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僕達の七色の物語  作者: 小林 拓也
1/1

ー覚醒ー

ーーーこの物語は、僕たちが出会う前から出会った後の長いようで短いような非日常の話だーーー


「おい、青年!何してんだ!?¥」


その罵声ととともに、僕は目を覚ます。

目を開けて飛び込んできたのは家の天井ではなく、真っ青と鮮やかに広がる空。


「ここは、どこですか?」


歳はもう還暦は迎えているだろうか、そんなおじさんがなにやら緑色の物質を取り扱っている。


「青年、記憶喪失か?これがなんだかわかんねえんだって?」


おじさんの両手には柔らかそうなのか、堅そうなのか、わからない物体が握られている。

それをおじさんは迷うことなく口に放り込んだ。


「ちっ、今期のこいつはまるでダメだ、おい青年、食ってみるか?」


そういうと、おじさんは僕にその物体を近づけてきた。

こんなどこかもわからない場所で知らないおじさんに怪しい物体を勧められて食べるはずがない。


「い、いえ結構です!!」


「な、まさかまだ野菜が食べたいとか抜かしてるんじゃないだろうな!?」

おじさんはそういうと、田んぼだったであろう場所を指さす、そこにはおじさんが今、まさに近づけてきた緑色の物体が幾つも生えていた。


「野菜なんてのはとんだおとぎ話の産物だ、そんなもの今のこの星には存在しない」


おじさんは、空を見上げる。何かを考えるようにして。


「ど、どういうことですか??全く意味が分かりません」


「そうか、やはり記憶喪失にでもなってんだろうな青年、今朝うちの敷地で倒れてたのを見て、俺が担いで此処まで連れてきたんだ」


「え!?それは大変ご迷惑をおかけしました」


僕が気を失っていた??しかし、おじさんの言う通り、記憶というものが失われている。

野菜・・・??なんだっけ・・・??


「とにかく、これを食え、お前みたいにひょろいのだとすぐおっ死んじまうからよ」

おじさんは無理やり緑色のそれを口に突っ込んできた。


なんだこの味は・・・無?食感はなんだろう、例えようのない硬さだ。でも体が軽くなった気がする。


「おじさん、これは何という名前の作物なんですか???」


「け!やっぱりお前おかしいぞ!これはな、グリーンホプっていう物質だ。名前の由来はそうだな、そのおとぎ話の野菜だっけか、そいつにかけた願いみたいな意味があるそうだ」


「グリーンホプですか?不思議な名前ですね」


おじさんは本当に不思議そうな顔で僕のことをのぞき込んでくる。


「まあいい、青年。記憶が戻るまで面倒見てやっからよ!とりあえずこのグリーンホプの味になれることだな?気分も良くなっただろう?」

そういうとおじさんはしかめっ面からにんまりとした顔に変わった。


「そ、そんな!!結構です!僕には家が・・・」


いや、家??ここはどこなんだ?


「ほーら、家もないんじゃ帰れねえだろう、俺はロンって名前だ。青年は?」


「僕は、レオンと言います。確か・・・」


「がっはっは!名前だけは覚えてるんだな、よろしくなレオン!」


そういうとおじさんは僕の肩をガシッとつかんで満面の笑みを浮かべた。

これが僕、レオンの物語の始まりだった。



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