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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第一章 ─黒犬─
23/59

Secret of the wize (ワイズの秘密)

すみません、

リアルが忙しいと、

投稿が遅れる事が有りますゆえ

ご了承下さい。

ここから、お話の始まりです。



ラガルは、

ワイズが頷いたのを見てから

頷いて、続きを語り始める。

「始めに言っておく。

その指輪を外した後でワイズの理性が

保たれたままであるかは、最早

マスターすら判らないそうだ」


ワイズが目を細めて短く問う。


「何故」


ラガルは言いづらそうに

顔を背けてから、

意を決したように口を開いた。


「指輪を外した後、

"理性がワイズのまま"

保たれるか判らないその答えは、

アンタは人間じゃないからだ」


「人間じゃない...」


なにっ!?

まあ、あの身体能力を見て

"あれは人間か?"と

問われれば

"そんな訳有るかよ!"と

答えるのが当たり前だが、

ワイズの顔は至って冷静そのもの。


晴天をふり仰ぎ、

大きくそびた木々は、

唐突な大風を

受けて大きく葉を揺らし、

木の葉を森に巻き散らす。


通り過ぎる風が

二人の前髪を撫でるも、

ラガルは続ける。


「ワイズは人間じゃなくて、神間(しんげん)だ。

神が創った"人"と"人"の

間に生まれた"人間"ではなく、

"神"と"人"の間にできた、

めでたいとは言えないが、

御落胤(ごらくいん)なんだよ」


「落胤と言うのは、

つまり"正規の子ではない"って事か」


「ああ、身分の高い貴族が、

正妻以外の女....つまり別の

女との子を作って、

周りに知らせずに育てられた子だよ」


ここら辺では

全くそんな事が起こらないが、

戦時中はよく、

そんな事が起こっていたらしい。


と言うか、

ラガルの説明では意味が判らないっ!

人の子じゃない────?

つまりワイズは神だってのか?

そんな事が起こり得るのか、

この世界には。


すると──

ワイズの無反応を見てラガルは、


「アンタには病弱の兄ないし、

妹か誰かが居るんじゃないかと

ホワイト・アウトで話されていたな」


「────不明なのか?」


「ああ、アンタの家族が

不明なのに関係有るんじゃないのか?」


ラガルの問いに、

ワイズはしゃがれた声で言い放つ。


「そいつに会えば判る。

多分、そいつは知ってるんだろう。


「───ワイズの存在を?」


「違う、親の顔だよ」


ラガルの顔が一瞬陰った。

だが直ぐに気を取り直す。


「─────。続き、いいか?」


無期(むご)の後に、

ワイズは静かに頷いた。


「ホワイト・アウトのマスター、

マグナ・コリンズは悪魔の降霊術を行った。

何故そんな事をしたのかは不明だが、

問題はそこからだ。

降りてきたのは悪魔ではなく、

戦いの神だった。下位族だったがな」


ワイズは

少し驚きの表情を見せて訊ねる。


「名前は───有るのか?」


「ああ、名は──"()の神"だそうだ。

確か、外から来た客が

神話に詳しいらしく、そう呼んでな。


「"倭"とは不思議な名だな。

何か意味が有ったのだろうか」


「訊いた話では、

極東に小さな島国が有って、

そこの島にかつては

奉られていた神なんだが、

信仰を失って神の力を失った。

代わりに今は巨大な鬼力を持っている、

との事だ。

なんでも、客は極東の島に近い

大陸出身なんだそうで、

"倭"と言う名も、客の住む国の

皇帝が極東の島の名前だと、

自ら付けたのだそうだ」


"鬼力"と言ったか───

神にして、神の力が脆弱(ぜいじゃく)がゆえに、

持つようになった鬼力。

(すなわ)ち、暴れる方の力、か。


何処かで聞き覚えが────。



ラガルはそこで、

ワイズに訊ねる。


「ワイズ、紋様はどうだ?」


ワイズは右手に左手を当てて紋様を

見てみるが、特に変わった様子は無い。


「神が降りてきた、

マスターはその神の望みを叶える事で

召喚の代償を払った。

知っての通り、神降臨の代償は──」


「術者の死」


ラガルは静かに頷いた。

ワイズが続ける。


「望み、とは──器か?」


「まあ、そんなところだ。

()(しろ)と呼ばれているが、

何せ入れるものが

神クラスの大容量エネルギー」


「ああ、そんなもの入る

器の大きな人間が居ないのか──」


ラガルは

その通りだ 気付いたか、と言うと、


「だが思いの(ほか)早く見つかった」


「それが─────僕?」


「そうだ。

神と人の間に生まれた禁忌生物、

"神間(しんげん)"が居た事をマスターは

何処からか入手していた。

信仰を失い、

神格を取り戻したい神に

手っ取り早く

退散してもらう方法は実に簡単だった」


もうその答えに気付いた

ワイズは目を見開いて、

それをゆっくりと口にした──。


「存在する───

容器(もの)の───

中へ─────入れる、か」



成る程、晴れて倭の神は

存在が消える事を免れ、

次いでに消えかかっていた時から

蓄えていた"鬼力"を武器に、

信仰と存在を手にしたって訳だ。

思い出した────

倭の神とは、

五年前に起きたあの軍神────


パキンッ


そんな音が響くと同時に、

ワイズの右手の親指にはまっていた

黒い指輪が砕け散った。

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