第1話 天使と人間
ここから始まる。
俺の名は中山淳何処にでもいる高校生だ。俺は今、目の前で起こっている事を頭の中で整理出来ない状態である。
その理由は、目の前に天使と名乗る見た目20代後半の変態がいるからだ。そいつは俺よりも身長の低い推定160センチくらいの人で、頭の上には純白な白い輪が浮いていた。しかも背中には160センチの体に似合わない大きな羽が付いていた。普通の人なら、「あの人頭大丈夫か?」と考えるだろう。
しかし、服装はそこら辺にいるOLが着る白いカッターシャツに黒いタイトスカートを履いていた。それでいて、裸足の状態で立っているのでなおアンバランスに見える。真剣な目で俺を見つめるこの変態はとても嘘を言っているようには見えないが、怪しい人物としては俺の中で認識出来た。
遡る事2時間前
俺の高校の窓ガラス側から学校の裏山へ小さな光が降りるのが見えた。クラスの皆はそれぞれのグループを作り、机を寄せてお弁当を食べているので、外の景色に気づかなかったのだろう。一応言っておくが別に俺はぼっちという訳ではない。ただ今はこの空間で一緒に食べる友達がいないだけだ。俺は家庭の事情で東京から大浦という田舎に飛ばされてこの学校で高校デビューしたのだ。今までずっと東京で暮らしていたので、友達どころか知り合いなんて一人もいない状態だからこのクラスの同級生とはまだ馴染めていない。まあ、このご時世ネットの世界でいつでも友達と話せる時代なのだ。今此処で友達が出来なくてもいつでも中学の頃の友達と話す事はいつでも出来る。そんな事は置いといて、俺は授業をサボり、未知の光を追って学校の裏山へ登った。長い階段を登りようやく光の降りた場所に着くと、一つの小さな十字が屋根に建てられている建物があった。
「十字架って事は教会なのか?」
その瞬間、俺の周りが眩い光で包まれた。光が収まると、目の前に一人の女性が立っていた。身長は俺と同じくらいで金髪碧眼の女性だった。
「ここまで追って来たなんて、格下の天使を侮るのはやめておきましょう」
俺はこの瞬間何を言っているのか分からなかった。嫌、正確には言っている言葉は理解出来るがその意味までは理解する事が出来なかった。
(てんし?てんしってあの天使かな?てんしが何を指している意味かは分からないが何にしてもこの人の誤解は解いて置こう)
「あの、俺は怪しい者ではないので安心して下さい」
「この私の目は騙す事は出来ませんよ。どんなに演技したって身体から大量の魔力が剥き出しているのは目に見えているんです。天使だったら魔力を抑えるくらい練習したらどうですか?」
「あの、てんし?やまりょく?って何ですか?今時そんなゲームなんて俺には理解出来ないのでもっと分かりやすく説明してください」
「何を言っているんですか?それに、げーむ?訳わからない言葉を使って私を惑わそうとしないで正体を現しなさい!」
「正体を現わせって言われても何処にでもいるような高校生の俺はなんの秘密も隠してなければ貴方の思っているような人間でもありませんよ。」
「え?でも、この魔力量どう感じたって普通の人間じゃないですよ。でも、確かに私を追わせるのに力の弱い下級天使よりも大天使が来た方が納得がいく。でも、それなら君は本当にただの高校生?」
「何度言ったら分かるんですか、俺はごく普通の高校生です。」
俺がジト目で目の前の変な人に答えると、「す、すいません。人違いでした!」と謝罪の言葉を頂いた。この人の言う天使?や魔力?って本当にゲームの世界と同じ天使と魔力の事を言ってるのか?
「で、さっきから貴方が言っている天使ってなんですか?」
「天使とは、言葉の通り天の御使いの事を現しているんです。君の学校は宗教の教えも混ざっていますか?旧約聖書や新約聖書が置いてあるなら分かるかも。」
「嫌、うちの高校に聖書なんて置いてるところ見た事ないので多分宗教の教えはないと思いますが。」
「なら、簡潔に述べさせてもらうと私達がいるこの世界の名前は物質界と言います。私は元々この世界の担当をしていた天使です。」
「は?」
うーん、1話はどの程度で出そうかな