暴動《ロゼッタ side》
室内に一人ポツンと取り残された私は、床に両手をつく。
そして、『これから、どうすればいいの……?』と項垂れた。
天使様が座っていた祭壇を見つめ、世界崩壊という事実を噛み締める。
もう何が正解で、何が不正解かなんて……分かる訳がなかった。
私はただ何の努力もせず、絶対的地位に居るメイヴィスが気に入らなかった。
私は血の滲むような努力をして、己を磨き上げたというのに……メイヴィスは聖女という地位に胡座をかいて、何もしない。
それがどうしても許せなかった。
私の方が絶対あの子より、優秀なのに……魔法の才能だってあるのに……!!何でメイヴィスばかり……!!
────と、醜い嫉妬心がどんどん膨らんでいって……気づいた時には、メイヴィスを追い詰める方法ばかり、考えていた。
「天使様の言う通り、メイヴィスを羨んだときから私は間違えていたのかもしれないわね……」
過去の出来事を振り返り、私は自嘲にも似た笑みを零す────が、非情な神様は感傷に浸る時間すら、与えてくれなかった。
物思いに耽ける中、突然バンッと扉が開き、私は反射的に後ろを振り返る。
すると、そこには────恨みの籠った目で、こちらを睨みつける民衆の姿があった。
神のお告げを聞いた民衆が教会本部へ攻め込んできたのだと、私は瞬時に理解する。
彼らの怒りは、きっと凄まじいだろう。
彼らは素直に私の言葉を信じてきたのだから……可愛さ余って憎さ百倍とは少し違うが、裏切られた時のショックは計り知れない。
「このっ……!!偽聖女がっ!」
「お前がメイヴィス様を偽物だと言い張って、殺したせいで大変なことになったじゃないか!どう責任を取ってくれる!?」
「やっぱり、お前なんて信用するべきじゃなかった!」
「最低最悪の悪女め!恥を知れ!!」
言いたい放題の民達は怒り心頭といった様子で、祈りの間に押し掛けてきた。
一応ここは神聖な場所だと言うのに、お構い無しである。
優に百を越える民達は暴徒と化し、あっという間に周囲を取り囲んだ。