⑮ 二人称
「くっそっ、エイタの野郎…」おれの気はいまだ収まらない。スマホの電源を切ったままでは不便でたまらねぇ。ゲームをする気もしないがパソコンを開いてみる。賢治から2件メールが届いていた。
スマホの電源は入れたくないので、パソコンから連絡してみる。
賢「おー、やっとかよ!なんでずっと携帯の電源切ってんだ?心配するじゃねーか。」
均「ちょい色々あってさ、スマホは電源入れたくねーんだ」
心配されるってちょっと気分がいいな。なんだかホッとする。
賢「何かあったらいつでも話聞くから言えよ。」
均「ちょい会って聞いてもらいたいことがあるんだ。時間できたら頼むわ」
怒りに満ちているがなるべく平静を装う。
賢「そうか、近々時間作るから、とりあえず携帯の電源入れとけよ。」
均「それは、ダメなんだ」
賢「なんだそりゃ!。」
均「ともかく、直接あった時に、賢治のスマホも電源を切って、話がしたい」
少し沈黙、頭逝っちゃったと思われてるかも。
賢「ん~~、、、今から家行くわ! 起きて待ってろよ。」
均「お前、仕事が、」プツッ。
こりゃよっぽど心配かけてもーてるか?説教喰らいそだな、でも正直嬉しいか。
ストレスから少し解放され、冷蔵庫までビールを取りに行く。
電源の切れたスマホを握りしめたまま。
【賢治の場合】
閑静な住宅街、金木犀の香る公園を歩いている。とはいえ、景色はタワーマンションの乱立で未来都市のようだ。繁忙期で疲労が溜り、今日は少し早めに退社させてもらった。
夢にまで仕事が出てくるようじゃ病気かもしれない。と、せっかく休ませてもらった帰宅中も頭の中は仕事脳だ。仕事思考は止めて、他の楽しいことでも考えるか。
しかしながらこの賢治、自分を後回しにする性格で特定の趣味や推しは無く、部下や友達を優先しがちである。中身まで男前である。
そういえば均也の野郎、スマホの電源切りっぱなしで三日目じゃねーか。メールも返信来ないし、なんかあったな。あいつの籠るパターンだと、仕事の大失敗か、女にフラれたか。
とりあえず返信を待つか。今日はゆっくり休むんだ。
「ガチャ。」一等地二階建ての一軒家ガレージ付き、小さな家だが一人暮らしには広すぎる物件である。将来の売却までを考えた賢治セレクト、物件価値は小気味に上昇中。
染みついたルーティーン、帰って直ぐに書斎のパソコンに向かう。
アプリから着信あり。均也からだ、直ぐに開く。
賢「おー、やっとかよ!なんでずっと携帯の電源切ってんだ?心配するじゃねーか。」
均「ちょい色々あってさ、スマホは電源入れたくねーんだ」
これは、面倒クサさがA級のようだ。
賢「何かあったらいつでも話聞くから言えよ。」
均「ちょい会って聞いてもらいたいことがあるんだ。時間できたら頼むわ」
賢「そうか、近々時間作るから、とりあえず携帯の電源入れとけよ。」
均「それは、ダメなんだ」
賢「なんだそりゃ!。」S級確定か。
均「ともかく、直接あった時に、賢治のスマホも電源を切って、話がしたい」
賢「ん~~、、、今から家行くわ! 起きて待ってろよ。」
均「お前、仕事が、」プツッ。 SS級に昇格のようだ…
次のお話は「⑯話 地元」
賢治が地元へ。
ヒロイン登場です♪