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鳴かぬなら 信長転生記  作者: 大橋むつお
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64『茶姫の手の平に載る』

鳴かぬなら 信長転生記


64『茶姫の手の平に載る』信長  





 転生は扶桑の専売特許ではないのよ。



 あやうく茶を噴き出すところだった。


 秘書官の備忘録の用件がすんで、椅子に腰かけるやいなや、カマされた。


職丹衣しょく にい、君は織田信長の生まれ変わり。で、そちらは信長の妹、市の生まれ変わりの……こちらでは、職市しょく しいよね?」


「なぜ、知っている?」


 今朝出会った時から、かなりのところまで知られていると思っていたが、まさか転生したことまで知っていたとは思わなかった。


「スパイを送り込んでいるのは、そちらばかりではない……とは思わないかしら?」


「であるか」


「でも、職丹衣とは、うまくつけたわね」


「そうか」


「ええ、シイが君を呼ぶときは『にいちゃん』で済むわよね。シイ……市は、良くも悪くも兄妹愛が抜けないみたい」


「そんなことはない!」


「市、おまえは黙ってろ」


「なにさ!」


「アハハハハ」


「「なにがおかしい!?」」


「いや、失礼。報告にあった市という子は、針の先のように鋭く気難しいというものだったのでね。いや、見た目通りの女の子なので、ちょっと嬉しくなった」


 たしかに、三国志に来てから、少々幼さを感じさせる市だが、そこまで茶姫は見抜いている……だけではなく、茶姫は『幼い』とは言わずに『見た目通り』と、市の神経を傷つけない言葉を選んでいる。ちょっと油断がならない。


「おまえも、誰かの転生なのか?」


「うん……というか、いいえでもある」


「なんだ、それは?」


「転生の自覚はあるけで、あなたたちのように、誰の転生なのかは分からない」


「ほお……」


「あら、にいちゃんは、なにか感心するところがあるようね」


「にいちゃんと呼ぶのは止せ」


「じゃあ、にいさん?」


「ただの『にい』でよい」


「天下の織田信長を?」


「ここでは、ただの職丹衣だ」


「だからにいさん」


「う」


「アハハハハ(≧∇≦*)」


「笑うなシイ!」


「困ったわね、おにいさん」


「コラ(;`O´)o」


「じゃあ、少佐」


「少佐?」


「ええ、決めたわ。近衛少佐職丹衣と同じく近衛少尉の職市」


「え、わたし三階級も下の少尉なの!?」


「厳密には特任少佐と少尉。まあ、参謀と話相手の中間みたいな。実質無任所だから動きやすいと思うわ」


「御伽衆のようなものね? うん、わたしは、それでいいよ」


「しかし、なぜ、そこまで好意的なのだ?」


「それを含めてスパイしてくれるといいわ。条件は一つだけ」


「なんだ」


 瞬間、茶姫の瞳が真剣な光を宿すので身構えてしまう。


「なにを調べてくれてもいいけど、破壊活動だけはしないで。ものを壊したり、人を殺したり……」


「もう、殺してしまったぞ」


「夕べの事は、人命救助のための正当防衛でしょ」


「そうだ」


 そうか、とりあえずは、俺たちを近衛として取り込むことで曹素への牽制にはなる。


 そう理解して、取りあえずは茶姫の手の平に載ることにしたぞ。




☆ 主な登場人物


 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生

 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま

 織田 市        信長の妹

 平手 美姫       信長のクラス担任

 武田 信玄       同級生

 上杉 謙信       同級生

 古田 織部       茶華道部の眼鏡っこ

 宮本 武蔵       孤高の剣聖

 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま

 今川 義元       学院生徒会長 

 坂本 乙女       学園生徒会長 

 曹茶姫         魏の女将軍

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