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決断《レーヴェン side》

「武力でねじ伏せるのは簡単だけど、それだけじゃ足りない。人間同士で争い、裏切り、絶望するところまで追い詰めなくては……まあ、それでもメイヴィスの受けた仕打ちに比べれば、軽いものだけどね」


 教会に裏切られた挙句、信頼する人まで奪われたメイヴィスはきっと深く傷ついたことだろう。

『どうして、こんなことに』と嘆き、『自分のせいだ』と後悔し、『もう嫌だ』と泣き叫んだに違いない……だって、あの子はとても脆く、優しく、真っ直ぐだから。

出会って間もない僕でも、メイヴィスの危うさは理解出来た。


 『良い子ゆえに壊れやすい……』と心配し、僕はそっと目を伏せる。

愛する花嫁の精神状態を気にかける中────カシエルはサッとその場に跪いた。


「分かりました!それがレーヴェン様のご意志なら、従います!でも────下界の状態によっては、早めに決着をつけないといけませんよ?放っておいても、そのうち崩壊する世界(・・・・・・・・・・)なので!」


「ああ、分かっている。下界での(・・・・)復讐期間は一週間にするつもりだ。加害者の魂はまとめて、地獄行きだよ」


 『天界に来ても、復讐は終わらない』と語り、僕はチラリと窓の外へ目を向ける。

晴れ晴れとした青空を見上げながら、今ものうのうと暮らしている人間達に思いを馳せた。


「記念すべき一日目の復讐は何がいいかな……?ご自慢の魔法でも奪ってやろうか……」


「いいですね!でも、天罰の対象は王家と教会の関係者に絞った方がいいかもしれません!じゃないと、誰が悪かったのか分かりませんし……最悪の場合、ただの事故で片付けられるかもしれません!」


 『そもそも、天罰であることにも気づかないかも……』と、カシエルは懸念を示す。

メイヴィスを断罪した愚かな人間達に、彼は一切期待していないようだった。

動物と同程度か、それ以下の知恵しかないと判断したのだろう。

『天罰に気づけるほどの知能もないか』と失望する僕は、小さく肩を竦めた。


「分かった。そうしよう。一応、六日目に全ての真相を明るみにする予定だけど、己の過ちに気づく機会は与えるべきだよね────まあ、今更後悔してももう遅いけど」


 『メイヴィスに危害を加えた時点で手遅れだ』と嘲笑い、僕は机の上にある水晶に触れた。

溢れ出す力を指先から流し込むと────透き通るように綺麗だった水晶は色を纏う。そして、下界の様子をくっきりと映し出した。


「それじゃあ────復讐という名の天罰を与えようか」

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