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忘却の花  作者: 野薔薇 太陽
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最終話

やっっっっと最終話です!長がった...それにしても年を越さずに終わらせてよかった...

「アムネシアさん!大丈夫ですか?!アムネシアさん!」

 目は虚空を見つめており、今回も幻想を見ているのだろう。

「師匠...」

 アムネシアさんの肩を揺すっているとアムネシアさんが見ている方向から声がした。

 振り向いてみるとそこには半透明の2人の人間がいた。

 1人目は赤い髪と目、黄色い上着の下には白いシャツが見える。どことなくゲラさんに似ている。

 2人目は私のドッペルゲンガーの如くそっくりさん。服装も表情も違うから見間違えることは無いだろう。

 そして2人は同じタイミングで同じ事を口にした。

 なんで殺したの...?

「違う!ゼラを殺したのはお前の横に立っているリもじゃないか!」

 誰が見てもアムネシアさんが取り乱しているのは明白だ。

 それでもゼラと呼ばれた赤髪の方は無表情のまま淡々と喋り始めた。

「あの時師匠が躊躇しなければ私は死ぬことはなかったです。それなのに自分は悪くないと言い張るのですか?」

 アムネシアさんは目を逸らした。

 次は横のドッペルゲンガーが喋りだした。

「家族を殺されて、最愛の人を殺されて、生きる意味を失っているのに何故貴方はまだ生きているの?」

 生きる意味なんて死にたくないで十分だ。

 しかしアムネシアさんは何も言い返さない。

「そう、それが貴方の答えね。なら貴方も死んで」

 そう言いながらドッペルゲンガーは手を伸ばしながら近づいてきた。

「ダメですよ!手を繋いじゃ!」

 どうやら私の声は届いていないらしい。

 もう一か八かやるしかない。

 アムネシアさんとドッペルゲンガーの手が触れそうになった時、ドッペルゲンガーの頬に拳を叩きつけた。

「わっ!」

 相手は幻影だ。案の定拳は空振った。

 でも、運のいいことに幻影は雲散霧消した。

 そしてやっと、アムネシアさんは私を見た。

「お前何やってん...」「しっかりしてください!」

 私は胸ぐらを掴んで叫んだ。

「死人の言うことなんて無視してください!なんで救えなかった人の事ばかり見ているんですか?!私はアムネシアさんのおかげで何度も命を救われているんです!だから...だから死んだ方がいいなんて思わないでください!」

「...だが俺は罪を犯した」

「悪事を行ったなら、それを超えるくらいの善行をすればいいんです。それでも過去に縛られるのなら過去を変えればいいんです。アムネシアさんは瞬間移動ができるんですからそんなことくらい出来ますよ」

 アムネシアさんの目が生き返った。

 少しではあるが表情が明るくなった。

 ところで、私を囲っていた部下はその間少し距離を置いて武器を構えていた。

 術中とはいえ、近づくのは危険だと考えているのだろう。

「イチゴ様、こいつ幻想を解く気だ!」

「お前ら、串刺しにしろ!」

 全員が雄叫びをあげながら一斉に襲いかかってきた。

「くっ...」

 反射的に目をつぶってしまったが、襲われることは無かった。

 聞こえるのはさっきまでの威勢のいい雄叫びは呆気ない声へと変わり、周りからではなく前方からしか聞こえなくなった。

 目を開けると私は座っているアムネシアさんにお姫様抱っこをされていた。

 どの椅子かなんて周りの景色を見れば一目瞭然だ。

 さっきまでその椅子に座っていたイチゴはボコボコになった顔で床に寝転がっている。

 そしてアムネシアさんはノリノリな口調で言うのだった。

「頭をたれよ」

 そこからはトントン拍子だった。

 イチゴと名乗る謎の組織は壊滅した。

 話によるとカブトという名の前のボスがアムネシアさんに処刑されたことへの復習らしい。

 デモを起こしている人々は気がつけば皆牢屋にいた。

 それはまるで国に不満を持つものを一斉粛清したようだった。

 いや、実際そうなのだろう。

 壊れた街並みは瞬きをすると全てが元通りだった。

 アムネシアさんのタコだらけの手以外は。

 それから数日後、広場でパレードが行われた。

 それは事件の終結を祝うのではなく、新しい王を迎える祭りだ。

 アムネシアさんはパレードの最中ずっと国のお偉いさんとずっと話していた。

 1人1人は短いのだが、いかんせんお偉いさんが多い。私が話せるとしても明日になりそうな雰囲気があった。

 そうして全員のお偉いさんと話しを終えたあと、私の所へ来た。

「スターチス」

「なんですか?アムネシアさ...あっ!新国王陛下でした!すみませんつい癖で」

「そういうのはいい、前と同じでアムネシアにしてくれ。なんなら師匠でもいいぞ」

「わかりました。ところで、アムネシアさんどうかしましたか?」

「俺は旅に出ようと思う」

 王になった早々国を飛び出すようだ。

「えぇ...それって私も行くんですか?」

「いや、俺一人で行くつもりだ」

 もうなんと言われても驚かない気すらしてきた。

「どのくらい旅をするつもりですか?」

「3年だな」

 なっが...

「その間誰が国を管理するんですか王舐めてますか」

「その間はどうにかなるさ、俺の妹は優秀だからな。それに3人いれば文殊の知恵ともいうし」

 3人?女王とルチェとボタン皇帝だろうか。

「じゃ、そういうのことで」

「どういうことですか...」

 アムネシアさんは背を向けて歩き出した。

 そして一瞬立ち止まり、

「ありがとな...」

 誰にも聞こえないくらいの声で喋って歩き去っていってしまった。

「どういたしまして...」

 私も誰にも聞こえないくらいの声を漏らした。


ーーーーーーーーーーーーーーー


 翌日

「早く起きろ!」

 師匠朝は早い。

 昨日夜遅くまで祭りをやっていたのにいつもどうりの時間で起こしてきた。

「あだ!...いったぁ〜、師匠!もっと優しい起こし方はないんですか?!」

「それで起きないからこうなっているの」

 最初の頃は肩を揺するくらいだったのに...

「う、う〜ん...でも師匠昨日あんなに遅く寝たんですからまだ寝足りないですよ」

 師匠はため息をついた。

「はぁ、なら前々から聞きたがっていた私の師匠の話をするわ」

「本当に!」

 目が冴えた。

「これで起きたでしょ?」

 むにゃむにゃ...

「わかった、わかった!ちゃんと言うから」

「早く聞かせてください!」

「覚醒してすぐ眠くなって、またすぐ覚醒するなんて便利な体ね」

 そう嫌味を言った後、話は始まった。

「これは3年前に起きた事件なんだけど...」

 それは3年前、この国を襲った未曾有の大災害を救った大英雄の話。

 彼はその命を使い切り、国を守ったという。

 私の憧れの人物だ。

 その大英雄の名はアムネシア。

 私の師匠であるゼラ・ニウムの師匠だ。

この作品は「最近つまらん作品多いから俺が作った方が面白いものができる!」という慢心からできたクソ作品です。

実際作ってみると時間が無く思い描いたことを文にするのはとても難しいです。生半可な思いでは到底務まりません。自分的には終わらせることができただけでも、とても嬉しいことです。

この作品には当初の予定ではスターチスは出ない予定でした。

リモとアムネシアが記憶を取り戻して終わらせるつもりでしたが、「なんかもう終わっちゃうのか...ちょっと伸ばしちゃお☆」という浅はかな考えの元、生まれました。

小説を作るのは今回が初めてで、とても面白い経験でした。そもそも私理系ですし...

次の作品の設定もどんどん作り上げているので投稿をしたら見ていただけると幸いです!

ちなみに作品名は「死神の取り立て屋」の予定です。うーん、つまらなさそう...

それでは「忘却の花」を最後まで見てくださった皆様方、本当に最後まで付き合って頂きありがとうございます!

またいつかお会いすることがありますように!

さようなら!

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最後まで見て下さってありがとうございます。 ...でいいのかな? っと言いますと、作者(私)はインターネットなるものがすこぶる苦手です。 なのでこの文章がどこら辺に記載されるのか全く分かりません。 そんなこんなで始まったこの作品、最終章まで見て頂けると幸いです。 ではまた次の章で。
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