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Blade And Hatchetts  作者: 御告げ人
第一章 ─黒犬─
20/59

厭世(えんせい)は楽天を嫌う也。 ─前─

遂に20話です。

この話を読まれる方、

これからも宜しくお願い申し上げます。


───ユウリの誘いを受けて、

初めて貰えた休暇日に

ピクニックに出掛けたワイズ一行。


ワイズの前に突如現れたるは、

燃えるように赤い髪、長身で外観が細身。

しかし近くに来るとがたいのいい青年、ラガル。

ホワイト・アウトの腕利き、

"血塗られし暗殺者(アサシン)"の名の通り、

気配を完全に消して、

森の中にひっそりと佇む彼の存在に、

ワイズだけが気付く。


そこで二人が話す内容とは─────?

そるでは、お話の始まりです。

体が軽い─────

そんな薄い意識が漂っているなか、

徐々に身体が中から熱を帯びてゆく。


暖かいぞ─────。

瞼の上からでも眩しく思えてきた。


....日は昇った。そろそろ起きねばな。


完全に覚醒した意識を

研ぎ澄ましつつ、

僕は目を開けて正面を見る。


「..ぅょ......よこ....?」


おかしいな、世界が横向きに見える。

いや、正面で目を瞑っているユウリの顔は

確かに合っているのだけれど。

ユウリの向こうの

陽光照らす大窓は横向きではないか。


何度も瞬きして、今の状況に気付く。

いや 正確には、今目が覚めた。


昨日の晩から僕とユウリは

チェア付きテーブルに肩を並べて、

突っ伏して

うつろうつろしていたのだが、


最終的には、お互い隣合って

寝る形になったのか。

それにしては

やけに左手の感覚が鈍い。

若干ピリピリともしてる。


僕の左肩から(てのひら)までを辿ると、

どうやら隣で眠るユウリの

枕になっているようだ。


─────抜けない。


顔を上げてよく見ると、

ユウリの両腕が、

僕の左腕を抱き抱えるように持ち、

何故か掌にはユウリの

手が軽く添えられている。



僕らの向かい側の席を見るも、

そこにはガイの眠る姿はない。


ホッ─────。





ホッ─────?


僕は今、

何故ホッとしたのかを考えるが、

直ぐに悟る。


まだ"見られていない"

ということは、

これから"見られる"かも

知れないということ。


これは早急に脱出して、

誤解されないように

しなくてはいけない。


いや。

僕自身、何を誤解されるのかが

全くもって判らないのだけれど、

とにかくこの状況が僕にとってまずい。


────精神が──────!


────理性が──────!


このまま この、

温かくて優しく柔らかい手に

握られたまま居たら、

頭の中がおかしくなりそうだ!


心が温かく満たされ

自分を優しく包み込む

今までに無く心地よい感覚を

無理矢理 払拭して

かなぐり捨てるように、

僕はそっと席立って

ユウリの頭を右手で包むように抱える。


──いや、

このような事に

慣れてないだけなのだ。

だから唐突に

こんな緊急事態(イベント)が発生していると、

心臓が跳ね上がる。


─────心臓の鼓動が大きい。


それに僕が気付くのが早いか、

ユウリの目がパチリと開いた。


自分の胸を人の耳に近付ければ

心音は伝わるのだから、

鼓動が大きければ目が覚めるに

決まっているではないかっ!?


僕はまだ左腕を抜いていない。


ユウリの顔を右手で抱き抱えた

僕の目が、葵色の綺麗な瞳にとまる。


ユウリは硬直したままだ。


僕は

さも何も無さげに左腕を抜....掴まれる。

これは........と思いきや、

ユウリはそのまま左腕を

抱き抱えて頭を乗せ、目を閉じた。

なんだ寝たのか、なんて思える訳もなく、

そのまま観察してみることにする。


なんだこの可愛らしい小動物は。


「................」


お、だんだん顔が赤くなってきた。

自分のしたことに

今更気付いたな、お寝ぼけさんめ。


僕がもう一度席に付こうとすると、

寝室の扉が開く音がした!



僕はとっさに突っ伏して伏せた。


ガイか───?ミーシャか──?


「────!?

まあまあ、仲睦まじいですね、あの二人」


「あ........ああ───

まあ、なんだその───見せ付けてくれるな」


二人かよっ!!

というかガイ、

手前ェ、なんだその言い草は!?


僕はまた伏せているのだが、

お寝ぼけさんのユウリが

今朝よりも身を寄せて

僕の左腕を抱いているため、

実質僕の肩から直ぐのところに

ユウリの頭が来ていることになる。

正直かなり、こそばゆい。

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