シャノン「ロックさん規格外」ロック「俺の従魔規格外なんだけど」
聖魔法の扱いはずっと仲間へのサポートをしてきたおかげで問題なかった。
ただ、問題とまではいかないが、呪詛の力がかなり強かった。
なんとか散らすことはできたが、かなりの使い手のようだった。
俺自身が加護を与えたりしていたので、相手に効果を及ぼす魔法にはある程度自信があった。
それでも解呪するのにあれだけかかるとは……世界はまだまだ広い。
「やってくれるとは思っていたが始祖の魔人の呪いですら祓ってしまうとはやっぱり規格外だな」
タイタスさんが唐突に言ってくる。
「始祖の魔人の呪いってシャノンにかかっていた呪詛について知っているんですか?」
「僕も詳しくはわからないんだけど。同じような状況の人間が何人か見つかっているって話が他のギルドからもあるんだ。そこで共通しているのは赤い球体を見たっていう話なんだが、かつてこの世界を支配していた魔人が使っていた召喚魔法でそういうのがあったという話なんだ」
「タイタスさん……それ事前に言うやつですよ」
ラッキーが大丈夫と言っていたから実際にやってみたが、もしそんな怪しい情報があったら、もっと確実にできると判ってから、挑戦しただろう。
「だって言ったらやってくれなくなるだろ? 結果的にはシャノンも助かったんだし大丈夫だよ。それよりもギルドからの依頼を受けてくれてありがとう。後はアイザックくんたちに負けずにしっかり素材を回収してきてくれ」
「そっちは大丈夫ですよ。それじゃ俺たちはそろそろ宿屋に行きますが、シャノンの荷物はありますか?」
アイザックたちに負ける要素はまったくない。
俺も心を鬼にして全力をだそうと思っている。
シャノンを養っていかなければいけないしな。
「私奴隷なので荷物は装備くらいなので大丈夫です」
シャノンは本当に何も荷物を持っていなかった。
替えの服と装備だけだった。
奴隷とは言え女の子なんだからおしゃれだってしたいだろうに。
やっぱりしっかり稼ぐしかない。
たしか、アイザックたちは俺が貯めたお金をかなり持っているはずだ。
それもこの際だから回収をしてしまおう。
「わかった。それじゃあ宿屋へ行くか。ラッキー」
ラッキーは空気を読んで聖獣の箱庭の中に入る。
街中連れて歩くのはいいがどうせすぐに宿屋に入ったら離れ離れになるからな。
宿屋では生憎部屋が二つ空いていなかったので同じ部屋で寝ることにする。
どうせ野営する時などは同じテントで寝るのだから今から慣れてもらったほうがいい。
宿屋では聖獣の箱庭でいろいろ実験をしたいことがあった。
「シャノン、俺は今からちょっと自分のスキルの実験をするから、自由にしててくれていいよ」
「なにやるんですか? 私もやります!」
えっ? シャノンってこんないい意味で積極的な子だっけか?
「あっ……俺のスキルで聖獣の箱庭っていうスキルがあってこの腕輪の中に俺の従魔が入っているんだ」
腕輪の水晶の中を覗いてみるとラッキーがあくびをしながら横になっていた。
あれ? オレンジアントたちの姿が見えない。小屋の中にでも入っているのだろうか。
「すごいですね。ラッキーちゃんもあんな小さくなって。これってロックさんも中に入れるんですか?」
「入れるよ」
シャノンが目を輝かせて俺の服を引っ張ってくる。
「私も入りたいです。ドキドキしますね」
シャノンの顔が近い。キレイだとは思っていたが近くでよく見ると肌もきめ細かく美しい。
思わず手で触れたくなるがその手を引っ込める。
危ない。シャノンの肌には引力があるようだ。
それよりもシャノンを箱庭の中に入れるのか試してみる価値はある。
「よし、シャノン手を出せ」
シャノンは少し顔を赤くしながら手を出す。
手を握り聖獣の箱庭へと心の中で思うと一瞬で箱庭の中へ移動していた。
シャノンは無事に中に入ることができていた。
ラッキーとかは自分ででることができるがシャノンはどうだろうか?
そういうのも実験していきたいものだ。
「すごいですね。これが箱庭の中ですか。とてもきれいな場所ですね。箱庭の中なのに風が気持ちいい。それに温かくて眠くなりそうです」
箱庭の中には小さな川が流れており、その先には池ができている。
水のチャプチャプと流れる音が、ちょうどいい自然の音楽になっていて癒される。
小屋に畑はまだ何も植えられていないが整備され耕してあった。
きっとオレンジアントたちが、やってくれたのだろう。
果樹の木の上にはスカイバードが巣作りに勤しんでいた。
広さもだいぶ前に来た時よりも、広くなっている。
これならまだ従魔が増えてもいいな。
「あの……ロックさん……あそこにいるのはスカイバードですか?」
「よく知ってたな。さっきラッキーが落とした奴が仲間になったんだよ」
シャノンがジト目で俺の方を見てくる。
「ロックさん知ってますか?スカイバードって滅多に見れない希少な鳥なんですよ。それを飼っているなんてわかったら普通に貴族や王族から追いかけ回されますよ」
「えっそうなのか? でも希少種ならラッキーだって」
フェンリルも目撃情報は多いがかなり希少種だ。
この世界でフェンリルを従魔にしている人間なんてかなり少ないはずだ。
「あっそうでした。ロックさんは規格外ですからね。常識では計り知れないんでした」
なぜか諦めたような顔になっている。
きっと疲れているんだな。
『ロック~ご飯食べたい』
ラッキーが甘えるように言ってくる。
そういえば美味しいご飯を食べさせるといったままだった。
「そうだな。俺もお腹減った。よし! さっそくご飯を作ろう。魔物の肉をオレンジアントたちにお願いしてあったけどあいつらどこにいるんだ?」
『あぁあいつらなら小屋の地下にダンジョン作ってたぞ』
「はい? 小屋の下にダンジョンってなに?」
小屋の中を見ると床には石畳が綺麗に並べられており小屋の真ん中には地下へと続く階段が作られていた。
えっと……なにこの規格外な従魔。俺の常識の範囲を超えてるんだけど。
ロック「呪いの解除大変だったー」
ラッキー「俺もまさかできるとは。無知ってすごいな」
ロック「えっ?」
まさかの運任せだった。
今日も応援ありがとうございます。
毎日空いた時間にずっと小説を書いているんですが段々追い付かなくなってきていますので感想への返信一時中断させて頂きますm(__)m




