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精戦   作者: ゴルドン
1/1

第一話 夢

 初投稿です。今後もでき次第ちょいちょい更新していきます。

 

 この日、一人の平凡な高校生の運命が大きく変わることになる、、、、。



 よく晴れた日のこと、彼はいつも通りの帰り道を歩いていた。


「今日も終わったなー」


 影山青志かげやまあおし、17歳、帰宅部。


高校に入学してからというもの入学早々にあったアオハルフィーバーに乗り遅れそのままダラダラと二年生になってしまった。

今では人生に何の楽しみも見出せていない。


「俺の青春って何だろうな、、、」


 その時、少し先に光るものが見えた。


「何だろう?」


 気になって近づいてみると、そこには宝石のように綺麗に光る石が落ちていた。

 簡素な住宅街には場違いな程に光り輝いている。


「キレイだな、、、」


 大きさは手の中にちょうど収まるくらいのサイズで、少し青くガラスのように透き通っていてとても美しい。


「俺とは大違いだな、、、」


 少し恨めしく思いながらも珍しい石だったので記念に持ち帰った。



「ただいまー、って姉ちゃん!!それ動かしちゃダメって言ったじゃん!!」

「えぇー、だって邪魔何だもん。」


 それとは、青志が大事にしている上杉謙信の兜のレプリカだった。

 青志は生粋の戦国マニア。特に上杉謙信を崇拝していた。


「もっと大事に扱ってよ!!何万したと思ってるの!!」

「うるさいわね、そんなことばっかやってるからいつまで経っても彼女の一人もできないのよ」

「は、はあ!?今それは関係ないだろ!!」


 思わぬくカウンターを喰らい攻め手がなくなった青志は逃げるように自分の部屋に向かった。


「とにかく、その兜には触るなよ!!」





 その日の夜、、、。



「ん、ん~~!?」

「何だ?ここは?」


 目を覚ますと目の前には見たこともない景色が広がっていた。

 見渡す限り薄い桃色の景色でその空間全体に少しモヤがかかっていた。

 まるで夢の中だ。


「俺って寝てた、、、よな?」


 青志は自身の記憶をたどっていた。

 自分の部屋で12時過ぎた頃、確実に寝ていた。


「ということは夢か、、、!!」


 青志は辺り全体を見回した。


「夢だって気づくの初めてだ。なんかうれしい、、、。」


なんだかんだ言って夢の中で夢って気づくの難しいよな、、、。

 そんなことを思っていると上の方から聞きなじみのない声が聞こえてきた。


「何で私がこんなモブ男相手にしなきゃなんないのよ」


声のする方を向くとそこには小さな妖精が飛んでいた。


「お前、今俺のことバカにしただろ」

「はあ!?見たまんまのこと言っただけでしょ!!」


何だこいつは!!何で夢の中でまでモブ扱いされなきゃいけないんだ!?

 そう思っていると、天から別の声が聞こえてきた。


「ダメですよ、ペーネ。その方はあなたのパートナーなんだから、しっかり導いてあげないと」

「わかってるわよ」


 ほう、あの妖精ペーネっていうのか。それはそうと俺とアイツがパートナーってどういうことだ?


「アンタみたいなモブ男に超スーパーカリスマ妖精の私がついてあげるんだから感謝しなさいよね!!」

「何でそんな上から目線なんだよ」


 青志の小言をよそにペーネはどんどん話を進めていく。


「とりあえず、そこの召喚陣で精霊を召喚しなさい」

「召喚陣?精霊?何の話だ」

「そこにあるでしょ!!召喚陣!!アンタの足元よ!!」


 本当だ、確かに足元に何だか複雑な魔法陣がある。全然気付かなかった、、、。


「グズグズしてないで早く召喚しなさいよ!!」

「召喚って言ったって、何したらいいんだよ!!」

「はあ!?アンタ召喚のやり方も知らないの!?」

「知るかよそんなこと!!」


 ペーネは召喚のやり方も知らない青志に失望していた。

 イライラしながら話を続ける。


「召喚陣の端っこの方に手で触れるだけよ!!赤ちゃんでもできるわ!!」

「何だよその言い方」


 ペーネの口の悪さに気分が乗らないものの、せっかくの夢だからと一応言われたとおりにしてみる。


 ブゥゥゥゥン!!


 召喚陣に手を触れた瞬間、陣全体が強く光りだした。


「何だ!?これは!?」


 視界全体が白い光に包まれる。

 眩しさのあまり反射的に目を閉じた。


 、、、。


 目を開けるとそこには侍のような人?が立っていた。


「あれは!!侍ガエルじゃない!?」

「侍ガエル?」


 凛としたたたずまいに甲冑まで着けて、まるで戦国時代の侍のような風貌だが、それは人ではなくカエルだった。


「侍ガエルは水属性の中でも武闘派で強力な精霊よ!!」

「は、はあ、、、」


 目の前の状況を受け入れるので精一杯だったが、どうやらこの侍ガエルとかいう精霊、相当強いらしい。


「初回から侍ガエルを引くなんて、やっぱり私が見込んだだけあるわね!!」


 おいおい、さっきまでのあの態度はなんだったんだ!!

 なぜか自慢げなペーネを横目に少しだけ侍ガエルに近づいてみる。


 戦国オタクの青志としてはカエルといえど、やはりカッコよく写っていた。

 すると、侍ガエルが動き出した。


「この刃将ばしょう!!今日から主君にこの命捧げる所存でございます!!」

「え!?」


 いつの間にか侍ガエルが足を組んで頭を下げている。

慣れた様子で主君に忠誠を誓っているのを見て興奮のあまり少し鳥肌がたった。


「え!?主君って、、、俺?」

「無論。この召喚陣にて某を召喚してくださったのは間違いなく主君でございます!!」


 そう言われたらそうだな。青志は思わずにやけてしまう。

 何だか風向きが変わってきたな。一気にいい夢になってきた。


「して、主君の名は何と?」

「え!?」


 そうだな。せっかくだし、憧れの名前で呼んで貰おうかな。


「俺の名は、上杉謙し、、、」

「こいつの名前は青志よ!!」


 ペーネが話に割って入ってきた。両者にらみ合う。


「何で俺の名前知ってんだよ!!」

「はあ!?妖精なんだから知ってて当然でしょ!!」


 何だよ!!いい所で邪魔しやがって!!

 やっぱアイツ俺の敵だな!!


「それでは青志殿、某を存分に使ってくだされ」

「おう!!でも使う所なんかないよ」

「あるわよ!!今すぐに!!」



 その時、空間全体が変化しだした。

 いつの間にか荒野のような空間になった。


「何だ!?どうなってんだ!?」

「バトルゾーンに飛ばされたのよ。今から戦闘が始まるわ」

「戦闘?何の話だ?」

 

 ペーネは「またかよ」とばかりに言いたそうな顔でこっちを向いてきた。

 面倒くさそうに続ける。


「ここはこっちの世界とあっちの世界をつなげる通路みたいな所よ。ここで魔物を撃退しこっちの世界に敵が来るのを防ぐのよ」

「ほぉぉ。」


 何だよその複雑な設定。手の込んだ夢だな。


 そう思っていた時、右手に剣を持っていることに気が付いた。


 ほう、これで魔物と闘えということだな。


「と言っても、最初のほうはお試し期間みたいなものだから敵もザコばっかよ」

「そうなのか。じゃあ、心配しなくても大丈夫だな」


 その時、目の前に魔物と思わしき影が何体も現れた。


「あれは、、、ゴブリンよ!!」


 ゴブリン、ファンタジーものでよく耳にする名前だな。確かそんなに強くなかったはず、、、。


「ゴブリンなんて侍ガエルにとってみればただのザコよ!!少し数が多い気がするけど(小声)」


 ん?最後のほうなんか言ってた気がするけど、、、まあいっか。


「そういうことだ!!刃将、頼むぞ!!」

「御意!!」


 そう言うと、刃将は物凄いスピードでゴブリンの群れに向かっていった。

 目にも止まらぬ速さで敵を切り伏せていく。


 ズバッ!! ズバババッ!!

 

 あっという間にゴブリンの群れを全滅させた。


「すげぇぇーー!!!」


 何だよ!!めっちゃ強いじゃん刃将!!

けどこれって俺の出る幕なくね、、、。


「青志殿、まだ敵の気配がある故警戒を怠らないようにしてくだされ」

「お、おう!!」


 そうは言っても、刃将が居ればやられることもないだろ。


「次!!来たわよ!!」


 その後もゴブリンの群れが襲ってきたが刃将がこれを殲滅。

 今度も俺は何もしていない。


「やっぱ楽勝だなー」

「ん~、、、」


 終始楽勝ムードの青志とは違いペーネには気になるところがあるようだ。


「何だよ、まだなんかあるのか?」

「わかんない、だけど初回にしては魔物の数が多すぎるのよね」

「まあ、何体かかってこようが俺らの相手じゃねえだろ」

「そうなんだけど、、、」

 

 その時、今までに見たことのない魔物が現れた。


「あれって、、、ハイゴブリン!?」

「何だ?それ?」


 いつも強気だったペーネが少し怯えている。それほどの相手なのか。


 さらに、何体かいるハイゴブリンの中からひときわ大きな魔物が出てきた。

 右手に大きなハンマーのようなものまで持っている。


「待って、、、ゴブリンキングまでいるじゃない!!」


 ゴブリンキングって多分あいつだな。

 こっからでもめちゃくちゃ強そうな雰囲気を感じる。


「ハイゴブリンはゴブリンの上位互換で全てにおいてゴブリンより上回っているの。ゴブリンキングはそのさらに上、ハイゴブリンをまとめることができる激ヤバなやつよ!!」


 何!?そんなに強いのか!?


「で、でもこっちには刃将がいるから大丈夫だよな!!」


 そう言って刃将の方に振り向く。

 刃将はかなり険しい顔をしていた。どうやら相当ヤバい状況らしい。


「くそ!!さっきまでいい調子だったのに何でだよ!!」

「来るわよ!!」


 ハイゴブリン数体が突っ込んでくる。


「青志殿!!某の後ろから動かないで下され!!」

「お、おう!!」


 両手で剣を握りしめた。


 ザバァァァ!!


 刃将が刀で地面の砂を巻き上げた。

 ハイゴブリンは気にせず突っ込んでくる。


「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」


 一気に三体のハイゴブリンを切り倒した!!

 そして残ったハイゴブリンを一人で相手にしている。

 

「すげぇ、、、」


 それに引き替え、俺は恐怖のあまり足がすくんで動けないでいる。


 刃将は何体ものハイゴブリンを相手に優位に立っている。

 しかし、少しずつ体力を削られていた。


 

 ドゴォォォォォッ!!


 刃将の勢いが弱まってきたところでゴブリンキングが参戦してきた。

 刃将が段々と劣勢になっていく。


「ッ!!」


 刃将ももうボロボロだ。激戦続きでかなり疲弊している。

 それもそうだ。俺を守りながら一人で戦っているのだから。


 いいのか?それで、、、

 俺のためにこんなに頑張っている刃将一人に任せていいのか、、、?


 いや、それじゃダメだろ!!

 これは刃将一人の闘いじゃない、俺たちの戦いだ!!

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」


 意を決して一体のハイゴブリンに切りかかった。


 ガッッ!!


 「!!」


 青志渾身の一撃はハイゴブリンに片手で止められた。

 さらに、もう片方の手で青志に攻撃を喰らわせようとしている。


 これは!!マズい!!


 ズバァァァァ!!


 青志が死を覚悟した時、刃将がそのハイゴブリンを切り伏せた。


「青志殿!!大事ないですか!?」

「あぁ、、、!!」


 青志は九死に一生を得た。ただ、一度灯した火は燃え尽きていなかった。


「刃将!!」

「!!」


 青志は自分の思いの丈をぶつける。


「俺にはお前と違って闘う能力はない。けど心は一緒に戦っているからな!!お前を一人では闘わせないからな!!」

「!!」


 その時刃将は怒りに震えていた。


「某のせいで青志殿をこんな危険にさらし、さらには青志殿に喝を入れられるとは、、、情けない!!」


 刃将は自分の不甲斐なさに腹が立っていた。

 その怒りが刃将の能力の最大値を引き出すトリガーとなった。

 刃将が歩き出す。


 ザっ、ザっ、スッ


 刃将がその場から消えた。

 その刹那、刃将は残りのハイゴブリンを全て切り倒していた。


「今の儂は誰にも止められぬぞ!!」


 ゴブリンキングに向かって歩き出す。


「後はお前だけじゃ!!」


 刃将はゴブリンキングを睨みつけた。

 ゴブリンキングは変わらず不敵な笑みを浮かべている。


「参る!!」


 刃将とゴブリンキングの一騎打ちが始まった。

 お互いの力は拮抗している。


「っ!!」


 少しずつ体力に余裕のあるゴブリンキングの方が優勢になってきた。


 ゴッッ!!


 刃将に重い一撃を浴びせる。


 横で見ているペーネにも焦りの色が見えてきた。


「マズいわ!!このままじゃ、、、」

「うるせえ!!まだ刃将が戦ってるじゃねえか!!」


 青志は己の思いを一身に背負って闘ってくれている刃将に胸を打たれていた。

青志はいつの間にか、刃将を絶対的に信用していた。


 グググっ!!


 ゴブリンキングが振りかぶった。次の一撃で決めようとしている。


 しかし、二人ともまだあきらめていなかった。

 青志が叫ぶ。


「負けるな!!刃将!!」


 その時、刃将の周りが光始めた。

 ペーネはその光景を見て驚きながら呟いた。


「あの光は、、、」


 ブンッッ!!


 ゴブリンキングが武器を振り下ろした。


 二人の魂が共鳴する。


「行っけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 ジョキィィーーーン!!


 一瞬の間にすれ違った。両者互いに背を向ける。

 最後にその場に立っているのはどちらか!?



 、、、


 

 ザシュッ!!!


 ゴブリンキングの肩から腰にかけて血が噴き出た。

 そして、ゴブリンキングは前のめりに倒れた。


 ドサッ


 、、、



「しゃああああぁぁぁぁぁ!!!」


 青志が刃将のもとに駆け寄る。


「刃将―――!!よくやったよーーー!!」


 泣きながら刃将に抱き着く。


「申し訳ありません。青志殿に心配をおかけするなんて」

「そんなことないよ!!刃将のおかげで勝てたんだから!!」


 青志は刃将を褒めちぎった。それだけの激戦だったのだ。


「あんたたち、ゴブリンキングを相手によく勝ったわね」


 ペーネは驚いた表情で近づいてきた。


「そう言えば、お前全然戦ってなかったよな」

「な!?私はサポート専門なんだから戦わなくていいのよ!!」

「とか言って、実は怖くて近づけなかっただけなんじゃないの?」

「そ、そんなわけないでしょ!!」


 ペーネは少し動揺している。どうやら図星だったようだ。


「と、とにかく!!今日のバトルフェイズはこれで終わり!!明日からもこれは続いていくから今日はもう帰りなさい!!」


 あ、アイツ話を逸らしたな。そう思いながらも続けた。


「今日みたいな夢は疲れるから毎日続けなくていいよ」

「夢?バカじゃないの!?これは現実よ!!」

「あー、ハイハイわかったわかった。」


 青志は全然気にも留めてない。それもそうだこれが現実だなんて信じるわけがない。


「言っとくけど、私はそっちの世界にもついていくから。アンタをビシビシしごいてあげるわ!!」


 その時、目の前が白く光った。


 、、、。





「わっ!!!」


 青志は目覚めた。

 そこにはいつも通り寝起きの光景が広がっていた。


「やっぱり夢だったか、、、」

「夢じゃないわよ。」


 ん?青志は声のする方に振り向いた。

 そこには、ペーネが飛んでいた。


「はあぁぁ!?何でいるの!?」

「何でって、そっちの世界にもついていくって言ったじゃん」


 ペーネはさも当然ですよというような顔をしている。

 青志はこの状況を理解できずにいた。


「、、、」


 数秒間沈黙し青志は一つの答えを導き出した。


「まだ夢だったのか」

「寝るなーーーーーー!!!」



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