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本心

 この際、ハッキリさせておきましょうか。私のお慕いする人は誰なのか、を。


「トリスタン王子、私は────貴方の恋人でも、妻でもありません。私の愛する人はただ一人……生命を司る神 レーヴェン様だけです」


 そう言って、私は旦那様の腕に少しだけもたれ掛かった。

『夫婦の証明だ』と言わんばかりに距離を縮めると、旦那様は嬉しそうに頬を緩める。

甘い雰囲気を醸し出す私達に、トリスタン王子は直ぐさま噛み付いた。


「なっ……!?それは一体、どういうことだ!?メイヴィスは、私の妻だろう!?」


「いいえ、違いますわ。私はトリスタン王子を愛したことなど、一度もありません。もちろん、妻になった覚えもありませんわ。全て王子の妄想です」


「な、なんだと……!?そ、そんなの嘘だ!!有り得ない……!!私が間違っているなんて……!!私とメイヴィスは、確かに愛し合っ……」


「────念のため言っておきますが、トリスタン王子の愛を心地いいと感じたことは一度もありません。むしろ、不快でしかありませんでした。第一王子という身分さえなければ、貴方と関わることもなかったでしょう」


 真っ直ぐに前を見据える私は、今までずっと言いたくても言えなかったことを打ち明ける。

厳しい現実を突きつけられたトリスタン王子は、衝撃のあまり硬直した。

私に愛されているという思い込みが見事打ち砕かれ、呆然としている。

今にも膝から崩れ落ちそうになる彼は、これでもかというほど大きく目を見開いた。


 トリスタン王子が愛しているのはあくまで私の外見だけど、好きな人に『不快』なんて言われれば、さすがに傷つくでしょうね。

でも、ここまでハッキリ言わないと、トリスタン王子は理解してくれないから……。


「そ、そんな……じゃあ、私は今まで何のために……」


 ショックが大きいのか、トリスタン王子は絶望したような表情を浮かべた。

酷く落ち込んだ様子の彼を前に、旦那様はニンマリと笑う。


「ふふふっ。残念だったね?バカ王子。メイヴィスは生まれた時から、僕のものなんだ。だから、これは当然の結果なんだよ」


 自慢げに胸を張る旦那様は、見せびらかすように体を密着させる。

仲睦まじい姿を見せつけられたトリスタン王子は、今にも発狂しそうだった。


「っ……!!くそ……くそっ!!こんな奴にメイヴィスを渡して堪るものか!!」

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