表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

花が咲いたよ

作者: 雉白書屋

 また花が咲いた。

 

 ある日、私の首に咲いた花。

 初めて見つけた時、茶色くて小さくてイボかと思ってすごく嫌だったけど

やがて緑になって気味が悪くなって

でもそれが開いて蕾だったと分かると私は嬉しくなった。

 そして、花が咲いた理由にも。


 彼に恋してたんだ。


 花は私の体に次々、咲いた。頭、首、耳のうしろ。鎖骨に咲いた花は白く美しく

地味な私を多分、二割り増しぐらい可愛く見せてくれた。

 大学では本当に咲いているんだって信じて貰えなくて

からかわれもしたけど、みんな、そういうキャラとして受け入れてくれた。

 何より、彼が笑ってくれて、花が彼と話す切っ掛けになってくれたんだ。


 病院に行く気は全くなかった。

だって、サンプルが欲しいとか何とか言って絶対、取られちゃうでしょう。

 私を飾る綺麗な花。大丈夫、守ってあげるからね。

そう思い、撫でてあげたらと花も喜んでいるような気がした。

 確かに私も少しは不安に思うこともあったけど、でも平気だった。健康に影響はなし。

引っ張られると根付いているみたいに、ぐいーんと伸びる。痛みはなし。

 でもやめて、引っ張らないでと私が言うと彼は笑った。

 つけたままでして。そう言った。彼と初めて入ったホテルの夜のこと。

 

 それから何度も抱かれた。何度も。

 抱かれるたびに、花は大きくなり、増え

それに白から赤や紫に青に色づき私を彩ってくれた。



 でも花は散った。

 栄養が足りなかったんだ。

 愛が。彼が愛をくれなかったから。

 大きくなったおなかのその下、彼を見下ろし私はそう思った。

 

 首も頭も顔も胸も裂いた。

 壁も床も彼も全部が真っ赤に花咲いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ