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聖獣ワイバーンが生まれた。ワイバーンのおかげで箱庭が拡大され「あれ」がついに追加……

 武器屋から出て、近くの森でオークを狩りにきた。

 武器の性能を試そうと思ったのだが……俺の目の前で予想外のことが起こっていた。


 集団でいるオークたちが、オレンジアントたちに一発でどんどん狩られていったのだ。

 

 もちろん、倒すこと自体は予想外でも何でもなかった。

 オレンジアントはオークよりも強い魔物で、俺の補助魔法もかかっている。


 だが、それ以上に驚いていたのが武器を持ったオレンジアントたちの強さだった。

 今まで普通の戦闘でも、可愛い見かけとは裏腹にそれなりの強さを誇っていたが、武器を持ってから動きが格段に違っていた。


 しかも、簡単に教えた武器をなんなく使いこなしていたのだ。

 剣や弓を使った戦い方では熟練した動きを見せ、オレンジアントCのトンファーとEのヌンチャクは最初こそ戸惑っていたが、オーク相手にもしっかりとその成果をあげていった。


 特にEのヌンチャクは、その不規則な動きからオークも反応ができていなかった。

 見慣れない武器は下手な人が使えば足手まといだが、熟練した者が使うとその効果は絶大だった。

 武器屋で頭をぶつけていたのがまるで嘘のようだった。


 彼らには武器を使いこなす天性の才能があるのだろう。

 それに加えて、オレンジアントたちの息の合ったチームワークがある。


 俺が終始感心しながら見ていると、あっという間に戦闘が終わってしまった。

 最後のオークをEが仕留め、カッコ良く決めようとしたのか、ヌンチャクを盛大に振り回した結果、Cの頭に直撃し、軌道が変わったせいで自分の頭にも思いっきりヌンチャクを当ててしまった。


 オークの攻撃よりも痛かったのかCとEが蹲って頭を押さえている。

 もう、調子に乗るから……可哀想になり頭をなでながら2匹に回復薬を渡してやった。

 

 剣をもってオレンジアントAが俺のところへ来て服を引っ張る。

「回復薬が欲しいのか?」

 オレンジアントAは首を横にフル。

 なんだろう?

 

 パトラの方を見るとパトラが自分の頭の上を指さした。

 ん? 頭を撫でて欲しいのか?


 俺が優しく撫でてあげると嬉しそうに抱きしめてきて、オレンジアントBとDが並び、なぜかさっきなでてあげたCとEも並びだした。

 みんな褒めて欲しいようなので、全員が飽きるまで頭を撫でてやった。


「すごいなみんな。まさか武器を持っただけで、こんなに強くなるとは思ってなかったよ」

 オレンジアントたちは褒められて嬉しいのかハイタッチをして、その後腕をぶつけ合っている。喜び方も進化している。


 オークを回収し、街へ戻ろうとしたところで頭の中に声が流れた。

【聖獣ワイバーンがまもなく生まれます。仲間にしますか?】

 聖獣ワイバーン?


 そう言えば、ワイバーンの卵を後で何かに使おうと思って箱庭の中に入れていた。

 あの後……スカイバードくんが必死に温めていたっけ。


「みんな、箱庭の中でワイバーンの子供が生まれるみたいだから、ちょっと箱庭に入るよ」

「わかったー」

「わかりました」

 

 全員で箱庭に入ると、スカイバードくんが俺の方に飛んでくる。

 なにか一生懸命俺に訴えかけている。

 かなり慌てているようだ。


「ワイバーンの卵が孵りそうなんだろ。ありがとな」


 大きく頷くとすぐにワイバーンの卵のところへ案内してくれた。

 俺がつくと、すでに卵にヒビが入り嘴がでてきているのがある。


「頑張れ、あと少しだぞ」

 俺の声に反応するように徐々に卵が割れていく。

 感動的な瞬間だった。


 卵からでる小さな嘴が、徐々に殻を破りそして……。

 かなりの苦戦をしながら自分だけの力でワイバーンが殻を破ってでてきた。


 全身が濡れていて、上手く立ち上がることもできないが生きるために力強さがある。

 1匹が生まれると、次々にワイバーンが生まれてきた。


 ワイバーンの卵は全部で10個あったが、今回孵ったのは3つだった。

 他はまだ生まれていない。


 殻が少しヒビが入っているものもあるし、まったく反応していないのもあるため、またしばらくは様子を見るしかない。

「パトラ、オレンジアントたちにワイバーンの世話を任せても大丈夫?」

「パパー任せて! 仲良くみんなで世話するからー」


 俺がワイバーンたちを仲間にすると頭の中で答えると、また声が流れる。

【聖獣ワイバーンが仲間になりました。場所、設備を3つまで選択することができます】

 ◆池(中)

 ◆川(中)

 ◆海(小)

 ◆小屋(拡大)

 ◆箱庭拡張

 ◆畑(拡大)

 ◆果樹(バナーナ)

 ◆鉱山(小)

 ◆山

 ◆温泉

 

 今回は何を増やすか。そう考えていると一番最後に温泉があった。

 温泉は非常に魅力的だ。身体をキレイにする魔法は覚えているが、やはりお風呂以上にさっぱりするものはない。


 俺は温泉と鉱山(小)、あとはパトラの好きな果樹(バナーナ)を選択する。


 一瞬で箱庭を見渡せる高台に温泉ができ、畑の端には果樹が植えられ、少し離れた場所で地面が隆起し洞窟ができた。

 あの洞窟が鉱山なのだろう。

 なにが採掘できるのか楽しみだ。


「ラッキーあそこの洞窟へ行ってみたいんだけど」

『あいよ』

 家からは少し離れているがラッキーに乗ればすぐの洞窟へ行ってみる。


 中に入ってみると鉄鉱石のような石が転がってあちこちにあった。

 さすがに小というだけのことはあり、奥行きも狭く採れるのは少なそうだが拡大していけば、もっといいものが採れるようになるかもしれない。


 この箱庭も従魔が増えるほど発展していくので、のちのちはここで、武器の製造などできたら楽しいと思う。


 自分たちの武器を自分でカスタマイズしたり、個性にあった防具を作る。

 うーん。夢が広がる。


 ただ、だからといってどんな魔物でも従魔にしていくというつもりはない。

 魔物との相性もあるだろうし、何よりもみんなと楽しくできるのが一番重要だ。


 洞窟や温泉などの見回りが終わり戻ると、生まれたばかりのワイバーンたちをガーゴイルくんやパトラたちが、色々と世話をしてくれていた。


 俺の従魔たちは本当に面倒見がいい子たちが集まっている。

 ワイバーンの子供たちは暖かい布に包まれてスヤスヤと眠っていた。

 

 卵からでてくるのに疲れたんだろう。

 俺はその間にさっそく温泉に入りたいが……他の従魔たちが働いているのに、それは申し訳ない気分になる。


 手の空いていたオレンジアントたちにオーク肉の解体をお願いしておく。

 ギルドで解体をすると解体料をとられてしまうが、オレンジアントたちがやってくれれば、その分の料金を取られなくて済むからかなりお得だ。


 あと鉱山の中もさっとしか見ていないので、オレンジアントたちに調べられるならついでにお願いしておいた。鉱山で採れるものによっては売りに行ってもいいし、オレンジアントたちに使い道があるなら使ってもらってかまわない。

 

 俺はあとを仲間たちにお願いすると、そのままラッキーとシャノンと一緒に森の中に戻った。

 箱庭は俺が入った場所からしかでることはできないようになっている。


 仲間はどこから入っても、俺がいる場所からしかでれない。

 つまり、移動する時には俺は絶対に外にいなければいけないってことだ。


 俺が森に戻ると日が傾き、すでにあたりは暗くなってきていた。

 まぁ夜になろうとラッキーがいれば怖い物はないんだけど。


「それじゃあラッキー、シャノン帰ろうか」


 森を抜け王都に近づいてきた時、急にラッキーから声がかかった。

『ロック、あれなんだ?』

「どれ?」


 ラッキーが見ていたのは王都の共同墓地の辺りだった。

 王都の中央からは少し離れた場所にあり、夜はあまり人が近づいているという話を聞いたことがない。だけど……共同墓地の中には青い光が上下にフワフワと飛んでいる。


『なんだろうな?』

「ちょっと行って見るか?」

『幽霊かな』

 ラッキーはなぜかワクワクしているような嬉しそうな顔をしている。


「私幽霊苦手なんです」

「箱庭に戻っていてもいいよ?」

「いえ、アンデットに私の剣が通用するのか試すのも大事なので。それに何かあったらロックさんが守ってくれますからね」


 シャノンからの信頼が厚いが、幽霊なんて見たことがないからな。

 それでも少し怖いのかシャノンが俺の手に腕を絡ませてきた。


 幽霊以上に俺の方がドキドキしてしまう。


 墓地などで、整備がしっかりされていないと、たまに亡くなった人がゾンビや動く骸骨になっていたりすることがある。


 確か依頼でも動く骸骨のものがあったはずだ。

 なにか行方不明や危ない記載はなかったはずだが、注意した方がいい。


 俺たちが、墓地へ着くと、墓地の中にはすでに青い光はなくなっていた。

 ちょうど青い光が消えていったのは大賢者ドモルテの墓石があるところだった。


 賢者ドモルテはこの国の発展に大きく寄与した女性だった。

 彼女は頭がいいだけでなく、肌は透き通るように白くて、その容姿は絶世の美女だったと言われ色々な意味で伝説的な女性だったとされている。


 そして性格も優しく、お淑やかでこの国のために生涯を通じて貢献したとのことだ。

 大賢者と呼ぶ人もいれば、彼女の性格から聖女様と呼んでいるファンもいるらしい。


 彼女が紡いだ伝説は数多くあるが、その中でも有名なのが魔王城での魔王との交渉だった。


 賢者ドモルテは仲間の危険を察知して魔王城に単身で乗り込み、その当時いざこざが絶えなかった魔王軍との休戦を魔王に約束させてきた。それが今の平和へと繋がっている。


 どうやって休戦にさせたのか、その方法や交渉内容については秘匿とされ生涯明かされることはなかった。しかし一説によると、魔王軍側からも何の情報も漏れて来ない事から、壮絶な戦いの末、魔王を屈服させたのではないかという話もある。


 生涯ドモルテはそのことを語らなかったので真実は闇の中だ。

 今ではその話を吟遊詩人が歌にするほど有名になっていた。

 

 それから、しばらく墓のまわりを探してみたが青い光が顕れることはなかった。

 シャノンのメンタルが早々に限界をむかえたので一度、街へ戻ってギルドへ報告することにした。俺たちがギルドにつくと内からは怒鳴り声が聞こえてくる。


 いったい何があったんだ?

 あまりいい予感はしない。それにこの声は……。

ラッキー「人魂かな?」

ロック「それは……なんとも」

ラッキー「きっと下の☆を入れてくれない人のもとに青い……」

ロック「やめい」


いつも応援ありがとうございます。

下より★が作品のためになります。

大変お手数をおかけしますが★を入れて頂ければと思います。

★★★★★

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ラッキー「どこの本屋にも置いてあってよかったな」 ロック「ラッキー実はそれは……」 ラッキー「うっ売れ残りってことなのか?」 ロック「今は自粛中だ! きっとコロナが終われば……いやネットで今すぐ注文しよう!」 ご自宅での暇つぶしにぜひネット通販などからお買い求め頂ければと思います。 このままだと……ラッキーの肉球によってはじける可能性が。  テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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