4人の出会い
ガラスが割れそうなくらいの大きな歓声。色々な声が聞こえる。100mの、スターターの声。
投擲選手の声。跳躍ピットの審判の声。そして私達の一生をかける一瞬の戦いが一斉に始まった。
「on your maks」「716番用意」「719番一回目」「713番用意」
私が中学校に入学して少したった頃。塾に行く事になった。夜の7時になって先生が入ってきた。先生は自分の名前と好きな食べ物を言って出席をとり始めた。
「松谷 助希君」
また間違えられた・・・
「先生。君じゃないです!」
ほんっとによく間違えられる。学校の出席をとるときも間違えられた。
まあ、こんな感じの出席と先生の雑談で授業の半分はおわった。もう半分は、抜き打ちの数学のテスト。
20点中15点以下の人は明日の12時に再テストで私は見事に15点をとって明日再テストってことになった。
最悪だ・・・。明日は、先輩達の大会の応援に行かなければならないのに。仕方ない。先生にお願いして日にちを変えてもらおう。
「お前陸上部で今回のテスト再テストやでな?」
誰だ。こいつ。失礼だな。
「そうやけど。お前だれ?なんで、うちのこと知ってんの?」
「あぁ、ごめんごめん。自己紹介が先やな。俺は山代中学校、陸上部の
角置 宏太。100mと走り幅跳びと4×100を中心にやてっる。よろしく!それでお前のこと何で知ってるかって言うと合同練習で何回も顔合わせてるから。でも名前は知らないから名前教えて。」
「うちは、松谷 助希。西中中学校で砲丸やってる。こちらこそよろしく」
ちなみに合同練習っていうのは、4つの中学が合同する練習のこと。その4つの中学校が西中、山代、古海、佑希の4つの学校。
「じゃあさ、明日の再テストの日にち変えてもらえるように一緒に先生のところ行かへん?他の奴らもおるからさ!」
他の奴ら?誰だろう。
「おーい!角置!早く行こー!みんな待ってるぞ。あっ、もしかしてナンパ!?ごめん角置!」
「黙れ!馬鹿。林口お前も自己紹介しろ!一応陸上部だろ!」
「はいはい。すいませんね。俺は古海中学校の林口 広輝!1500mやってる。よろしくー。松谷のことは有名やからしってる。」
何!!私は有名なのか!
「早く行こう!角置、松谷。藤澤がおこってくるで!」
「えっ。もしかして藤澤ってあの藤澤!?」
角置が丁寧に答えてくれる。
「そっ。あの佑希中の砲丸の藤澤 涼介。」
「あっ!藤澤めちゃくちゃイライラした顔で待ってる(笑)ちょっとおちょくったろ!」
林口が藤澤のところへ近づいていった。
「ふーじーさーわ♡そんなこわい顔してたらシワふえるで!」
「うるさい!!お前は俺を何分またすきやねん!」
「ごめんごめん。松谷がおることやし許したって!」
「許すか!もっと可愛い子やったら許すけど松谷なんかじゃ・・・」
「ちょっとまって。藤澤。お前うちのこと酷いこと言ってない!」
「ああ、つい口が滑った!」
「しばくぞ!」
こん言い合いをしながらも私達は先生に日にちを変えてもらえるようにお願いしに行った。
そうすると先生は、「陸上部はいそがしなー。」と一言いって日にちを変えてくれた。