王都内乱編第一章 カサギ卿
新章入ります。長編の予定です
「猫ちゃーん、主人はこんな変人だけど、お前は可愛いね〜」
その主人とやらは俺のことを言っているのか?少し立場をわからせないといけないな。
「我は貴様らの言う猫に分類される種族ではあるが、シオン・ニウムと言う名前がある」
「わ!こいつ喋れたの?!」
「こいつではない。シオン・ニウムだ。二度以上言わせるな」
あれ?あの猫にニウムなんてファミリーネームあったっけ?
扉が開く音がした。客だろうか?だが、今の俺は片腕怪我をしている。当然仕事など出来ない。出費が倍になったというのに。
「いらっしゃ...」げ!こいつは!
「なんだ?その態度は?客に対して失礼だと知れ。だが喜べ、そんな愚民に仕事を見繕ってやるぞ」
「ね、ねぇ店長。この上から目線で煌びやかな服着た小太りのおっさん誰?」
「あれは貴族だ。色々とあってこの店を嫌っている」
「まあこんなんが店長なら仕方ないよね」
こいつ...だが、流石にこの貴族に聞こえない程度の声で話しているってことは、少しは自重出来るということか。
「コソコソ話は済んだか?仕事内容は庭の手入れだ。三日後までに終わらせてくれ。わかったなら早くしてくれ、時間が無いんだ」
「残念だが、今は怪我をしていて片腕が使えない。それに庭師なら他に一人居たはずだ。そこをあたってくれ」
「あの庭師か?あいつはゴミだ!あんな下手で国王の犬は信用出来ん!それにお前の横に両腕使えるやつがいるじゃないか」
国王の犬?いや、違うな。お前が反国王派なだけだ。
「私?私にやれって言うの?庭の手入れなんてしたことないわよ」
「しかしだ、お嬢ちゃん。チミの店の店長はやり方を知っている。チミはやったことないだけでやり方さえ知れば出来る。どこに不満があると言うのだ?」全てだ。お前も、お前の考え方も。
「その小さな脳で理解できたら、早くやることだな」そう言って出ていってしまった。
「何よ偉そうに。あんなの人がする態度じゃないわ!貴方以上に感じ悪い奴がいるとわね!」
「あいつはカサギ卿。少し離れた区画を仕切っている反国王派の貴族だ。その中でもトップクラスに国王を嫌っている。あんな態度をとっても俺らじゃあいつをなんとも出来ない。金の力って凄いな」
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流石お貴族様、豪邸だ。庭もとても大きい。三日後までに終わるだろうか?
考えてもしょうがない、早く作業に取り掛かろう。
「リモ、まずはこの大きなハサミを持て。そしてこれをだいたいこんな感じに切ってくれ」
「あんなやつの家の庭の手入れなんて不服だわ」
「仕事に私情を持ち込むもんじゃない。例外はあるがな」
リモは俺が適当に指示した感じに切ってくれた。少し違うが、正味誤差というやつだ。
そのおかげか、順調に進んだ。このままだと普通に間に合う。
仕事中にカサギ卿がやって来た。どうせ暴言履くことしか出来ない奴が金持ちになれるんだ?
「カサギ卿、なんかようか?」
「順調に進んでいるようだな。サボっているか見に来たが不要だったようだな」
なんだろう、リモから殺気が感じられる。気のせいか?気のせいだ、間違いない。よな?
カサギ卿はすぐにどこか行ってしまった。
「何よあいつ!ムカつく!」
「早く作業に移るぞ」
「あいつやっぱり気に食わないわ!」
それから数時間後
気がつけばもう日は落ちそうだ。あと少しだからもう今日は終わりだな。
「もう帰るぞ」
「やっとー?疲れたわ。それと貴方説明は上手いけど、扱いが雑すぎよ」
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家に帰り中警官が見回りをしていた。少し妙だ、この街は比較的治安が良い。警官が見回りするほど悪くない。
「おーい、巡査君なんかあったのか?」
「ちょっと店主さん、私の名前まだ覚えてくれてないんですか?まあいいですよ、それより聞いてください。誘拐です」この街で?有り得ん。
「犯人は未だ捕まっていません。それどころか全く手掛かりがありません」
「被害者は?」
「ここら辺に住む女性です」
「一人か?」
「そうですね」
「これは事件の匂いがするわ」
以前この作品の元となったを4ヶ月前につくった作品がありました。それは「小説家になろう」に投稿はしませんでしたが、それにこの貴族が出てきました。その時よりもっと暴言厨にしています。
次回は「王都内乱編第二章 連続誘拐事件」の予定です。




