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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第一章 ─黒犬─
34/59

犬牙 ─side ragal─

ワイズとすれ違ったが、

昔にやった 何気ない会話を

何度かして、ワイズは

下の階へ降りてしまった。


ボクは今、

我がギルド:ホワイト・アウトの

ギルドマスターこと、

マグナ・コリンズと共に

ホーン・ブルのマスターの

部屋の前まで来ている。


これからこの部屋で

行われる話は極秘事項。

誰にも知られてはならない秘密で、

ワイズに関することだ。


ボクはただ単に

親に捨てられ、拾ってくれた

インプに育て上げられた。

その後、

大切なもののために一つ、

罪を犯して軍に引き取られて

戦争に赴いていたところ、

戦火の中で、

殺されそうになっていた

ボクの恋人を助け損ねたボクは

自暴自棄になり、自殺を謀ったが

ワイズがそれを止めて尚、

戦争を終わらせてくれたことから、

ホワイト・アウトに

所属することにしたのだが、

そんな事は今は関係なくて、


「ようこそ、

マグナ───久しいね。

そちらの赤い外套の

青年はラガル君かな。」


ボクは小さく返答する。


「ああ。」


マスターは無言で部屋に入ると、

直ぐそこにあったソファに腰掛けた。

フールはブーツを鳴らして歩き、

マスターの正面のソファに座る。


「ワイズが

リフレイン・ゾンビに襲われた。

ウチには何も仕掛けてきてはいないが、

どうもワイズ単体を狙っている気がする。」


「二度目の戦争でもしようと言うのか?」


フールはマスターの

言葉に鼻で笑って返す。


「フッ、私も最初はそう考えてみたが、

一日で三国も滅ぼすほどの

作戦と戦力があることを目の前で

見せつけられたら下手に動けないと思うが?

そしてそれは戦争と呼ぶのかな、君は?」


「それなら、強襲の時と同じように

ワイズを森なり野原なりに

引きずり出して、盾兵で囲んだ陣形に

槍兵が隙間なく突き込めばいい。」


おい!

この人真顔で言ってるぞっ!?

フールは焦り顔で、


「ワイズは自分自身で、

大人数まとめて

狩る専門だと言っていたが?」


その(げん)にマスターは動じない。

むしろ飄々とした氷の表情で、


「そう言えばそうだったな。」


とりあえず口を挟むボク。


「ボクが取り囲まれて

ワイズだけを逃がす事に成功した時には

あいつらはワイズの同期の娘二人を

拉致しようとしていたみたいだったが...。」


ボクが考えるように黙ると、

フールが口を開いた。


「ワイズを引きずり出す口実か...?」


しかしマスターの反応は、


「そうに決まっているだろう。」


ボクとフールが同時に

えっ という顔をする。

マスターは続けて、


「奴らはホーン・ブルに

所属するワイズを殺せる陣形、

万全に無傷(ノーダメージ)で狩れる

態勢で来た。この時点で、

彼らが(ホワイト・アウト)を敵に回したというのは確定だ。」


フールは真剣に尋ねる。


「それは、何故?」


「どこのギルドも大抵は、

大ギルドに楯突かない。

代わりに従うんだ。代わりに動きもする。

そうした態勢を取れば、そのギルド達は

従順 あるいは裏切らない、そう思うからな。

それなりに強くて付き合いが長ければ

愛着も湧くだろう。

つまり、長年同盟を組んできた

そんなホワイト・アウトを

裏切ったという事は、

同盟を組む必要性を失ったと言う事だ。」


ボクは

同盟を組む必要性を

失った理由に心当たりがあった。


「新しい戦力でも?」


ボクの言葉にマスターは、


「その可能性が有る。

だからフールはワイズを

外した後で私達を呼んだのだろう。

ワイズはどこへ行った。」


マスター、

問いが問いに

なってないです怖いです....。

マスターの冷徹な問いにフールは、


「察しがいいな。

ワイズはユウリ君と一緒だよ、心配ない。」


すっと立ち上がったマスターは

腿にある紋章を拡大させながら

冷徹に問い掛ける。

マスターの腿にある紋章は、

魔力に呼応する。

要するに、

体内で魔力が増長する事があると、

紋章は身体中に広がってゆく。


「外に出たからさっき

みたいに襲われたんだろうが。」


最早マスターを

温められる者は居ない...。

言葉遣いが....。


全くの怯えを見せない

フールは真っ直ぐな

姿勢を崩さず静かに問いかける。


「ワイズが神間である

ということについてだが、

どこまで知っているんだ?」


マスターの紋章が元に戻ると、

静かに腰掛けて口を開く。


「それを全て打ち明けに来たのだ。」



To be continued...

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