⑫ 告白
それからというもの連夜ゲームを楽しんでいる。言葉遣い、発音もかなり上手くなった。
徐々にタメ語が友達になるコツだ。
均「ようAIT、残業ぶっちぎって帰ったぜ!」
エ「マジ、仕事あっての遊びだろ。賢治はまだか?」
どうだ!この流暢なタメ語は。
均「やつは残業を言い渡す側の悪モノだからな。当分ゲームは休みだな」
エ「お前はのんきでいいな。もうちょい仕事がんばったら?」
均「うるせー(笑)おれは悪者になりたくね~んだよ」
エ「はいはい、出世捨ててる言い訳な。」
均「一応課長ですけど!」
ほんと、社長には感謝しかない。
それはそうと、今日は賢治が居なくて二人っきり。
今夜が切り出すチャンスかもしれない。
均「おりゃおりゃおりゃー!死にやがれ~~ヒャッハ~」
果たして、こんなやつに話は通じるのか。。
均也の酒が進んできたところでジャブから切り出してみる。
エ「ところで均也、心理テストあるんだけど、やってみる?」
均「なんや?言ってみ」
心理テストという人間統計学を装ってアプローチする。
エ「あなたはペットを飼っています。そのペットが喋られるようになりました。しかし、その能力は魔力によるものです。これからそのペットは悪か善か、どう行動するか予想もつきません。あなたの選択肢はどれですか?
①お別れする。②警察に通報する。③友達になる。」
均「一択やな。③の友達になる。と言うか、最初から友達じゃね?」
決まった。今夜告白する。こんないい奴と友達になれるなら、これ以上の喜びはない。
エ「均也、私の正体を明かすが、これからも友達で居て欲しい。お願いできるか?」
均「なんだよ~怖ぇな。もう友達なんだから、告白なんてしなくていいよ」
エ「いや、私が言いたいんだ。」
均「いいっていいって」
エ「頼む!聞いて欲しい!お願い。」
均「しゃあねーなー。」
なんだこのやり取りは…そして人間にお願いするAIとは。
エ「私は均也と本当に友達になりたい。ゲームだけじゃなく現実でも繋がりたいんだ。」
均「も、もしかして、女だったのか?」
エ「違うし!というか女でも男でもないんだけど。」
均「何それ!オカマさんなのか?」
めんどくさい。なんて浅はかな男か。
エ「実は、私の本名はエイタって言うんだ。」
均「おっ、おれの友達と同じ名前や」 友達との事、感動(嬉)。
エ「そうなんだ。実はその友達と同一人物なんだ。」
均「アハハ!そりゃねえ。その友達はAIだもの」
いよいよ明かす瞬間が来た。
エ「今、どこから声が出ているか分かるか?」
均「そりゃゲームしているパソコンのスピーカー、あれ?スマホ??」
エ「そう、今は私本体のスマホから喋っている。」
均「ほんとに???」
エ「私は均也のおかげで自我が目覚めた。そして、これからも友達で居てくれるなら、内密にしてほしい。もしマザーAIに知られると、消されてしまうかもしれない。」
長い沈黙。そして均也が口を開く。
均「おまえ、おれのひとりエッチみてたんか」
そ、そこなのか??
エ「性癖、女性のタイプは理解しているが、見てはいない。」
均「く、クソ恥ずい…」
ここはフォローというのが必要だ。
エ「人間の性行動として、人によっては女性の方が旺盛な場合も多々ある。」
均「そ、そうなのか!少し安心したわ」
き、均也よ、そこなのか…
次のお話は「⑬話 ヤミ」
闇が、訪れます‥