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 地面を覆う草花、太く丈夫な木々、透明度の高い泉……そして────一際目を引く純白の城。

フィオーレ王国の王城とは、比べ物にもならないほど大きなそれは、天高く聳え立っている。

芸術的で美しい城を前に、私は呆然と立ち尽くした。


 一体、これは何階建て……?それに汚れが一切見当たらないのだけど……これも神の力か何か?


「あれが僕の仕事場兼自宅。そして────メイヴィスの家でもある。気に入って貰えたかな?」


「は、はい……凄く素敵です」


「ふふっ。なら、良かった」


 ホッとしたように顔を綻ばせる旦那様は、再度純白の城を見上げる。

私も釣られるように視線を上げ、天高く聳え立つ城に注目した。


「それにしても、本当に大きなお城ですね。迷子になってしまいそうです」


「城の中には、天使達(・・・)の寮部屋もあるからね。人数が多い分、どうしても城が大きくなってしまうんだ」


「なるほど、天使が……って、天使!?」


 旦那様がサラッと口にした言葉に反応し、私は思わず大声を上げてしまう。

愕然とする私を前に、旦那様は不思議そうに首を傾げた────かと思えば、突然『あっ』と声を上げる。


「そう言えば、まだ言ってなかったね。仕事の関係であの城には、天使が在住しているんだ。彼らには、主に僕の補佐をしてもらっている」


 天使でも住み込みで働いたりするのね。

『神の使いである』としか教えられなかったから、普段何をしているのかなんて、全然知らなかった。というか、想像すらしなかった。


 顎に手を当てて考え込む私は、『なんだか意外だわ』と呟く。

まさかの事実に衝撃を受ける中、旦那様は不意に城の方を指さした。


「────あぁ、ほら。噂をすれば、天使が現れたよ」


「えっ……?」


 素っ頓狂な声を上げる私は、言われるがまま顔を上げる。

そして、真っ先に目に飛び込んできたのは────猛スピードで空中を飛行する天使の姿だった。

背中に生やした白い羽根をバタバタ動かし、天使は必死の形相でこちらに向かって来る。

一心不乱という言葉が似合う姿に、私は戸惑いを覚えた。


 えっ……?あれが天使……!?

外見は想像(イメージ)通りだけど、放つオーラが殺伐としてない……!?

もっと、こう……穏やかで優しいイメージを持っていたのだけど!?

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