依頼人
桜の写真を友達に送り付けて「良くね?」の一言を添える。いやあ、100日後が楽しみですね!
「あのー、アムネシアさーん」
それは知らない声だった。男性の声。
多分この街の住人だろう。
「どうした?」
「ドアが壊れたので、直して欲しいんですけど...」
「断る、気分にならん。それに今は重要な仕事がある」
いや、待てよ...ルチェが以前人助けをしろって言われてたな。
「いいわ!それ、私が引き受ける!」
「本当かい?」
「さあ、行きましょう!」
「スターチス、ちょっと待った」
「どうかしたの?」
アムネシアさんに止められた。
「お前ドアの直し方知ってんのか?」
「あ、」
これが盲点と言うやつか。
「はあ、しょうがない。俺も行く」
それって人助けしたことになるのかな?
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「ドアの直し方を教えてやる」
「はーい」
「まずはこうして、次にこうして、最後にこうする。これで終わりだ」
これほど自分の理解力に助けられたことは、そうないだろう。
「まあ...なんとか分かったわ」
言われた通りにしてみると、ドアは直った。
これで説明が上手いと完璧なんだけどなあ。
「これで直ったわよ」
「ありがとう!えーっとリ」「彼女はスターチスだ」
住民Aさんが何かを言おうとしたが、アムネシアさんに声を被されて聞こえなかった。
「スターチス、公園に戻るぞ」
「あ、アムネシアさん!」
また知らない声だ。ちなみにさっきと違う人。次は女性の声。
「さっきドア直してたわよね?ちょっと私の家の窓を直してくれない?うっかり割っちゃって」
うっかりで割れるものなのか?
「断る、気分にならん。それに今は重要な仕事がある」
「いいわ!それ、私が引き受ける!」
「なんだって?!」
また知らない声だ。次は男性。
「アムネシアさん、仕事をしてくれる気になったのかい?!これでようやく庭の手入れが出来る!」
「そんな大声で叫ぶな、周りに聞こえる」
「おや、アムネシアさん仕事再開かい?」
また知らない声。
「それは助かる!包丁の切れ味が落ちていたんだ!」
またetc.
「アムネシアさん」「アムネシアさん」「アムネシアさん」
etc.etc.etc...
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「はあ、疲れた...なんで皆アムネシアさんに頼るの?専門の職人くらいいるでしょ!」
「簡単な理由だ。その職人は大抵貴族に資金援助を得て創業できている。なら店の利益を貰うのが筋だろう?そうするとその分値段が上がる。あとは仕事の質だろうな」
これだからお貴族社会は。
しかし1ヶ月分の人助けはした。
これで良しとしよう。
翌日
公園で仰向けに倒れている私の横にいるアムネシアさんにローブ姿の女性がやってきた。
なぜ女性だとわかったかと言うと、声のおかげだ。
無口だと性別すら分からなかった。
身長でかいから男性と勘違いしてたかも。
「貴女がアムネシア?」
「あー、私じゃなくてあっちの人」
「...貴方がアムネシア?」
「そうだが、仕事の依頼なら断る」
「人を探している」
「悪いのは頭か?それとも耳か?」
「金ならある」
「俺は金のために働かん。そもそも金を受け取っていない」
うーん、もう人助けは少しの間懲り懲りだ。
しかし困った人の頼み事を断ったってルチェが知ると、少し面倒なことになりそう。
ん?人探し?大事じゃない!!
「人探しってどういうこと?!アムネシアさん、これは大事件じゃない?話を聞きましょう!」
「はぁ...」
アムネシアさんは大きくため息をついた。
新キャラを出そうとしましたが、最後のちょこっとしか出せませんでした。




