王都内乱編第五章 血の英雄
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「やっとだ...やっとここまで事が進んだ...
これであのクズ王を失脚させられる...」
他人に聞かれて欲しくないのか小さな声だ。声色には喜びが隠しきれないのか、溢れ出ている。
真夜中に小さな声で喋るのは基本だ。
それに独り言なら尚更声が小さい。
だが、さっきの独り言は流石に小さすぎる。部屋の端の方にいれば何と言っているか分からないくらいに。
「やっとですか、今まで長かったですなサワギ...っとこの国では名前を変えていましたね」
違う人の声だ。ちなみにどちらも男の声。
「おお、こんな所にいらしたか。明日という日を何年待ちわびたか」
「これで我々の悲願も叶う」
「して、あの邪魔者はどうされる?明日の最終計画を阻止されるやも知れんぞ」
「最近二人増えたらしいが、誤差の範囲よ。こちらには血の英雄がいる」
「おお!それは頼もしい!!はっ、つい大声を...」
「まだ全てが終わった訳では無いぞ。しかし...やっと...やっとこの国を滅ぼせる...」
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やっと...やっと治った...
「店長?何やってるの?」
「お前が着ていたボロボロの服を縫っていたんだよ」
「ああ、あのローブ?」
ローブだけじゃなく、全部だがな。
「まさか下着も?!」
先に言っておく。邪な気持ちは決して無い。
「嫌だったか?」
「いや...なんか貴方に見られても不思議と恥ずかしくないわ」
俺も縫っている間、興奮しなかったな。なんというか...見飽きた様な感覚に...
「そんな事より早く見回りに行くわよ」
「そうだな、思い出せない記憶を無理に思い出す必要は無いか」
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「なんでついてくるの?」
「見回りの道なりが、途中まで同じだから」
「へー」
なんだそのどうでもいいみたいな感じは。
「それにしても...なんだか自治の人が少ないわね」
そういえば少ない。最近はよく見かけていたのに。
あ、まさか何日も朝から夜中まで仕事していたから疲れて休んでいるのか?
やはりこの国には労働基準法が必要だ。
なんな時爆発音が聞こえた。
音にして「ドカーン!!」いや、「ドゴォーン!!」かもしれない。ん?どっちでもいい?つれないなぁ。
「何?!何事?!」
「爆発だ!爆心地に行ってみるぞ!」
「分かったわ!」
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爆心地には怪我人が沢山いた死人もいたかもしれない。そもそも大通りが爆発したんだ、ただじゃ済まないだろう。
爆発した所の近くにゼラがいた。
幸いにも怪我一つない。
「ゼラ!大丈夫か?」
「自分はなんともないっす!」
「何があったの?」
「分からないっす。いきなり爆発したっす」
そんな話をしていたら爆発で舞い上がった土埃が無くなり、視野が広がった。
爆発の威力は凄まじいな...ゼラが無傷なのが不思議なくらいに。
「店長、あの武器を持った人って自治の人?」
武器を持った人?
視界がさっきまで悪かったせいか、結構近くにいたのが分からなかった。
あんな知り合いいたかな?服装的に警察じゃあるまいし...
「師匠!姉さん!そいつらから離れて下さいっす!」
「ん?まあ分かったわ!」
「ん?まあ了解した」
リモと俺は即座に離れた。しかし、離れる理由はなんだ?
「ゼラ、あいつらは何者なの?」
その問いにはゼラが答える前にあいつらが答え始めた。
「あれぇ?お嬢ちゃんもしかして俺達のこと知らないのぉ?」
「ゼフィ、品の無い話し方は辞めろと言ったはずだ」
「いいじゃねえか?俺らのことを知らないとかいう珍しいやつがいるんだから」
「珍しいやつがいたからと言って、下品な言葉は使ってはいけませんよ」
さっきも「あいつら」言ったように、一人では無い。四人いる。
「あいつらは殺人鬼っす」
「ひでぇなあぁ。俺らは英雄だぜぇ?」
「お前らは英雄でもなんでも無いただの殺人鬼だ!」
ゼラがらしくない口調で叫んだ。それだけの罪を犯したやつなのだろうか。
「せっかく知らないやつがいたんだぁ。自己紹介するかぁ」
「時間がないから手短にな」
「その自己紹介って私もするんですか」
「お前ら少し黙ってろ!俺の名前はゼフィ、血の英雄ゼフィランサスだぁ」
「俺はサリィ、血の英雄サイサリス」
「私はディ、血の英雄デンドロビウム」
「...」
「おい!お前も名前くらい言え!」
「...血の英雄ガーベラだ...」
血の英雄...確か以前聞いた事のある名前だ。
血の英雄...ロボットアニメ好きにしか分からないパロディですね。
次回は「王都内乱編第六章魔法少女(?)爆誕」の予定です。




