」


「うるせえ、死ぬかよ!」



掛け声は様々だ。僕の任務は、

自軍の兵を極力減らさないこと。

要するに僕が一番暴れればいい。



すると、

ガイが山の急斜面を

駆けながら滑り降りた。


「行くぜ相棒!」


僕も地面を蹴ってそれに続く。


「ヤァアアアアア!!」


もう目の前には城壁がある。


陽動隊は既に

多勢の騎士と交戦していた。

轟く馬の鳴き声は勇敢にも思える。

僕らが近付いてきたあたりで、

リーダーとおぼしき騎士が声を上げた。


「加勢か!?やりおるが!!」


こちらの軍の

リーダーは鼻をすすって、


「ヘヘッ、

こりゃあ勝負あったか.....?

───押せ押せこのまま押し切れ!!」


「うおおおああああ!」


僕らはそれに続いて騎士の盾を叩き、

隙有らば鎧の隙間

目掛けて刀を突き込んだ。



よし、こっちの軍が押してる。

このまま行けば───────!



「───オオオオッ!!」



......ん?背後から声?

自軍の援護か?

─────いや、違う。



僕らの後ろで兵士が叫んだ。


「リーダー!後方から敵襲来!!」


「あの旗の紋章ァ....

....オーグ・ストライク帝国!?」


自軍の兵の声に敵大将は鼻を鳴らした。


「フンッ、遅い援軍でやんの。

もう少しでスジャを捻り潰せたのによお」


それに続くはリーダーの唸り声。


「んだと!こいつらやりやがる!

........混戦か、こうなりゃあ

二つまとめて一気にやっちまうぞ!

おい、援軍要請行ってこい!!」


リーダーの隣に控えていた

兵は敬礼して即座に答えた。


「ハッ!既に馬を走らせております!」


「ならばよし!

オイ、黒犬とガイ!向こうを叩け!

少し兵を回してやる!

残り少ない兵で俺たちはここを掃く!」


ガイは前線から少し下がって、


「分かりました!」


僕は前の騎士の首を

跳ねてから短く答えて後ろへ駆けた。


「御意」


「後ろは任せた!」


リーダーのその声を背に前を

見た僕らは一瞬呆気に取られた。



城の両サイドから別の兵が来ている!?

今の自軍の編成はこの作戦に

あわせられておりかなり少ない。

─────この流れは危ない!!



僕らの後ろから兵士の声。


「オイオイ何だこりゃあ!?

二つも援軍取れたのか、コイツら!」


「フフン、この布陣なら

雑魚でも強戦力になるだろう。

俺たちを見くびるなよ?もう、

お前らは囲まれてるんだ。

同盟組んだからにゃあ、

ここの城は落とさせねえ!

...............死ねやあ!!!」



「敵が増えたな....。

ガイ、僕の後ろを任せれるか?」


後ろを見て

呆然としていたガイだったが、

すぐに目の色を戻して、

僕を見て強く頷いた。


「行くぞ、ガイ」


「おう!」


二人は並みならぬスピードで

オーグ・ストライク帝国の

先陣へ孟突進した。

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