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許可

 『どうにかして、断れないか』と考える旦那様は、右へ左へ視線を動かす。

煮え切らない態度を取る旦那様に、私とハワードは何度も『お願いします!』と頼み込んだ。でも、なかなか許可は下りない……。

ただひたすら、時間だけが過ぎていく中────ヘレス様とアイシャさんはふと顔を上げる。


「別にいいんじゃねぇーか?連れて行ってやれよ。あいつらの要求は、正当なものだし。被害者として、当然の権利だろ」


「そうよ。邪魔もしないって言っているんだから、許可してあげて。まあ、残虐な現場を見せたくない気持ちは分かるけどね。でも────過去に区切りをつけるという意味でも、同行させた方がいいと思うわ」


 『彼らの意志を尊重して欲しい』と主張する二人は、真っ直ぐに前を見据える。

真剣な気持ちで私達の意見を後押しする二人に、旦那様は鋭い視線を向けた。

『余計なことを……』と言わんばかりに眉を顰める彼は、しばらく黙り込む。

断る理由を探しているのか、難しい顔つきで視線をさまよわせた。

でも、意思の固い私達を見て説得は無理だと諦めたのか……ガクリと項垂れる。


「分かったよ……そこまで言うなら、連れて行く。でも、何かあったら直ぐに言ってね」


「「分かりました!許可していただき、ありがとうございます!」」


 直ぐさま条件を受け入れた私とハワードは、深々と頭を下げた。

置いてけぼりにされなかったことに安堵しつつ、私達は頬を緩める。

喜びに満ち溢れる私達を前に、旦那様はなんとも言えない表情で溜め息を零した────かと思えば、こちらに手を差し出す。


「じゃあ、転移するから手を出して。ハワードはカシエルと手を繋いでね。絶対に離しちゃダメだよ」


 『死にはしないけど、色々大変だから』と説明し、旦那様は早く手を繋ぐよう促した。

急かされるまま動き出した私とハワードは、それぞれ目当ての人物と手を繋ぐ。

慣れない転移に想いを馳せる中、旦那様たちは大量の神聖力を放出した。

刹那────私達は(まばゆ)いほどの強い光に包み込まれた。

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