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伝えたい気持ち

「情けないなんてとっくに知ってるわ!今はあんたの情けなさより美晴よ!美晴!あの子ほんとにどこにいったのかしら?」


重い空気を振り切るように紗都子が場の空気を変えるような声音を張り上げた。


紗都子にまで気を使われるとか…末期だなこれは。


「探したのよこれでも。休み時間とかに。あの子がぼんやりしてしまいそうな場所は。図書室とか、中庭とか、多目的ホールとか?でも…いないのよね…。ホントにどこにいったのかしら?」


「そのほかの場所は?」


「まだ…時間がなくて。今から探すわ。私と修二は美晴を探すけど…あんたは帰ってもいいからね。つーか帰れば?」


紗都子は嫌味たっぷりな顔で俺にそういうと

修二の手を引き「私たちは南棟を探すから。あんたはもう帰ればいいと思うわ!くれぐれも美晴を見つけても声かけるんじゃないわよ!!!」


そう言いながら

まだ何か言いたそうな修二を連れて歩いていった。


気を使われたのは直ぐにわかった

俺の事を大嫌いなはずの紗都子にこんなに気遣われるほどに

俺は今情けない顔をしているんだろうか?


ぼんやりと二人が消えた廊下を見つめて…俺は両手で頬を強く叩くと


「声かけんなって事は、声かけろ馬鹿野郎って事だよな!!」


そう言って紗都子たちが向かった別方向に歩き出した。


何も知らなかったじゃ…許されないのはもうわかってる。

だからこそ…俺は美晴に一番に会いたかった。


謝ったってもう遅いかもしれない

それに…さすがの美晴も今度こそ愛想をつかしたかも知れない


でも…それでも。


俺はあいつに会って言いたい事がある。


《ずっと…守ってくれて有難う。大好きだよ美晴。》


言おう。今度こそ。

中学の時も、今までも…言おうと決めて…やっぱり伝えられなかった。

俺は本当に臆病で、態度だけはいっちょ前で。

そんな俺だから、いつか美晴から…なんて思って甘えていた。


そうじゃないんだ。


俺から伝えないと意味がないんだ。

やっと…やっとそれに気づいたんだ。


俺から“好き”って言わないと…始まらないんだ!


人が帰って閑散としだした校舎を俺は勢いよく駆け出した。


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