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第11話  六年生が足掻く!

素直に聞く事。

「お店の人が見てるって、恥ずかしいよ、止めてよ!」

「だったら素直に白状するか?」

 レジの向こう、棚の陰そんな処から見られてる、恥ずかしったらありゃしない。


 如何して学校で、優等生で通るんだこんなに乱暴者なのに!、此れでも一応生徒会長らしい、何でこんな乱暴者を選ぶのか、生徒の眼は節穴か此の人が謀って猫被って居るかのどっちかだ!


「何がしたいの?、なんか考えが有るんでしょ?、あたしに出来る事なら協力するよ。」

「出来るかどうか分んないよ?、でもやってみたいんだ。」

「だから教えてよ?、其の靴で何が出来るのかな?」

「実はね、一昨日階段を昇ってて気付いたんだ、此の靴でね‥…。」

「そうか!、良く気付いたね?、やって見よう!」

「でも上手く出来るかな、初めてだし?」

「なら、お父さんも引き込んじゃおう!」

「お父さん?」

「だって必要な物なら、大体持ってるし、多分必要な道具も持ってるよ。」

 そう家のお父さん、何でも屋って行ったら悪いけど、本来のお仕事以外の事もお客さんに頼まれれば何でも出来ちゃうんだ、電気に水道、ガスは本職か、でも車も治しちゃうし、昔はバイクも乗ってて壊れた処を直してたって言ってた、其れが出来ないと其のお仕事出来ないんだって、家にはバイク無いから乗ってるのを見た事無いけど…。


「そうか!、お父さんの道具借りたらきっと出来るよ!」

「じゃあ此の靴二足買おう、サイズは?、両方在るね?」

「同じサイズを二足買おうよ!」

「何で?、右と左で違うでしょ?」

「片方から使う物取っちゃうし、同じサイズならあんまり加工しなくて済みそうじゃない?」

「でもサイズ違うと履き辛くない?」

「女の子だから、左右で見た目が違い過ぎるの可哀相じゃない?」

「其れって如何言う事?」

「大きめの靴なら外側で足り無い処を、内側の履く処でも調整出来るんじゃないかな?」

「あんた頭良いね?、何で其の頭を勉強に使わないの?」

 また羽交い絞めに逢って居た、お姉ちゃん恥ずかしいから勘弁して!。


 二足同じ物を買ったので店員さんに聞かれて仕舞った。

「双子さんなんですか?、なら奥に色違いが在りますよ?」

「お気遣い有難う御座います、でも結構ですよ、履くのは一人ですから!」


 怪訝そうな顔してた、シッカシ本当に猫被ってる、何だあの店員さんへの受け答え、地と全く違うんじゃん、ああやって先生と生徒騙してんだな、だから生徒会長なんてやってるんだな。


 急いで家に帰って来た、買い出しに出てたお父さんもインチキ外車で戻ってた、本当に都合が良い、荷物を運び終わったお父さんにお姉ちゃんが手招きした、お母さんにバレない様に…。


 そして僕の考えをお父さんに伝える、お父さんも乗り気で、必要な道具なら大体揃ってると言って呉れた、無い物は別のもので代用出来るからとも言って呉れた。


「危険な工具使う時は変わってやるが、他は自分でやるんだぞ、自分で考えた事だ自分でやって見なさい、きっと何時か役に立つから。」

 そう言って呉れた、役に立つ日は遠く無くやって来る事に為る、其れは未だ知らない事。


「あたしも手伝うよ!、こんな楽しそうな事あんただけにやらせない!」

「受験勉強はしなくて良いの?」

「気に為って手に付かないわよ!」

「お前達楽しそうだな、じゃあ今日の用事も済んだから、俺も付き合うよ。」

 心強い助っ人の登場で、一気に実現性が跳ね上がっていた、絶対上手く行くはず、嫌、行かせるんだあの子の此の先の人生に関わる筈だから…。


 シッカシ此のインチキ外車、如何成ってるんだ?、リアのゲートを開けたら其処から一メートル位にカットされた三枚のコンパネを取り出した、二枚に切り込みが入ってる其れをクロスに組み合わせて足が出来た、其の上に同じ様に切られたコンパネを乗せた、裏にはズレない様に小さな突起が付いてる、此れで作業台が出来上がる、跳ね上がったゲートにはブルーシートが止められたパイプが付いて居る、巻かれたシートを伸ばして強力なマグネットでゲートに張り付けただけ、僅か5分ほどで作業小屋が出来上がる、此れなら少しの雨でも大丈夫。


 そして庭先に置いてある、大きなボックスを開けて万力とL字に為った鉄の板、そして良く解らない電気のコードが付いた物、ガスバーナーだろうか、お父さんはトーチと言って居るけど。

 後給湯器の所から黄色い延長コードも引いて来た、そして車の後ろから大きな工具箱。


「よし準備出来た!、久しぶりだな此れを使うのも。」

 確かに随分年季が入って居る、懐かしそうにお父さんが見ている。


「何でこんな物が家に有るの?」

「あたしも見るの初めて。」

「そうだな、お母さんも見た事無いと思うぞ、まあ良い始めないと今日中に終わらないぞ!」

 如何したいか聞かれてた、内容を説明する大体の概要位しか伝えられ無いが。


「見た目を考えたら、外側で此れ位じゃない?」

 二つの靴を並べて見比べていた、女の人の目線が生きて来る、僕だともっと重ねてた。


「其れだと、15ミリ位だな、其れで行こう、正確に印を付けていくんだぞ。」

 そう言い変な道具を渡される、何だろう目盛りが書いて在るから長さを測る物だと思うけど。


「ノギスって言うんだ、正確に測れるんだ。」

 使い方を教えて貰い、靴の外側に何か所も点を入れて行く、一周終った処で声が掛かる。


「その点に合わせて此れを張りなさい。」

「何ですか此れ?」

「マスキングテープと言うんだ、それに合わせれば平らじゃ無い物でも正確に出来るから。」

「分かった、父さん。」

 一周張り終わった、此れに合わせれば僕が造りたい物が出来るんだ、買って来た厚底の靴にカットする線が出来た、一安心して居たら怒られる。


「ボサッとするな!、後、二か所有るんだぞ!」

 そうだった、後、二つ作らないと…。


「ハイッ、直ぐにやります!」

 直に作らないと、お父さんに解らない事は聞く。


「後はどれ位にすれば良いんですか?」

「何ミリで作りたいんだ、其れで決める!」

「両足の差は、三センチ位です。」

 少し考えて答えが返って来た。


「両側で25ミリにする、誤差は中敷きで調整しよう。」

 力強い声だった、此の人が父で良かった、僕一人では出来なかったと思う…。


強力な助っ人を得た一歩前に進む。

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