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下水道の調査依頼

「俺がわざわざ依頼をしに来てやっているのに何で出来ないんだ」

「先ほどから何度もお伝えしていますが、出来ないとは言ってません。ただ、この価格では冒険者が受けてくれるかわかりませんと言っているんです」


 冒険者ギルド内でミサエルとリッカさんがカウンターを挟んで口論していた。

 また、こいつか。問題を起こすのが趣味なのだろうか?


 女性が揉めているのをただ見ているわけにはいかず、余計なお世話だと思うが声をかける。


「リッカさん、どうしたんですか?」

「なんだ……さっきの魔物使いじゃねぇか。部外者が口を挟むな! お前には関係ないだろ……いや、待てよ。最下層の魔物使いならどうせ暇だろ? ありがたく思え。仕事のないお前に俺様が金を払ってやるからこの依頼を受けろ」


 ミサエルが渡して来た依頼書には、王都の下水道で可燃石を使い終わった後にできるクズ石が見つかったため、下水道をキレイに掃除し他に何か痕跡がないか調査をしろと言う内容だった。


 報酬の金額は……なんだこれは!

 ほぼボランティアと言ってもいい金額だった。

 子供だろうと下水道の掃除するのにこの金額では受ける奴はいない。


 どうやら、本当に常識というものがないらしい。

 人を一人働かせるためには、ある程度お金が必要だ。


 こんな金額ではギルドから指摘されない方がおかしい。

 ミサエルが調査しろと依頼することはできるが、受ける人間が来ないような内容ならギルドとしては、依頼を受けてくれる冒険者がいない可能性があると説明するのは当たり前だ。


「これは無理だろ」

 俺が依頼書を突き返すと、なぜ突き返されたのか本当にわかっていないのかキョトンとしている。


「何がダメなんだ。騎士団で貴族様の俺のために働ければ、今後何かおこぼれを貰えるかも知れないだろ。損して得を取れって言葉を知らないのか」


 どうやったらここまで自己中心的に考えられるのだろうか。

 貴族だからと言って誰もが言うことを聞くと思っているあたりも、世間知らずなのだろう。

 きっとこいつのまわりにはイエスマンしかいなかったらしい。


「ここでは貴族様のご機嫌をとらなくても生活できている奴が多いからな。貴族様をありがたがって媚びへつらう奴にこの依頼は持って行ったほうがいいぞ」


「ん? お前はなんでそんな生意気なんだ。ギルドなんて騎士団の雑用係だろ。俺は知ってるんだぞ! そう聞いたんだ。それを俺がわざわざ出向いてやって使ってやるっていってるんだから、ゴチャゴチャ言わずに依頼を受けやがれ」


 ミサエルが大きな声で騒いでいたせいで、ギルドの奥からタイタスさんがやってきた。

 あの顔は……いつも爽やかな笑顔だが、今日は相当イライラしているのだろう。

 にこやかフェイスは崩していないが目が笑っていない。

 

「ギルド長のタイタスだ。悪いがあんたが貴族であろうと、騎士団であろうと関係ない。冒険者ギルドは完全に独立した組織だ。誰が君にギルドが雑用係だと言ったかは知らないが、騒ぐのはやめてもらおうか。みんなの迷惑だ」


「ギルド長だと? 別に俺は騒いでいないだろ。そっち言いがかりをつけて来たんだろ。そんなに言われるのが嫌ならこのブスを下がらせてお前の権力で依頼を受けさせればいいだろ」


「ブッ……ブス? 誰に向かってブスって言ったのかしら? これは私に対する挑戦だわ。いや、

ギルドに対して宣戦布告と受け取ってもいいわね……それならあれを……こうやって……それから……フッフフ」

 リッカさんが下を向きながらブツブツと聞こえるか聞こえないかくらいで呪詛を唱えていたが、タイタスが素早く判断をくだす。


「あぁ、わかった。リッカ、掲示だけしてやれ、ただそれを冒険者が受けるかどうかは別だ。実践から学ぶんだな」


「わかりました」

 リッカさんは顔をあげると笑顔を浮かべ書類を受け取ると淡々と処理をおこなった。

 さすがプロだ。切り替えが早い。 


「ふん、最初から言われた通りやればいいんだ。まったく手間かけさせやがって」


 依頼を受け付けてもらったのに満足したのか、ミサエルはそのままギルドから出ていった。

 多分、誰もあんな依頼受けないだろうに。


 本当にあいつは何なんだろうか?

 

 もう一度依頼書を見て見る。

 騎士団の手伝いは別にしないが……何か手掛かりがあるなら調べてくるか。

 

 俺とシャノンは2人で下水道へ行くことにした。

 下水道は街の地下に張り巡らされていて、入り口は鉄の柵で覆われていた。

 鉄の柵は拳より少し大きめで、格子状になっていた。可燃石は通りそうだが、こんなところを通り抜けられる者はいない。


「可燃石のクズが流れて来たというが……」

クリーンの魔法でドブの水を一瞬だけ綺麗にすると、確かに可燃石の使い終わった後にできるクズ石のようなものが落ちている。

 でも、これだけでは何とも言えない。


「ラッキー」

 ラッキーが腕輪から出てくるが開口一番、

『この臭いはきついな。鼻が曲がる。どうしたんだ?』


「臭い以外で何かわからないか?」

『ここも無理だな。ドブの臭いが強すぎる』

「そうか」

『役に立てずに悪いな』

「いや、いつも助かってるよ。ありがとう」


 ラッキーは一瞬でまた箱庭の中に戻って行く。

 よっぽど臭かったのだろう。


「これだけ汚いと、手掛かりがあってもわからないですね」

「そうだな。それに使い終わった可燃石だけじゃなんの手掛かりにもなりそうにもないしな。ラッキーもわからないようだし」


 足元がヌメヌメしていて非常に滑りやすい。

 シャノンも色々探してくれているが滑る床になれていないのか、見ているとかなり危なっかしい。

 

「シャノン、気を付けろ。足元が非常に滑りやすいぞ」


「大丈夫ですよ。こう見えてバランス感覚いいんですから」

 シャノンが目の前でくるっと一回転する。バランス感覚がいいのはわかるが……。


「キャッ!」

 

 言わんこっちゃない。見事に足を滑らせ転倒しそうになったため、俺は咄嗟にシャノン手を取りそのまま抱きかかえる。


「ほら、自分の力を信じるのはいいことだけど、過信するのは良くないぞ」

「テヘヘ。失敗しちゃいました」


 シャノンと顔の位置が近い。

「ロックさん……」

  

 シャノンの顔が段々と赤くなっていく。

 こんな場所じゃなければ色っぽい展開だと思うんだが、場所が悪い。

 足元はヌルヌルのヘドロが溜まり、鼻をつく悪臭がただよっている。


 改めて周りを見渡して見ると、とても色っぽい展開ができる場所ではない。

「気を付けてくれよ。汚れたら綺麗にしてあげられるけど、汚れないのが一番だ」

「ありがとうございます」


 シャノンを降ろし、立たせる。

 ちょっとだけ気まずい空気が流れる。


 そう言えば、いつも従魔たちがいるので二人っきりになるのは久しぶりだ。

 シャノンと目が合う。改めて見るとやっぱり肌が綺麗で可愛い。


「そろそろ戻るか」

「そうですね」


 俺たちはもう一度街の方へ戻る、そこは武器屋の近くだった。

 そう言えば、盗まれた可燃石の店は同じ辺りに固まっている。


 王都の騎士団の場所だけは全く別のところだが。

 もう、暗くなってきているので俺たちは買い物をして箱庭に戻る。


 温泉ができたのでタオルや桶、石鹸などを買っていく。

 今日はもう箱庭でゆっくりするか。

ミサエル「俺様の言うことを聞けばいいんだ」

ロック「そんな金で受けられるわけがないだろ。貴族なら金を持ってるだろ。財布を見せろ」

ミサエルの財布の中を見ると……まったく入ってなかった。

ロック「なんか……ごめん」


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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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