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手強い《レーヴェン side》

「────随分としぶとい女だね。正直、ここまで持ち堪えられるとは思わなかったよ」


 下界の様子が映し出された水晶を見つめ、僕は『思ったより、手強いな』と零す。

首の皮一枚で繋がっている状態とはいえ、最悪の事態を避けるスキルは誰よりも高かった。

『世渡り上手な奴め』と肩を竦める中、カシエルは手際よく紅茶を淹れる。


「まんまと騙される民もどうかと思いますけどね。普通に考えれば、おかしいって気づく筈なのに」


 『救いようのないアホしか居ないんですか?』と毒づきながら、淹れたての紅茶をテーブルの上に置いた。

湯気立つそれを手に取り、僕はふと窓の外に視線を向ける。

そこには、ちょうど木陰で休むメイヴィスとアイシャの姿があった。

ヘレスは飲み物を取りに行っていたらしく、ボトル片手に戻ってくる。

『結構仲良くやっているんだな』と感心しつつ、僕は紅茶を口に含んだ。


「確かにそうだね。でも、そろそろ限界だと思うよ。あの女を信じるのも……。何とか均衡を保っているとはいえ、確実に不信感は広がっているだろうから」


 『多分……』と付け加える僕は、盲目的にあの女を崇める民達に不安を抱く。

『いい加減、気づいてくれないと困るんだけど……』と危惧しつつ、ふと空を見上げた。

雲一つない快晴に目を細める僕は、第四の復讐方法について考える。


「あっ、そうだ。次の復讐は────異常気象にしようか。もちろん、天候を変えるのは教会と王家の所有している土地だけ」


 人間達の不安をより煽っていこうと提案する僕は、カシエルに目を向けた。


「おお!いいですね!天気は神の操る領域とされていますし、さすがにおかしいと気づくかもしれません!」


 『ナイスアイディア!』と言わんばかりに目を輝かせるカシエルは、即座に賛成の意を示す。

やる気に満ち溢れる彼を前に、僕はゆるりと口角を上げた。


「じゃあ、決まりだね。第四の復讐は異常気象にしよう」


「はい!」


 元気よく返事するカシエルに一つ頷き、僕は再び窓の外に目を向ける。

そして、楽しそうに笑う花嫁の姿を視界に捉えると、ゆるゆると頬を緩めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 強い雷を城や教会だけに落としたりも良さそうよな。
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