表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/112

謝罪

 扉の向こうには、案の定旦那様とハワードの姿があり、二人とも驚いた表情でこちらを見つめている。

まさか、こんなにすんなり扉を開けるとは思わなかったらしい。

呆気に取られる二人を前に、私は深々と頭を下げた。


「話し合いを放棄したり、急に怒鳴ったりして、ごめんなさい……それから、下界での出来事を黙っていたことも」


 申し訳ない気持ちでいっぱいになる私は己の非をしっかりと認め、謝罪する。

頭を下げたまま動かずにいると、二人はハッとしたように目を見開いた。


「いや、メイヴィスが謝る必要はないよ……!こっちこそ、その……色々とごめんね!」


「メイヴィス様の本意にそぐわない行動を取ってしまい、申し訳ございませんでした!非は全て自分にあります!ですから、顔を上げてください!」


 焦ったように声を張り上げる旦那様とハワードは、オロオロと視線をさまよわせる。

困惑気味に眉尻を下げる二人に促され、私はゆっくりと顔を上げた。


 旦那様もハワードも優しいわね。

私は自分のことしか、考えていなかったのに……。

責めるどころか、『悪くない』と庇ってくれるなんて。


 『二人には、一生頭が上がらないわね』と苦笑しながら、私はしゃんと背筋を伸ばした。


「下界のことについて、話があります。カシエル達も混じえて、お話しすることは出来ませんか?」


 『話し合いの場を設けて欲しい』と要求した私は、黄金に輝く眼を見つめる。

『包み隠さず全て話す』と匂わせたせいか、旦那様の表情が硬くなった。

神妙な面持ちでこちらを見据え、彼は一歩前へ出る。


「分かった。じゃあ、執務室へ移動しようか。きっと、カシエルも戻って来ている頃だから」


 場所の変更を提案する旦那様は、こちらに手を差し伸べた。

エスコートの申し出に目を剥く私は、どんな時でも気遣いを忘れない旦那様に苦笑する。そして、そっと手を重ねた。

ギュッと握られた自身の手を見下ろし、私は僅かに目を細める。

じんわりと伝わってくる体温に頬を緩めながら、私は旦那様やハワードと共に歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ