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未来

 世界の核とも言える存在だったからか、私は周囲の変化を敏感に感じ取った。

ほんの少しの寂しさに見舞われながらも、民衆たちの無事を確認して安堵する。

『崩壊に巻き込まれないよう、結界を作ったのか』と納得しつつ、私は表情を和らげた。


 世界崩壊の余波で、民衆たちは身ぐるみを剥がされたみたいだけど……まあ、しょうがないわよね。

服も鞄も靴も全て、元の世界に属するものだから。一緒に消滅しても、おかしくはない。


 『何にせよ、命は助かったのだから』と考え、私は思考を放棄した。

生まれたままの姿になった民衆たちから目を離すと、旦那様は手元に小さな光を宿す。


「さて────少し面倒だけど、新しい世界(・・・・・)を作るとするか」


 気だるげにそう宣言した旦那様は、手元にある小さな光を指先で突ついた。

次の瞬間────光は波紋のように広がり、純白の世界を作り出す。

殺風景な空間を前に、私は『天界の果てもこんな感じだったわね』と呟いた。

当時の記憶を呼び起こす中、旦那様はふとこちらに目を向ける。そして、私の手をそっと握った。


「さあ、メイヴィス────君の出番だよ。この世界に自然を与え、人間達の傷を癒してあげて」


 豊穣と治癒の権能を持つ私に、旦那様は『自分の手で人間達を救ってみなさい』と提案する。


「これは君にしか出来ないことだよ」


「そう、かもしれませんが……まだやり方が……」


「大丈夫────神聖力は必ず、メイヴィスの願いに応える(・・・・・・)から。君はただ祈ればいい。新しい世界と愚かな人間達の未来を」


 まだ神聖力を使ったことのない私に、旦那様は懇切丁寧に説明してくれた。

『君の思い描く世界にしていいよ』と告げる彼に、私は困惑を示す。

いきなり世界の命運を託されて、『はい。そうですか』とはならなかった。


 でも、『罪のない人々を救って欲しい』と頼んだのは、私だし……旦那様に丸投げする訳には、いかないわよね。

ちょっとくらい、私も活躍しないと。


 『何でもかんでも、旦那様任せは良くない』と考え、私は覚悟を決めた。


「分かりました────とりあえず、やってみます」

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