王都内乱編第十一章 Don't die
今日って何曜日ですか?!当然、この小説を更新するのは木曜日の0時です。
そして今木曜日の午後です。
まさか一日ズレていたとは...今後このようなことのないよう、精進します。
ゼラとリモが何処で戦っているのか分からない。
だが、検討はついている。さっきまで少し離れたところから大きな音がしていたからだ。
確かこの十字路を曲がれば見えるはずだ。
そこには予想通りゼラがいた。
あれ?リモは何処だ?
「ゼラ、リモは何処にいるんだ?」
ゼラはずっと少し下を向いている。
下に何かあるのか?
下を見るとそこには倒れているサイサリスがいた。
なんだ、二人で倒したのか。
だが、そんな悠長な気分はすぐに虚空へと消え去った。
その近くでリモが倒れている。
サイサリスはうつ伏せのため傷口が見えない。多分動いていないから死んでいるのだろう。
それに対して、リモは仰向けに倒れている。そのせいか傷口見える。
はっきりいって重症だ。
服は赤くなっており、胸の辺りは肉が裂けて骨が見える一歩手前だ。
当然の事ながら平然とした顔は豹変した。
「リモ!!大丈夫か?!」
「これが大丈夫に見える?...」
駆け寄って口に耳を近づけてようやく聞こえる程の力のない声だ。
それにいつもの憎まれ口がない。相当大変だったようだ。
早く止血しないと不味い。
「ゼラ!早く医療キットを持ってこい!今ならまだ間に合う!」
「...」
「早く!!」
「...はい!?」
ゼラはまだ混乱しているが、気を取り戻したのかすぐに俺の店へと取りに行った。
今のうちに止血しないと。
コートを脱いで傷口に強く押し付けた。
俺は医療関係は少し苦手だからよく分からんが、これが良いらしい。
「...こんなんで止血なんかできるの...?」
「知らん、せんよりかわマシだろ」
無駄口叩くくらいは大丈夫なようだ。
周りをよく見ると、逃げ遅れた人達が瓦礫の裏に隠れていた。
よく見ると他に重症を負っている人はいないようだ。
「皆を助けるなんて柄にもないことするからこんな事になるんだ。危ないなら他人を見捨ててでも逃げるべきだ」
「...見殺しにしろって言うの...?」
「そうだ、他人を守れるほどの力があるからこそ、他人を守れる。当たり前の事だ」
「手に届くものを捨てるのは愚か者よ。貴方のようにね...」
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「師匠ー!!持ってきましたよー!!」
「遅い!」
実際は間に合っている。しかし、非常事態には早ければ早いほどいい。
医療キットにはいくつか不備があるが、その中でも一番不味いのは鎮痛剤がない事だ。
「痛むぞ?」
「死ぬよりかはマシよ...」
幸い肉は裂けただけでまだくっついてる。
これなら縫える。
「師匠...リモさんは治るっすか...?」
「助かる命をみすみす見捨てるかよ」
「私にはああいったくせに...」
「俺にはお前一人くらい助けるほどの力がある」
そう言って俺はリモの傷口を縫い始めた。
当然痛い。
「~~~~~!!!」
言葉にならない叫びは聞いていて辛い。しかし辞める訳にもいかない。
ゼラは途中から目を瞑って耳を塞いでいる。
周りにいた他の人も俯いたり、目を瞑っていたりしている。皆自分達のせいだとわかっているからだ。
そうして傷は完全に塞いだ。
「終わったぞ、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、あんた私をショック死させる気...?」
だが、もうすぐには死なない体になったな。
「そんなの結果論よ...」
こうしてリモは事なきを得た。
次回は「王都内乱編第十二章」の予定です




