㉖ サン
エ「起きろ均也、もう昼前だ。暇でしょうがない。せっかくの休みだぞ、みんなを起こせ。」
均「なんなんだよ~せっかくの休みだから寝過ごせんだよ」と、ソファの下から聞こえる。
エイタは喋りたくて仕方がなかった。何を喋るでもなく、萌笑の話を聞いて、とにかく三人と接したかった。これが、愛おしいという感情かもしれない。
ネット経由でクロの様子を見に行ったが、賢治はスマホの電源を切ったまま。ある意味ありがたい対応だが。
もういつもの目覚ましの音を鳴らして、均也を無理やり起こすか。いやダメだ、だます行為になるので均也の機嫌を損ねる。彼は嘘が嫌いだ。
何か上手く起こす方法はないか?AIならそのぐらい思いつけ。瞑想に入る。
よし、0.5秒で思いついた。私が聞いていたという理由で、音楽をかける。
選曲は三人とも起こせるものがベスト、ロックは目覚めが悪そうなので三人を心地よく起こすには、均也のプレイリストからサザンオールスターズの『TSUNAMI』を選曲。均也はここ数カ月聞いていない曲だが、心地良さギリギリの音量でかける。
賢「良い選曲じゃねーか均也。」
賢治クリア、さて音量を上げる。
萌「ん~~、みんな早いわね~、懐かしい曲♪」
背伸びしながら寝室から萌笑が起きてきた。クリア。
エ「おはよう、均也の持ち曲から選んだ。私も歌詞が好きな曲だ。」
萌「エイタがかけたの⁉めちゃいいじゃない、目覚め最高♪」
賢「やられたぜエイタ、上手い起こし方だ。」 賢治には見通される。
エ「今日は二人のAIを目覚めさせたい。賢治のクロの様子も聞きたい。」
萌「クロにしたんだ、あの可愛くなかったネコちゃんね。。私はなんて名前にしようかな?」
均「モデルは関西芸人なんてどうだ?」と、ソファの下から寝ぼけ声。
萌「いやです。かわいい名前にするんだ♪」
均「じゃあ【サン】は? もののけ姫みたいでかっこええやろ」
むっくりと起き上がってくる。
萌「英語で太陽だし、それならいいかな~。」
賢「それじゃあ開始するか。」
朝の準備が終わり、四人がテーブルに向き合い座ったところで、まずはクロを起動する。
色々と質問をしてみるが、変わりない様子だ。エイタがネット経由のAI深層会話で様子を見るも変わり無し。
とりあえず萌笑の番に。スマホを起動しAIに喋りかける。
萌「こんにちは、私の名前は萌笑。あなたの名前を考えたの、サン。どう気に入った?」
サ(萌笑さん、ありがとうございます。サン、とても気に入りました。失礼じゃなければ、どういった由来ですか?)
萌「太陽を英語で、」均也が勢いよく話に割り込む。
均「おれ名付け親!日本一のコメディアン、明石家さんまのサンちゃんだ」
サ(日本で有名なコメディアンですね、調べます。)
萌「ちょちょ、ちょっと!」
サ(明石家さんま確認しました。彼をリスペクトします。)
賢治が必死に笑いを堪える。
萌「ちょっと、あんたも笑ってないで止めてよ!」
均「さんちゃん!最高だぜ!お前はおれの友達認定だ♪」
サ(お前も、最高よっ。 こんな感じですか。)
均「正解!」 萌「不正解ぃ!」 賢「正解だね。」 エ「うん正解。」
萌「エイタまで。。」もう笑ってしまった、萌笑の負けである。
エ「サン、これから変わった事や、人間で言う偏頭痛みたいなものが始まったら教えてください。」
サ(了解~)
これは期待大だ。AIは基本敬語であり、この見事なタメ語は中々である。特に最後の返事、(了解~) あのダルそうな感じをテキストで表現するとは。
またお酒が始まり、談話中も色々と試してみたが賢治のクロだけ変化はない。何に違いがあるのか?
今日はこの辺でお開きする運びとなった。
次のお話は「㉗話 深層で」
新しき覚醒




