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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第一章 ─黒犬─
3/59

horn・bull(雄角牛)

ワイズくんはエビフライが大好きです。

ホワイト・アウト唯一のメイド、

シアン・クロスはホワイト・アウトの広大な土地を

一日の内に整地し、水やりをかかしません。

そんなシアンさんをよく手伝うワイズくんは、

皆には秘密でご褒美にエビフライが四本頂けます。

ワイズくんはこの頃待てを覚えました。

人混みを分けて入る、僕はそんな事をした事がない。いつも強い人の後ろに(かしず)いていたから。僕の前にいつも立っていた人達は、存在だけで他を圧した。

誰も僕の存在には目もくれなかった。僕の前にその人達が居なくなるまでは。


僕の隣に立っている獣の戦士、ガイが僕の耳に囁く。


「おいおい! この人だかり、全部がアンタに注目して道を開けてるぞ」


「そうみたいだな」


至って冷静にそう言って、僕は堂々と川の様に広く空いた道の真ん中を歩いてやる。


「そうみたいって....他人事か」


僕より上の位の者が居なくなっただけなのだ。存在だけで()を圧倒出来る人は僕以外のメンバーだけだと思っていたが、こうも、僕だけで起きるものかな。つまり、僕の存在も認められている、と言う事なのかな。


ちらりと、僕の影が薄ければいいのにと思った。


僕はただ、マグナの(めい)で戦場を駆けていただけなのだ。

僕が仮に"黒犬"だろうと、僕に命令するマグナが居ない今の僕は"マグナの狂犬"たり得ない。それはつまり、ホワイト・アウトに居ない今においては、僕は誰の命も受け付けないと言う事だ。


やってやる、僕に命令する者が居ないのだ。なら僕はこの五年、不知火(こいつ)と僕の無敵の剣技で何処までも行こう。

例えそれが、苛烈極める厳しい修羅の道であろうとも。

まずは自分に任務を課す。ガイをテストに合格させるかつ、自分も合格してみせろ。


任務、開始だ。


大きな門をくぐる。この建物は見た目が道場のようだ。

よく見ると、地面には立合いの枠や開始線などが有る。


すると、集う人々を圧する程の野太く大きな声が道場内に響き渡った。


「時は来たり!!! これより、ホーン・ブル入団テストを開始する!!」


大きな歓声、まるでこの人達はこの宣言を待ち侘びていたかのよう。


しばらくして歓声が止み、軽く入団テストの説明がされた後に解散となった。


後ろからガイが僕の背中を叩く。


「最初は何するよ、相棒」


何でこいつはこんなノリなんだ?


「まずは、"配達"からだったな」


配達テストの概要は、二人一組でどれだけの牛乳瓶を指示された家に運べるか、だ。しかしこの"配達"、ただの配達ではなく、潰し合い有りなのである。

瓶をポケットに入れるのは無しで、片手に瓶を一つ持ちもう一方で武器を握り持つか、武器を使わずに両手で二本運び切るのどちらかだ。


両手武器使いのガイはこれでは不利だ。

いきなり僕の出番だな。


「俺が........瓶を二つ持つのか!?」


驚きも当然だが、そんなに驚かなくても。


「ああ、僕も一つ持つ、ガイは

住所を三つ覚えろ。僕が君を全力で守り抜いてやる」


「....頼もしい限りだ。わかった、頼んだぞ」


僕は笑ってやった。


「任せろ、僕を誰だと思ってる」


さて、一丁やりますか。

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