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誘導

「グリズ、そんな簡単に俺の言うことを信じるのか?」

「あぁ、お前がその情報を嘘を言う理由がないからな。だてに俺は道楽商人の息子をやっているわけではない。それに嘘でも滅火のダンジョンへ潜る言い訳ができたじゃないか」


 グリズは滅火のダンジョンへ潜りたいらしい。

 好奇心が旺盛なのか、それともただの馬鹿なのか。


「俺とラッキーは10階層で出会ったが、また同じようにいるとは限らないぞ」

「あぁ、それは問題ない。男はロマンのために生きるのだ。それに面白いじゃないか誰もまだ走破していないダンジョンを金に物を言わせた俺が攻略するというのも」


 まぁ風情も何もあったもんじゃないと思ったが口にはださないでおく。

 金に任せて走破というのもできないことは……いや難しいだろうな。


 高位のダンジョンを攻略しようとしたら、頭数を集めればいいというわけではない。

 それなりの腕の人間を集めなければ結局あっという間に逃げ帰ってくるはめになってしまう。

 ケガ人が増えれば増えるほど進む速度は遅くなり、弱気な人間が増えれば士気が下がる。


 人はどうしても流されやすいものだ。

 士気が高いうちはいいだろうが、一度弱気になった人を立ち直らせるのはかなり難しい。

 逃げ腰になった人間が増えれば増えるほど集団の進みは遅くなり撤退をよぎなくされる。


「グリズ様ダンジョンもいいですが、明後日に例の魔物が出品されるという話ですが、そちらはどうされますか? 滅火のダンジョンへ行かれますとあちらが買えなくなってしまいます。ダンジョンはいつでも行くことができますが、あちらは二度と手に入らない可能性もあります」

「あぁそっちか。欲しいのは欲しいが……どうするか。滅火のダンジョンへも行ってみたいんだよな。だってあのモフモフ絶対触り心地いいだろ」


 グリズたちが言っている例の魔物というのは人魚のことだろう。

 もし、明後日グリズたちがこないなら人魚を手に入れるのがかなり楽になる。 

 ここで購入しないように説得できれば……。

 俺はあえて知らないフリをして聞いてみる。


「例の魔物っていうのはなんだ?」

「うるさい! お前には関係ないから黙っていろ」

 初対面だがマーキスにかなり嫌われてしまったのか、かなり強めの言葉を俺に言ってきた。

 反応からすると、どうやら滅火のダンジョンの危険性も十分わかっているようで行きたくないのが本音のようだ。

 だが、そんなマーキスのことを無視するかのようにグリズはあっさり教えてくれた。


「あぁ……例の魔物っていうのは人魚だよ。次の奴隷市で奴隷商人が出品するって話だ」

「グリズ様! それは……こんなところで言ってはダメですよ」


 マーキスが辺りをキョロキョロと見回し誰かに聞かれていないのか確認をしている。

 幸いにも、俺たちには興味はないのか誰も足を止めている人はいなかった。

 もしくはグリズに絡みたくないだけかもしれないが……。


 俺はあえておおげさに笑いながら人魚に金を出すことを否定する。


「人魚? ワッハハハ! 人魚なんて海にでれば大量にいる魔物を大金使ってまで買うなら、確かにラッキーを探しに行ったほうがいいな。ラッキーは世界でも見かけることの少ない魔物だからな」


「人魚は大量にいるのか?」

「あぁ、海を航海しているとかなりの頻度で見かけるぞ。なっメイ」


 いきなり振られたメイは一瞬言葉に詰まるが俺の意思をくんでくれたのか話をあわせてくれる。


「えっあっうん。そうね。海に人魚は沢山いるわね。人魚を実際に見たことあるけど、ラッキーちゃんの方が手触りも気持ちいいし、人魚なんて買ったら大変よ。ずっと水槽に閉じ込めておく必要もあるし。それにわがままでめんどくさくて、傲慢よ。海水をそのまま放置したらドブよりもくさい臭いがたちこめて近隣住民から苦情がでるに違いないわ。そんなことになったらあなたの信用にも傷がつくかもしれないしね」


 メイはさらさらと人魚にたいしての文句がでてきた。

 もしかしたら本音も混ざっているのかもしれない。

 なにか人魚仲間で嫌なことでもあったのだろうか? 


「そうか。そんなめんどくさいのか。珍しさから買おうと思ったが、それほど珍しくないなら高い金だしてまで買う必要もないかな。それに、そう言われれば欲しいとは思ったが飼う環境まで考えてなかったな。マーキスそのあたりどう思う?」


「はっ! グリズ様がいらないとお思いであれば買う必要はまったくないかと思います。ただ、グリズ様が言っていた水中での戦闘訓練ができなくなりますがいかがなさいますか?」


 マーキスとしては主人の意見に敵対はしたくないが、滅火のダンジョンへ行くのも避けたいというところなんだろう。


「あっそう言えばそうだな。じゃあやっぱり滅火のダンジョンへ行く前に買うか」

「それがよろしいかと。それにダンジョンへ潜るとなればそれなりに準備も必要となりますので」


 マーキスはグリズへ頭を下げているが口元が少し緩んでいた。

 時間を稼いで行かない方向へ持っていきたいのだろう。

 人魚を使っての水中での戦闘訓練か……それなら俺の方でも役に立てそうだ。

 この話を有利に進められれば人魚の落札も楽になるかもしれない。

その頃のシャノンたちは……


シャノン「マデリーンさん次はあそこのお肉屋が怪しいです」

マデリーン「シャノンさん……いや次はあちらのコラーゲンたっぷりのスープ屋も捨てがたいです」

情報収集という名の食べ歩きは正義だった。


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挿絵(By みてみん)

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