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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第一章 ─黒犬─
36/59

形質保持 ─Trait keeping─

作者「む、予約投稿が一日早いぞ?w」


ズレてますね、

先週 投稿出来ていなかった事を

深くお詫び申し上げます

たいへん、失礼致しました


実はわたくし、

神社のおみくじにて、

末吉を引き当てました。


ということで、

今日も投稿してしまいます、

今更 一章と付けてはおりますが、

実はもう直ぐで二章なのです。


一章:ガイとの出会い←最近出番ない

ギルド入団と身の上話の明かし


二章:周辺国との対立、

そして妹 ヘイズ・ケトーのお話

の各章 二本立てでお送りしております。


読み続けて下さっている読者様、

今後とも


Blade And Hatchetts を


宜しくお願い申し上げます


それでは、お話の始まりです

ギルド:ホーン・ブル、

ギルドマスターの部屋の

木製 重い二枚扉を開けた直ぐ、

透明なガラス製の足の短いテーブルを

両側から挟んだソファの一つに腰掛け、

ワイズの秘密を話すと

宣言したホワイト・アウトの

ギルドマスターこと、

マグナ・コリンズは


ボクこと、

クリムゾン・コートの異名を持つ

燃えるような赤髪のラガルの隣で、

天井よりも遥か遠い何かを

見つめながら語り始める。



ワイズの産みの親は

とうに死んでいる。

貴族に仕えていたワイズの父に

"ケトー"と言う苗字が有った。

だから、本来はワイズは下民でなく、

れっきとした国民なのだ。

ワイズは隠している様だがな。


ワイズの父の名も、

また母の名も知らん。

私があの子を拾った時には既に

二人は共に、

この世に居なかったからな。

"ケトー"とは ある王国の、

私の知り合いの

今でも国に仕えている人間が

言っていた話の中に、

三人の子どもを残して

国王に忠実な男が死んだ、

と有った。


長男だけは腹違いで、

先立った前妻との

間の子どもだと言っていたな。

今でも話していた

その名前を覚えているよ。


長男"ノーザン・ケトー"

次男"ワイズ・ケトー"

三女"ヘイズ・ケトー"


男は二度も妻に死なれた

悲しみで自殺したのではないか、

と まことしやかに噂が囁かれている。


さて、

ワイズを

拾った時に知ったものが

幾つか有るのだ。

私が拾って触れて

直ぐに感じたものは、

ワイズが自然体で

魔法を放っていた事だ。

無詠唱発動とも呼ぶが。

しかしながら、

まだバケットの

長さしかない子どもがだぞ?


私はギルド創設より以前から

一緒に居た妹のケイラと

この魔法についての解析を始めた。

ここで私が一つミスを犯したしたのは、

この魔法は

"本性を現さない"ということ。

魔力を使っているなら、

何か物に作用するだろうと

踏んでいた私達だ、色々試したよ。

しかし私達はワイズの放つ魔法の

正体を解析する事が出来なかった。

それどころか、ワイズがその魔法を

"放たない時が無いこと"を知った。


マスターの今までの

口振りは淡々としていた。

そこでボクは、

思った事について口を挟む。


「それは この世の中、

つまり世間一般の者達が

未確認である範囲の魔法

だったという事ですか、マスター?」


「その通りだ。

私達は早くも一つの

結論を導き出したな。

"この魔法は物でなく、

ワイズだけに作用する"とな。

そしてワイズはおそらく

その魔法を使うに当たって、

魔力を消費していない。

それらの点で 世にも珍しい魔法だよ」


先程まで静かに訊いていた

フールが声を上げた。


「マグナ、その口振りから

察するに次に解析する事と言えば

ワイズへ直接の───人体実験か?」


マスターは驚く表情も見せずに、

ただいつもと変わらぬ氷の無表情で、


「その必要が無く、

検証する前にワイズ自身が

魔法の正体を導き出した。」


目の前のフールは、

ほっとひと息ついた。

どうやらワイズの身を

案じていたたけのようだった。

どうやら先日の奇襲の一件、

この女がやった差し金だった

という線は無さそうだな。

ボク自身、

ここに居る理由が

その確証を得ること。

マスターがワイズの

身の上話をしている間に、

フールの腹の内を

引きずり出して暴いて

報告するのが今のボクの任務。

さて、マスターの話の続きだ。



ある朝───

メイドのシアンが

私達にブレンドティーを振る舞った。

いつも完璧なシアンのことだ、

少し疲れていたのだろう。


その時、

人気の少なく私とケイラ、

としてワイズしか居ない広い食堂に

ブレンドティーの

入る以前のカップを運んで来た

シアンがカップを落とした。

カップを乗せた皿の方は

落ちなかった。


私がギルドに新しく

入れたワイズのお陰で、

用意するカップが一つ

増えたからだったのかも知れないが、

落ちたのは私達に

配ろうとした方ではなく、

まだ配られていない、

盆に乗った方の空のカップだった。


しかしその時、

私の隣に腰掛けていた

ワイズの姿がふっと消えてだな、

後から落ちた

二つ目のカップを掴んで、

最初に落ちた

一つ目のカップに手を伸ばした。


ワイズはカップを

掴みに椅子から降りて屈んだのだ。


私は治癒魔法が使えたから、

怪我してもワイズを治してやれる、

あの一つ目のカップは

この高さからだったら

仮にワイズが間一髪で掴めても

床に触れ

容易(たやす)く砕けるだろう、

とそう思って、ただ尋常じゃなく

速く反応したワイズを黙って見守った。


カップは食堂の床に着いた。

だがその前にワイズは

カップを掴んでいたんだ。

手の重みと落下の相乗効果で、

人気(ひとけ)の少ない

食堂には大きな音が響いた。


ガラスの割れ

破片の飛び散った音が

したわけではなく、

まるで

石のような個体が

同じく堅い床に

ぶつかったような音だった。

それはカップが

床に落ちた音としては、

あまりにも異質だった。


「ただ単に、

ワイズの減速が

間に合わなかっただけ

なのではないですか?」


ボクの問いかけに、

マスターは静かに首を横に振った。


「カップには傷一つなかった。

実験好きの妹ケイラが

同じように試したら、

酷い音と共にケイラの

手が血だらけになったよ」


ボクは紳士らしく真顔で、


「ただ単に、

ケイラさんの減速が

間に合わなかっただけなのでは?」


マスターの反応は───



肯定したっ!!



二回も首を縦に振ったマスターは、


「私もそれは思った。

急いで治癒魔法をかけてやったから

大事には至らなかったがな」



そしてマスターは

話に結論を付ける。


「ワイズの魔法は正体を現さない。

そして任意の物を、

意志の強さでどこまでも

その性質を保たせる事が出来る。

要するに、

刀の切れ味は落とさないし、

ワイズの触れる金属に酸化は

訪れない、

紙は塗れないし破れない。

──念じて触れている限りな。

だが、能力は外形的に現れず、

表現型でしか形質が

発現しない事から私はこの魔法を

形質保持(トレイト・キーピング)と名付けた。

その一つの効果として現れた、

付加価値とでも呼ぶべき代物(ふくさんぶつ)こそ

"折れない刀:不知火"だ。

あれを折れる者はこの世に、

所有者たるワイズ以外居るまい。


従って、

人間にとっての不老不死が

ユニコーンの血を飲むことや

心臓を悪魔に捧げる事なら、

物にとっての不老不朽は

おそらくワイズに所有される事だ」



マスターは静かに、

それが結論だ と付け足し、

テーブルの上にかなり

前から放置されていた

冷めた紅茶に口を付けた。

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