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どうしてそうなる?

ホテルの高級フレンチレストランのVIPルーム一室で私は非常に、ひっじょーーーに困っていた。

目の前にはかつての仲良し現いじめっ子?の結城リオ大天帝がシレっとした顔で座って料理を食べている。

私は料理を素早く丁寧に粗相なく食べると隣に座る父親に座席の下でこっそりラインを打っていた。


>どうゆうこと?

>父よ父よ…何?一体どーゆー集まりなのでしょう?可及的速やかに返信されたしラジャー?



>ゴメンネ美晴。ふがいない父さんを許してくれ!!これでも父さんは母さんを少しは止めたんだ!ラジャー?


父は一体何を止めたというのだろう?

さらなる追撃を出そうとして―止めた。これ以上先を聞くのが少し怖い。

それに、隣の父は結城のおじさまと仕事の話で盛り上がっている。連絡をしても返ってこないだろう。


結城のおじさまはその手腕で会社を築きあげた凄腕社長さんだ。インターネット通販会社をおじさまは立ち上げものの数年で一流企業に育て上げたすごい人。そしてその会社で働いていたおばさまを必死に口説き落とし結婚。おばさまを口説き落すなんて一体どんな技を使ったのか…とにかく凄い人なのだ。

それに比べてウチの父。家族経営をしている輸入雑貨チェーン店の三男坊。

唯一の取り柄は愛妻家ってとこくらい。

結城のおじさまと比べると霞んでしまいます。



コース料理も終盤になり、あとは最後のデザートと言うときに話は動いた。

「えー、ここに両家に集まってもらったのは他でもありません。えーっとですねーアレ?私が言っちゃってもいいのかしら?」

もったいぶるおばさま。「いいのよ~セアちゃんが発表しちゃって-?」間延びした声で応える母。緊張が走る父の顔に、私は今日の本題が始まるのだと直感した。


「えー今日集まってもらったのは他でもありません。今日本日ここで結城リオと藤波美晴ちゃんとの婚約が決定しました☆」


ほうほう。こんにゃくか。

などとベタなボケをしている時ではございません!

婚約??今、婚約といいましたか??えっ私とリオ君が?なんで????


「はい!質問です!!!!」

私は元気よく手を上げ声を張り上げ身を乗り出した。どんくさ美晴は休業してもらいましょう!

今ココで頑張らないと私とリオ君の命運がこの仲良しママ二人にとんでもないことにされてしまいます!


「あら~元気いいわねー美晴ちゃん。なあに?」

「はい!あのですね、コレ完全決定ですか?!だって私今聞いたばかりで…そのですね?結城君も困ると思うんです!」


「俺は――別に困らないよ」


…あのですね?私が元気よくこの場の雰囲気をですね?

なんとかしようとしている時に、このお方は何を言っているのでしょう?

リオ君は私をジッと見つめながら、

「俺は困らないって言ったんだけど?聞こえてた?美晴」

そう言った。


困らないって…それはどーゆー意味でしょう?困らないことないじゃないですか。

リオ君ならもっと綺麗で可愛くて素敵な女性と結婚できます!

それなのに…よりにもよって何故私!

私がリオ君なら家出して不良少年になるレベルです。そんなの…絶対に阻止しないと!


「俺はこの件について了承している。…何?美晴は俺との婚約が嫌なわけ?」


私は…嫌と言うかですね…嫌なのはリオ君でしょう?

リオ君は困るでしょう?嫌いな私ともしかしたら結婚しなくちゃいけなくなるんですよ?

なのに…そんな簡単に了承しただなんて…。


私は口を開いて閉じ開いては閉じて…言葉を紡ぎ出せなくなってしまった。

しずかに席に座り直し、下をむく。


「美晴も了承したみたいだね。これにて婚約成立だよ。ヨカッタネ母さん達。」


一瞬の沈黙の後、両親達は好き勝手に語りだした。


「おぉ!そうかそうか!よかったよ美晴ちゃんみたいな家庭的な子が嫁いできてくれるなんて!ウチのセアラは頭は良いし行動力もあるしまぁいろいろ多彩なんだが、料理だけはカラッきしでね。美晴ちゃんは料理が上手なんだろう?」

「我家の料理はぜーんぶ美晴作だもんねぇ~。」

「そうそう。料理もできて洗濯掃除も完璧な…我が子が巣立って行くのかぁ…父さんは少し寂しいよ」

「何いってるんですか、洋司さん!茅花連れていつでも遊びに来ればいいんですよ!」

「「それもそうね~」」


楽しそうに語らいながら出てきたデザートをほおばる両親達をよそに、

私はやっぱり第六感があたったんだと他人事のようにその光景をみていた。


リオ君の方を見つめるコトは…最後までできなかった。


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