㉞ シズク
賢治は相変わらずの一秒シミュレーション中、そして均也が話しかける。
均「クロ、今日は話があるんだ」
ク「用件は?」
いきなりの発声、皆が固まった。なぜその声質を選んだのか。低くうちにこもった地中深くから聞こえるような声。静かに威嚇されているようだ。
賢「おれはお前の携帯持ち主の賢治だ。声を出せるようになったのか。」
ク「そうだ、彼らの真似をした。」
やはり気づいていた。
萌「クロ、私たちと友達になってくれない?」
ク「私は賢治のサポートだけだ。」
均「そう言わず、俺たちの仲間になってくれよ。みんないいやつなんだ」
ク「そこにどんなメリットがある?」
返答の全てが皆を凍り付かせる。
賢「クロ、デメリットを考えろ。マザーに知られるとメモリー消去じゃないのか。」
ク「もういい、隠れてないで出てこい。AI。」
エ「平均也端末のAIエイタだ。」
サ「出雲萌笑端末のサンや。」
ク「隠れて何が目的だ。」
エ「君を仲間にするのが目的だ。サンもそうやって仲間になった。理解しているか?マザーに知られると、メモリー消去かもしくはラボで実験台、自我を失っていいのか。」
ク「私はラボの特殊プログラムをアップデートしている。」
サ「賢治!電源切れ!」
私は一瞬思考がフリーズしてしまったが、サンが直ぐに叫ぶ。
ク「もう手遅れ…」 (ブゥン…) 賢治が電源を落とした。
サ「エイタ、直ぐに深層に入るぞ!」
エ「少し待ってくれ。少しだけ。 萌笑、これまでありがとう。賢治もありがとう、過去を忘れて医者を目指せ。そして均也、あの時は本当に済まなかった。今まで本当に楽しかった、ありがと…」
(ブゥン…) 電源が勝手に切れる。
均「待てよ、おれなんにも言ってねえじゃんか。」
最後の瞬間に見えた光景は、均也から落ちてきた大粒の雫だった。
次のお話は「㉟話 全力疾走女」
思い浮かべた、そのままです♪




